
U23は19歳の望月蓮が独走勝利!マスターズ各年代で熱き王座争いが決着した全日本ロード初日
せいちゃん
- 2026年06月27日
新潟県南魚沼市を舞台に、2026年のロードレース日本一を決める「第94回全日本自転車競技選手権ロード・レース」が開幕した。初日の6月27日は男子U23と各年代別マスターズカテゴリーのレースが行われ、男子U23はフランスを拠点に活動する19歳の望月蓮(ブールカンブレス・アン・シクリスム)が独走勝利。マスターズでは男子全カテゴリーで2連覇のチャンピオンが誕生し、女子マスターズは樫部結香(VC FUKUOKA DEVELOPMENT TEAM)が圧勝を飾った。
JBCFロードレースでお馴染み 三国川ダム周回コースが舞台

今年の全日本選手権の舞台となったのは、新潟県南魚沼市の三国川(さぐりがわ)ダム周回コース(1周12km)。雪国魚沼 Golden Cycle Route “GCR”の一部にも設定されており、普段はJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)の南魚沼ロードレースでお馴染みのサーキットだ。

アップダウンの厳しいこのコースは、2009年のトキめき新潟国体や、2012年の北信越かがやき総体(インターハイ)でもレースの舞台の一部として使用されてきた歴史を持つ。完全封鎖された公道を使用した全日本選手権の開催は、2018年の島根県益田市大会以来の開催となった。
男子U23:激しいアタック合戦を制した望月蓮が全日本王者に

大会最初のレースとして午前8時にスタートした男子U23カテゴリーは、三国川ダムを11周する132kmで争われた。気温は20度程度、わずかに小雨が残るしっとりとしたコンディションのなか、次世代のホープたちが駆け出していく。
レースは序盤から動きを見せる。1周目の登りで荒井颯斗(近畿大学)、大澤礼寛(明治大学)、石原太一(立命館大学)の3名が抜け出して逃げ集団を形成するが、この動きは2周目の登りでメイン集団に吸収される。
レースが大きく動いたのは4周目の登り。住田悠人(VC福岡)、今年のU23全日本タイムトライアル王者の山里一心(シマノレーシング)、新藤大翔(HPCJC・ブリヂストンアンカー)という強力な独走力を持つ3名がアタック。

自ら動いた理由について、山里は「全日本TTに向けて集中して練習していたのもあって、集団内でインターバルがかかるよりも、自分から積極的に動いて前で走った方が可能性があると思った」と明かす。ここに5周目に小林龍平(稲城FIETSクラスアクト)と伊東景祐(京都産業大学)が合流を果たし、普段はJプロツアーを主戦場とする強力な5名の先頭集団が形成された。メイン集団とのタイム差は最大で1分ほどまで拡大し、レース中盤の主導権を握る。
しかし、メイン集団もこの逃げを容易には許さない。8周目の登りで曽根田仁(チームUKYO)と神谷啓人(愛三工業レーシングチーム)が先頭に追いつくと、これをきっかけに追走グループも合流し、先頭は20名ほどの大きな集団へと再編された。

サバイバルな展開のなか、9周目の登りで先ほどまで逃げていた新藤が再びアタックを仕掛けて独走に持ち込む。「最初から前半で展開していこうと決めていて、逃げが捕まってからが本当の勝負だと考えていた」と語る新藤の積極的な動きに、平坦区間で力強くブリッジを成功させたのが望月蓮(ブールカンブレス・アン・シクリスム)だった。一方、後続の集団にはさらに選手たちが合流し、およそ35名にまで膨れ上がる。
このまま2名での逃げ切りかと思われた矢先の10周目、新藤が「内転筋が完全に攣ってしまった」と無念のペースダウン。これで先頭は望月の単独となった。新藤はその後も粘り、7位でフィニッシュ。「今年はフランスに行って、そこで1勝を挙げるのが直近の目標です」と先を見据えた。
追うメイン集団では、最終周回の登りで島崎将男(群馬マンモスレーシング)が渾身のアタックを仕掛ける。「後半勝負になると思っていて、最後の登りでいこうと決めていた」という島崎だったが、集団内でうまく協調体制を築くことができず、先頭の望月とのタイム差を縮めきれない。

最後まで崩れない力強いペダリングを見せた望月が、後続の猛追を振り切って独走でフィニッシュラインに飛び込んだ。2位には終盤に抜け出し4秒差まで迫った島崎が入り、同タイムの3位には渡辺一気(京都産業大学)が続いた。
19歳の新王者、望月蓮は2006年8月13日生まれの神奈川県横浜市出身。元々は柔道で神奈川県の強化指定選手に選ばれるほどの実力者だったが、中学2年生の時に自転車競技に適した環境を求め、父とともに山梨県山中湖村へ移住して本格的にペダルを踏み始めた異色の経歴を持つ。2023年からはフランスのクラブチームに所属して本場のレースを走り込み、昨年からは日本大学にも進学。昨年の全日本選手権U23タイムトライアルでも2位に入るなど、その独走力は折り紙付きだ。

見事にその脚力を最大の舞台で証明してみせた望月は、「自分にとってロードレースでは初めてのタイトルなので率直に嬉しいです」と笑顔を見せた。「今年はヨーロッパに戻ることは難しくなってしまったのですが、来年もう一度ヨーロッパで走るために今年しっかり準備して、何段階も強くなってまた挑戦したいと思います」と、次なる目標を語った。
惜しくも2位となった島崎は、「望月選手が前に出ていて届かず、力不足を感じました。2位で悔しいですけど、来年に向けて自信に繋がったので、来年は自分が勝てるように頑張りたいです」と飛躍を誓った。
男子U23 リザルト

1位 望月 蓮(ブールカンブレス・アン・シクリスム) 3時間25分41秒
2位 島崎 将男(群馬マンモスレーシング) +4秒
3位 渡辺 一気(京都産業大学)
4位 阿部 源(VC福岡)
5位 梅澤 幹太(HPCJC・ブリヂストンアンカー) +7秒
6位 風間 大和(法政大学) +10秒
7位 新藤 大翔(HPCJC・ブリヂストンアンカー) +12秒
8位 野嵜 然新(明治大学) +20秒
9位 神谷 啓人(愛三工業レーシングチーム) +57秒
10位 佐藤 愛祈(明星大学)
マスターズ:男子全カテゴリーで2連覇達成!女子は樫部結香が圧勝
午後からは年代別の覇者を決めるマスターズカテゴリーが開催され、国内の市民レーサーの頂点を極めるべく白熱したレースが繰り広げられた。今回のマスターズは、なんと男子の全年齢カテゴリーで「前年王者が連覇を達成する」という驚くべき結果となった。
男子マスターズ30-39:執念のマークで制した木村裕己

30代カテゴリーを制したのは木村裕己(Roppongi Express)。レース前からライバルとして強く意識していたという吉田貴祐人(Squadra di LAVORANTE)の動きを徹底的にマークし、勝負どころで冷静に対応して全日本タイトルを手にした。
「吉田選手をすごくライバル視していて、最後はそこに合わせていく形になりました。勝ちはしたんですけど、あまり格好いい勝ち方ではなかったかなという反省もあります。次は地元北海道で開催されるグランフォンド世界選手権を目標に頑張りたいと思います」と、次なる世界の大舞台へ向けて抱負を語った。
男子マスターズ30-39 リザルト
1位 木村 裕己(Roppongi Express) 1時間49分27秒
2位 吉田 貴祐人(Squadra di LAVORANTE)
3位 安立 和貴(だち會) +20秒
男子マスターズ40-49:過酷なサバイバルを登りスプリントで制した松木健治

今大会屈指の激戦区となった40代カテゴリーは、序盤からのハイペースにより完走者がわずか19名という過酷なサバイバルレースに。終盤、市村直生(湾岸サイクリング・ユナイテッド)の抜け出しに反応した松木健治(VC VELOCE)は脚を削られる苦しい展開を強いられた。最後は高岡亮寛(Roppongi Express)が先に仕掛けて勝利目前まで迫ったが、松木が得意の登りスプリントで鮮やかに逆転。全国最強40代の座を死守した。
優勝した松木は「登りの強い選手たちがどんどん上げていって、自分はギリギリ耐えていました。最後の上り勝負に持ち込めばチャンスがあると思っていましたが、市村さんの飛び出しを追ったことでラスト1kmでかなり脚を使いました。高岡さんが先に行った時はやられたと思いましたが、自分の得意な上りだったので信じて踏みました。残り300mでは負けたと思っていたので、本当に最後の最後でやり切れた勝利です」と安堵の表情を見せた。
惜しくも2位となった高岡は「中盤まではいい感じで走れていました。最後も行ったかなと思ったんですが、このカテゴリーは結局最後は力勝負ですね。どんな展開でもいつものメンバーになります。今回は最後の詰めが足りませんでした。この悔しさはニセコで晴らしたいと思います」とコメント。
地元新潟での開催で優勝を狙っていた田崎友康(F(t)Racingマルシン食品)は3位。「地元だったので優勝を狙っていました。正直悔しいです。でも仲のいい3人で表彰台に上がれたのはうれしいですね。本当にいつもの3人なんです。最近3位が定位置になっているので、次はもっと上を狙いたいです。ニセコでリベンジします」と、ライバルたちと健闘を讃え合った。
男子マスターズ40-49 リザルト

1位 松木 健治(VC VELOCE) 1時間49分27秒
2位 高岡 亮寛(Roppongi Express)
3位 田崎 友康(F(t)Racingマルシン食品)
男子マスターズ50-59:長距離遠征を実らせた波片鉄平

前年王者の波片鉄平(CR3W)が見事に連覇を達成。勝負どころを最後の下りからの展開に見据え、見事に狙い通りの勝利を収めた。
「めちゃくちゃ嬉しいですね。まだ実感はありませんが、そのうち湧いてくると思います。最後の下りからの勝負だと思っていました。うまく展開にはまって勝つことができました」と波片。地元愛媛県から車で約12時間かけて駆けつけた遠征の苦労を最高の結果で報い、「この後は世界選手権で活躍できるよう頑張ります」とさらなる高みを見据えた。
男子マスターズ50-59 リザルト
1位 波片 鉄平(CR3W) 56分45秒
2位 小林 孝臣(ミルキーウェイ和歌山) +2秒
3位 中市 昌樹(Team Kermis Cross) +4秒
男子マスターズ60歳以上:レジェンド・奈良正一が連覇

60代カテゴリーでも、前年王者の奈良正一(天狗党)が連覇を達成し、レジェンドとしての存在感を遺憾なく発揮した。
「60代は難しいなと思っていました。仲間ともそう話していたので本当に嬉しいです。30代、40代、50代の選手に続いて連覇したことも特別ですね。次はニセコでも頑張りたいと思います」と、笑顔で喜びを語った。
男子マスターズ60- リザルト
1位 奈良 正一(天狗党) 58分10秒
2位 大原 満(Aisan Cycling Club) +7秒
3位 酒居 良和(エキップ ティラン) +23秒
女子マスターズ:目標に向けて入念な準備を重ねた樫部結香が独走V

女子マスターズは、樫部結香(VC FUKUOKA DEVELOPMENT TEAM)が2位に1分48秒もの大差をつける圧勝で女王の座に就いた。全日本選手権をシーズンの最大目標に据え、機材もディスクブレーキへ変更するなど入念な準備を重ねてきた成果が見事に実を結んだ。
「この大会は私にとって特別な大会で、ここを目標に練習してきました。南魚沼の自然豊かなコースは大好きです。公道レースは今では本当に貴重な機会ですし、その中で優勝できたことをうれしく思います」と喜びを噛み締めた。
女子マスターズ リザルト
1位 樫部 結香(VC FUKUOKA DEVELOPMENT TEAM) 1時間2分58秒
2位 米田 和美(MOPS) +1分48秒
3位 中島 深希(EVO Cycling Club)
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PROFILE
せいちゃん
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている



















