
40代の鉄人プラデスが貫禄の勝利!VC福岡が見事なワンツーを飾ったおんたけヒルクライム
せいちゃん
- 2026年05月18日
INDEX
長野県王滝村で開催されたJプロツアー第7戦「第4回 おんたけヒルクライム」。終盤の激しいアタック合戦を制したベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン)が優勝を飾り、同僚のジェラルド・レデスマ(スペイン)が2位に入り見事なワンツーフィニッシュを達成した。VC福岡にとってこれがJプロツアー初勝利となった。
御嶽山の麓を駆け上がる24kmのヒルクライムバトル

前日の「おんたけタイムトライアル」に続き、長野県木曽郡王滝村を舞台に開催されたJBCF Jプロツアー第7戦「第4回 おんたけヒルクライム」。松原スポーツ公園を出発し、御嶽湖南岸を抜けて田ノ原フィニッシュを目指すコースは、パレード区間の約5kmを含む総距離24km。獲得標高1,290m、最大勾配7.9%という本格的な山岳レイアウトだ。
翌週には国内最大級のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)」が開幕し、過酷な富士山ステージが控えていることもあり、各有力チームや選手たちにとっては現在の登坂力を測る絶好の試金石となる。
スタートラインの最前列には、前日のタイムトライアルで3位に入り、見事Jプロツアー個人総合首位に躍り出た岡篤志(Astemo宇都宮ブリッツェン)が真紅のプロリーダージャージを身に纏い整列した。
宇都宮ブリッツェンの牽引と先頭集団の絞り込み
午前10時、選手たちは5kmのパレード走行を経てリアルスタートを切った。序盤にレースの主導権を握ったのは、前日のTTで表彰台を独占し勢いに乗るAstemo宇都宮ブリッツェンだった。フォン・チュンカイ(台湾)が絶妙なペースメイクで集団の先頭を牽引し、他チームにプレッシャーを与え続ける。

中盤に差し掛かると各チームによる本格的なアタック合戦が幕を開け、勾配の厳しさとペースアップにより集団は崩壊。サバイバルな展開のなか、先頭は10名ほどに絞り込まれた。
この精鋭グループには、宮崎泰史や谷順成(Astemo宇都宮ブリッツェン)、ベンジャミ・プラデス、ジェラルド・レデスマ、山本大喜(VC福岡)、島崎将男(群馬マンモスレーシング)、佐藤光(チームサイクラーズ・スネル)といった有力クライマーたちが顔を揃えた。リーダージャージの岡はこのペースアップで先頭集団からはドロップしたものの、少し離れた後方グループで冷静に粘りの走りを見せる。

残り2kmの攻防、宮崎の仕掛けとVC福岡の鮮やかなカウンター
膠着状態のまま終盤に突入した先頭グループ。勝負が動いたのはフィニッシュまで残り2kmを切った勝負どころだった。
集団内にVC福岡の枚数が多いことを警戒した宮崎が、後手を踏むまいと自ら鋭いアタックを仕掛ける。しかし、これに冷静に反応したのが大ベテランのプラデスだった。
プラデスは宮崎の仕掛けを事実上の”発射台”として利用し、カウンターアタックで単独先行を開始。追走を試みる宮崎に対し、今度はプラデスのチームメイトであるレデスマが背後にピタリとマークに入る。チームプレイで完全に蓋をされた宮崎を尻目に、レデスマも抜け出しを図り、そのまま宮崎をパスして前を追った。
最後まで後続を寄せ付けない圧倒的なペーシングを見せたプラデスが、トップでフィニッシュラインを通過。そして、レデスマが2位に入り、VC福岡が会心のワンツーフィニッシュを飾った。懸命に追いすがった宮崎はトップから28秒遅れの3位に入り、前日に続く表彰台を確保した。また、プロリーダージャージの岡は中盤からの粘りが功を奏して8位でフィニッシュ。首位の座をしっかりと守り抜いた。
日本を愛する”二三男”、40代の鉄人が魅せた円熟の走り

この日、圧倒的な強さを見せつけたベンジャミ・プラデス。スペイン・カタルーニャ州出身で、初めてUCIチームに所属したのが30歳という「遅咲きの天才」だ。日本のチームUKYOやマトリックスパワータグなどで長年活躍し、幾度もビッグレースを制してきたが、近年は国際レース(UCIレース)での活躍が主であり、Jプロツアーでの優勝は実に10年ぶりとなった。
若手外国人選手と日本人選手の架け橋となる人格者でもあり、過去のレースで僅差の2位や3位になることが多かったことから、日本の一部ファンに親しみを込めて「二三男(ふみお)」という愛称で呼ばれているという彼。40代を迎えてなお進化を続けるモチベーションと強靭な肉体は計り知れない。
レース後、プラデスは自身の判断とチームの勝利について次のようにコメントを寄せた。
「今日は久しぶりのJBCFのヒルクライムレースでした。幸いなことに序盤はあまりペースが速くなく、フィーリングもとても良かったです。レースの中盤には、ジェラルドと私の2人に今日勝つチャンスがあると確信していました。それでも、他のチームメイトも良い順位でフィニッシュできる可能性を残すため、終盤までレースを厳しくすることはしませんでした。
残り約2kmでアタックし、独走に持ち込みました。この時、ジェラルドを待つべきか迷いました。彼に勝ってほしかったからです。しかし、そうすることで他の選手に追いつかれる隙を与えてしまうのではないかと危惧しました(結果的には誰も追いつけなかったと思いますが)。
いずれにせよ、表彰台に2人が乗り、マサキ(山本)もトップ10に入ったことで、今日はVC福岡にとって素晴らしい1日となりました。ありがとうございました。またTOJでお会いしましょう」
一方、3位でフィニッシュした宮崎は「ラスト2kmぐらいでVC福岡の選手が多くいたため自分からアタックしましたが、それを発射台にされてしまいました。なんとか3位を確保して追い込みました。調子も上がってきてTOJに向けてよいトレーニングになったと思います。TOJではなんとか総合でUCIポイントを獲れたらうれしいです」と前を向く。
ベテランの円熟味とチームの組織力が光ったVC福岡と、個人総合の主導権を握り続けるAstemo宇都宮ブリッツェン。国内最高峰のロードレースシーンは、いよいよ来週から始まるツアー・オブ・ジャパンへと舞台を移し、さらに激しさを増していく。
リザルト
1位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡) 50分04秒
2位 ジェラルド・レデスマ(VC 福岡) +13秒
3位 宮崎泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン) +28秒
4位 谷順成(Astemo宇都宮ブリッツェン) +37秒
5位 佐藤光(チームサイクラーズ・スネル) +44秒
6位 森海翔(ヴェロリアン松山) +46秒
7位 山本大喜(VC 福岡) +51秒
8位 岡篤志(Astemo宇都宮ブリッツェン) +1分03秒
9位 山口瑛志(レバンテフジ静岡) +1分03秒
10位 米谷隆志(NEXT TEST SET) +1分04秒
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 文:相原晴一朗 写真:酒井健作
SHARE
PROFILE
せいちゃん
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている



















