
「51番は幸運の番号」 ツール・ド・フランスの出場選手への番号割り当てのヒミツ
福光俊介
- 2026年07月09日
世界最大のサイクルロードレース、ツール・ド・フランスの2026年大会が開幕した。今年もサイクルジャーナリスト・福光俊介が大会に帯同し、レースやあらゆる話題を現地からレポート。現場の生の空気をお届けしていこうと思う。
今回は開幕を前に現場でちょっとばかり盛り上がった話題を。それは、ツール出場選手のビブナンバー(ゼッケン)の割り当て方法について。1番をつけるタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)を筆頭に、11番のヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)、51番のポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム)など、その番号を付与されることになった理由はいかなるものか。知ると思っていた以上に奥深く、主催者のこだわりや思いが込められていることに気づくのである。

ポガチャルは「1」、ヴィンゲゴーは「2」
この話題のきっかけとなったのは、フランスメディアによるツール主催者へのインタビューだった。そこでビブナンバーの割り当て方法について具体的な説明がなされたという。

ツール2026に出場する各選手のビブナンバーについて、まずは画像を参照いただきたい。この中で最も明快なのは、UAEチームエミレーツ・XRG。前回覇者のポガチャルが1番を付けるのは当然といえよう。彼に続き、チームメートがファミリーネーム(苗字)の頭文字のアルファベット順に、2~8番を与えられている。

チーム ヴィスマ・リースアバイクも同様で、前回大会個人総合2位のヴィンゲゴーが11番を付け、12~18番にチームメートがUAEと同様の方式で並ぶ。ちなみに、1チーム8人が出場するツールの場合、末尾の9番と0番が空きとなる。
セクサスには「幸運をもたらす番号」が
そうした中で、きわめてユニークなのが今大会大注目のワンダーボーイ、セクサスである。彼には51番が割り当てられたが、これには主催者による彼への強い思いが込められているという。「51」という番号は、かつてエディ・メルクスやベルナール・イノーら、ツール覇者が過去に着用したことがあり、後にツール王者まで上り詰めたことから「幸運をもたらす番号」なのだとか(あくまで主催者視点)。

出場選手・チームにどの番号を付与するかに関する明確な規定はなく、主催者裁量で決定して良いものとされている。したがって、レースごとに割り当て方法は異なるが、ツールであれば種々の要素と優先事項とを総合的に判断し、チームごとの付与番号を決めているのだとか。
前述のポガチャルのように、前回大会の個人総合優勝者には1番が。次に重要視されるのは前年の総合表彰台で、今年であればヴィンゲゴーが11番。ツールにおいてはチームランキングも大事なファクターとなっていて、今年は3番手に前回のチームランク3位のレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが就く。なお、レッドブルは今回、前回大会個人総合3位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)ではなく、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)が21番を着用する。
細かな部分は割愛するが、大枠としてはポイント賞や山岳賞、UCI個人ランキングも加味されるそう。また、今年であれば第1ステージに設けられたチームタイムトライアルも考慮する必要があり、ビブナンバーの大きなチームから降順でスタートできるよう配慮。これにより、最大値の221~228番を付けるカハルラル・セグロスRGAが1番出走を務めた。

ビブナンバーから選手の立ち位置を測る
ビブナンバーの割り当て方法を知ることで、その選手のツールにおける立ち位置が分かったりと、意外な発見が。
また、欧米では「13」が不吉な番号とされていて、レース中継でビブナンバーを上下反対に着用している選手を見ることも。このツールでは、ブリュノ・アルミライユ(チーム ヴィスマ・リースアバイク、フランス)が着用。きっと上下を反対にしていることだろう。本来であればNG行為になるが、事情が事情ゆえ、大会主催者も容認している(一方を正しい向きにし、もう一方を反対向きにするなどでOKとしている)。
最後に余談。日本ではよく「ゼッケン」とのフレーズを使うけど、これは和製英語の類でヨーロッパでは通じない。サイクルロードレースにおいては、「ビブナンバー」「ビブ」「ナンバー」といった単語がマストだ。
- CATEGORY :
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
-
TEXT:福光俊介 PHOTO: Syunsuke FUKUMITSU A.S.O./Morgan Bove A.S.O./Romain Laurent
A.S.O./Charly López
SHARE



















