
グレーターしまなみ・えひめ探訪 Vol.1【尾道〜大三島編】王道ルートのその先へ。神の島と塩の香りを訪ねて
Bicycle Club編集部
- 2026年04月15日
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サイクリストの聖地、しまなみ海道。何度も走ったことがあるという人は多いだろう。しかし、メインルートを一歩外れたエリアにこそ、ディープな魅力が隠されていることをご存知だろうか。
尾道から今治を結ぶ正規ルートだけでなく、その周辺に広がる「上島町(ゆめしま海道)」や「今治・玉川エリア」などを含んだ広域エリア、それが「グレーターしまなみ・えひめ」だ。
今回は、インフルエンサーのあむちゃんと共に、このエリアの魅力を再発見すべく、上島エリアを目指す1泊2日の旅に出た。まずは初日の模様をお届けする。
旅の支度は尾道駅前の新たな拠点で

今回の旅の起点はJR尾道駅。駅を出てすぐ、かつて福屋デパートがあった場所の1階に、現在は巨大なレンタサイクルターミナル「尾道港レンタサイクルターミナル」がある。
ここは単に自転車を借りれるだけの場所ではない。広々としたスペースは自身のロードバイクを持ち込むサイクリストにとっても、輪行解除の拠点として非常に使い勝手が良い。ラックにフロアポンプ、工具も完備されており、出発前の調整も万全だ。ここで準備を整え、我々はペダルを漕ぎ出した。

しまなみ海道のスタートは、橋ではなく船から始まるのが尾道流だ。
目の前の尾道駅前桟橋から渡船に乗り込み、対岸の向島へ。わずか数分の船旅だが、これから始まる旅への高揚感を高めるには十分な時間である。

造船の島・向島から因島大橋へ

向島(むかいしま)に上陸。ここは古くから造船と海運で栄えた島であり、海岸線にはクレーンやドックが立ち並ぶ独特の景観が広がる。レトロな町並みを抜け、ブルーラインに沿って国道317号を進む。
島の南側へ出ると視界が開け、最初の橋「因島大橋」が姿を現した。

因島大橋は、しまなみ海道で唯一、自動車道の下に自転車歩行者道が設けられている二層構造の吊り橋だ。頭上を走る車の音を聞きながら、鉄骨のトラスに囲まれた独特の空間を進む。まるで巨大な鳥かごの中を飛んでいるような浮遊感は、この橋ならではの体験である。

はっさく屋の無念と、謎の恐竜ザウルくん

橋を渡りきり、因島(いんのしま)へ。ここは中世に瀬戸内海を支配した村上海賊(水軍)の本拠地であり、八朔(はっさく)発祥の地、そして人気バンド「ポルノグラフィティ」の故郷としても知られる島だ。
因島大橋記念公園へ降りる坂の途中、我々はとある店へ立ち寄ろうとしていた。「はっさく屋」だ。
甘酸っぱいはっさくの実を白あんと餅で包んだ「はっさく大福」は、しまなみサイクリストの定番補給食である。しかし、あいにくこの日は定休日。扉の閉まった店を見て、私は肩を落とした。あむちゃんも残念そうな表情を浮かべていたが、これも旅のリアルだ。気を取り直して先へ進む。
はっさく屋

住所:広島県尾道市因島大浜町246-1
営業時間:8:30〜17:00(無くなり次第終了)
定休日:月曜・火曜
電話:0845-24-0715
URL:https://0845.boo.jp/hassaku/index.html
坂を下りきった因島アメニティ公園エリアに、特徴的なモニュメントが現れる。
「IN の SHIMA」
アルファベットの「IN」と「SHIMA」の間に、因島のイメージキャラクター「はっさくん」が挟まることで「の」を表現している、ユニークなフォトスポットだ。

そしてそのすぐ横には、なぜか巨大な白い恐竜が鎮座している。彼の名は「ザウルくん」。
一見シュールなこの恐竜、実は1989年に開催された「海と島の博覧会」の際、PRのために作られた「島ごと博覧会」のシンボルキャラクターなのだという。博覧会終了後もこの地に残り、現在はサイクリストを見守るマスコットとして愛されている。我々も、旅の安全を祈って記念撮影を行った。
因島アメニティ公園(ザウルくん・IN の SHIMAモニュメント)

住所:広島県尾道市因島大浜町57
電話:0845-26-6212
URL:https://kanko-innoshima.jp/sightseeing_leisure/park/amenity
レモンの島・生口島と多々羅大橋

島の西側、国道317号から県道366号を経て、優美な斜張橋「生口橋」を渡り生口島(いくちじま)へ。
生口島は国産レモンの生産量日本一を誇る「レモンの島」であり、島全体がアートな雰囲気に包まれている。

県道81号に入ると、風景は一変した。沿道にはヤシの木が立ち並び、瀬戸田サンセットビーチ周辺はまるで南国リゾートのような開放感だ。前を走るあむちゃんも、海沿いの爽快な道を気持ちよさそうに流している。青い海と空、そして山の斜面に広がるレモン畑の緑。このコントラストこそ、生口島のハイライトだ。

そしていよいよ、前半のクライマックスである多々羅大橋へ。
世界有数の斜張橋として知られるこの橋の途中には、広島県と愛媛県の県境がある。橋の上にある県境ラインをまたぐ瞬間は、特別な感慨がある。
橋を降りれば、そこは愛媛県・大三島だ。

サイクリストの聖地で味わう瀬戸内の恵み

大三島(おおみしま)は、しまなみ海道で最も大きな島。「神の島」と呼ばれ、後述する大山祇神社が鎮座することから、古くから信仰の対象となってきた場所だ。

多々羅大橋を降りてすぐ、「道の駅 多々羅しまなみ公園」に到着。ここには「サイクリストの聖地」記念碑がある。多々羅大橋をバックに記念撮影を済ませ、ここでランチタイムとした。

道の駅のレストランで、私は「釜揚げしらす丼」と単品で「せんざんき」を、あむちゃんは地元の海の幸が詰まった「来島御膳」を注文。
瀬戸内の潮流で育った魚介は身が引き締まっており、旨味が濃厚だ。あむちゃんも豪華な御膳を前に、嬉しそうに箸を進めていた。

道の駅 多々羅しまなみ公園

住所:愛媛県今治市上浦町井口9180-2
営業時間:9:00〜17:00(レストランは11:00〜15:00)
電話:0897-87-3866
URL:https://imabari-shimanami.jp/tatara/
大山祇神社でヘルメット守りを授かる

食後は県道21号を進み、少し丘を越えて島の中心部へ向かう。目指すは「大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)」だ。

全国にある山祇神社・三島神社の総本社であり、日本総鎮守として源義経や源頼朝など名だたる武将の甲冑や刀剣が奉納されている。国宝・重要文化財の指定を受けた武具の多くがここに集まっているという歴史的重みを感じる場所だ。

厳かな雰囲気の中で参拝を済ませ、「ヘルメット守り」を購入した。
自転車のヘルメットに装着できるこのお守りは、しまなみを走るサイクリストにとっての必需品とも言える。早速ヘルメットに取り付け、この先の旅の安全を祈願した。


大山祇神社

住所:愛媛県今治市大三島町宮浦3327
電話:0897-82-0032
URL:https://oomishimagu.jp/
伯方の塩と、あのメロディ

神社からほど近い場所にあるのが、「伯方の塩」でおなじみ伯方塩業の大三島工場だ。
ここでは、竹の枝から塩水を滴らせて濃縮する「流下式枝条架併用塩田(りゅうかしきしじょうかへいようえんでん)」が再現されており、製塩の歴史や工場を見学できる。見学後には塩がもらえるのも嬉しいポイントだ。

ここの名物は「伯方の塩ソフトクリーム」。
ほんのりとした塩味がミルクの甘みを引き立てており、非常にコク深い味わいだ。疲れた体に染み渡る甘じょっぱさがたまらない。
また、工場の前には面白い仕掛けがある。並んだ音板(チャイム)をリズム良く叩くことで、あの有名なCMのサウンドロゴ「は・か・た・の・しお♪」を再現できるのだ。私が見守る中、あむちゃんは楽しそうにチャイムを鳴らしていた。
伯方塩業 大三島工場

住所:愛媛県今治市大三島町台32
見学時間:9:00〜16:00(受付は15:30まで)
電話:0897-82-0660
URL:https://www.hakatanoshio.co.jp/factory/

すぐ隣には海水温浴施設「マーレ・グラッシア大三島」もあり、時間があればゆっくりと汗を流したいところだが、今日は先を急ぐ。
マーレ・グラッシア大三島
住所:愛媛県今治市大三島町宮浦5902
営業時間:10:00〜20:00(最終受付19:30)
定休日:水曜(祝日の場合は翌日)
電話:0897-82-0100
URL:http://jf-omishima.or.jp/publics/index/19/

料理旅館 富士見園で至福のひととき

島の北部をぐるりと回り、初日のゴール地点である宿「しまなみ海道 料理旅館 富士見園」に到着した。
初日の走行距離は約65km、獲得標高は430mほど。見どころが多く、距離以上に充実感のあるライドとなった。


この宿の自慢は、なんといっても料理だ。瀬戸内の新鮮な魚介をふんだんに使った海鮮料理と地酒のマリアージュは、一日走った体への最大のご褒美である。




絶品の夕食を堪能した後、我々はロビーへと移動した。
ここで行われるのが、この宿の名物イベント、板長によるフルートの生演奏だ。
この日のセットリストは、『春よ、来い』『瀬戸の花嫁』『時代』『いつも何度でも』。
ロビーの落ち着いた空間に優しく響くフルートの旋律が、旅の疲れを心から癒やしてくれた。

美味しい食事と音楽に満たされ、我々は深い眠りについた。
明日はフェリーを駆使して島々を渡る、上島・ゆめしま海道エリアへの旅が待っている。
しまなみ海道 料理旅館 富士見園

住所:愛媛県今治市上浦町井口5733
電話:0897-87-2025
URL:http://www.fujimien-shimanami.jp/
上島コースMAP
赤色がDay1、青色がDay2のルートを示す
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 写真:ハシケン
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Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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