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新自転車アンバサダーは田中理恵に! 第3次ナショナルサイクルルート福島から熊本まで6路線を指定

7月23日、国土交通省中央合同庁舎(東京都千代田区)で「第3次ナショナルサイクルルート指定式」が開催された。福島から熊本にかけて6つの新しいナショナルサイクルルートが指定され、元体操選手の田中理恵が新・自転車アンバサダーに任命された。日本のサイクリング環境が大きく拡充される瞬間だ。

全国に広がるナショナルサイクルルート

国土交通省の自転車活用推進本部が開催した指定式では、自転車活用推進本部長を務める金子恭之国土交通大臣が壇上に立ち、6つのナショナルサイクルルートの指定証を授与。ナショナルサイクルルートとは、日本を代表し世界に誇りうるサイクリングルートとして国が認定するもので、今回が3回目の指定となる。

過去最多の6ルートを指定した金子国土交通大臣

金子大臣は「5年ぶりとなる新たなナショナルサイクルルートの指定を、過去最多の6ルートについて行うことができたことを大変うれしく思う」とコメント。自転車が地域交通や脱炭素、健康増進だけでなく観光振興にも貢献する重要な交通手段であるとし、「サイクルツーリズムは地域の魅力を広く発信し、地域活性化につなげる取り組みとして、その重要性が一層高まっている」と説明した。

今回指定された6ルートについては、「各地の多様な自然、歴史、文化、食の魅力を体感できる、それぞれ個性あふれる世界に誇れるサイクリングルート」と評価。さらに「地域の皆様が長年にわたり地域資源を磨き上げ、走行環境や受け入れ環境の整備、情報発信に取り組まれてきた成果である」と関係者の努力に敬意を表した。

今回指定された6ルート

  •  ふくしま浜通りサイクルルート | 179km | 福島県いわき市〜新地町
  • フジイチ | 163km | 静岡県富士宮市(道の駅朝霧高原)を起終点に富士山一周
  • 雪国魚沼 Golden Cycle Route | 193km | 新潟県南魚沼市を起終点に周回
  • いしかわ里山里海サイクリングロード | 517km | 石川県加賀市〜七尾市
  • 鳥取うみなみロード | 152km | 鳥取県岩美町(JR東浜駅)〜境港市(JR境港駅)
  • あまいち | 152km | 熊本県宇城市〜天草市

元体操日本代表・田中理恵、新・自転車アンバサダーに就任

式典では、元体操選手の田中理恵さんが新・自転車アンバサダーに任命された。任命式後、田中さんが登壇し、自転車の魅力やアンバサダーとしての抱負を語った。

田中さんは自転車の最大の魅力を「頑張り過ぎなくていい」ことだと話す。「自転車に乗った瞬間に落ち着くんです。風を感じながら景色を見ていると気持ちがいいですし、どんな年齢の方でも楽しめる。そこがすごく魅力的だと思います」。

オリンピアンとして長年トップレベルの競技生活を送ってきた田中さんにとって、自転車は競争や勝敗とは異なる価値を与えてくれる存在だという。「現役時代は常に試合や結果を意識していました。でも自転車に乗る時は誰とも争わなくていい。リラックスしたり、リフレッシュしたり、悩み事を考えながら自然を見たり。心も体も整う時間になるんじゃないかなと思います」。

現在は二児を育てる母親として日々自転車を活用している。「子どもの送り迎えや買い物など、日常生活の中で本当にお世話になっています。子どもを後ろに乗せて走ると風を感じながらすごく楽しそうにしてくれますし、自分自身も心と体の状態を確認できる時間になっています」。

「正直、全部行ってみたい」

この日指定された6ルートのプレゼンテーションに熱心に耳を傾けた田中さん。「お話を聞きながら『どこから回ろうかな』『どこに行ってみたいかな』と考えていました。正直、全部行きたいです」と笑顔を見せた。

各地の特徴について、「どの地域にも愛があって、色があって、物語がある。自分の見たことがない景色や世界を見ることができるんじゃないかなと思いました」とコメント。サイクルツーリズムならではの魅力として、「夕日を見たり、その土地ならではの景色を見たり、地域の美味しいものを食べたり。本当に想像が止まりません」と期待を膨らませた。

家族旅行としての可能性にも注目。「受け入れ体制も整っていて、家族でも安心して楽しめそうです。『ここまで行ったら目標達成だね』というような達成感も共有できそうですよね」と語った。

地域へ足を運び、自転車の魅力を伝えたい

今後アンバサダーとして挑戦したいことについては、全国各地のサイクルルートやイベントへの参加を挙げる。「地域の皆さんと顔を合わせて、自転車の楽しさや魅力について語り合いたいです。実際に現地を走りながら、その土地の良さも感じてみたいですね」。

今回の就任については、「小さい頃からずっと身近にあった自転車の魅力を発信できる機会をいただけて本当にうれしいです。これまでは体操の魅力を伝えてきましたが、これからは自転車の魅力もしっかり発信していきたいと思います」と意欲を見せた。

最後に全国のサイクリストへ向けて、「自転車は年齢や体力に関係なく楽しめる乗り物です。日常でも旅でも、心も体を整えてくれる存在だと思います。ぜひ皆さんにも地域へ足を運んでいただいて、自転車とともに旅を楽しんでいただけたらうれしいです」とメッセージを送った。

自転車活用推進議員連盟橋本聖子会長 自転車産業の振興、地方創生へ期待

自転車活用推進議員連盟会長の橋本聖子参議院議員は、新たに6ルートがナショナルサイクルルートに指定されたことについて、「大変うれしく思っている」と祝意を示した。各自治体や関係者の長年の取り組みに敬意を表するとともに、ナショナルサイクルルートについては観光振興だけでなく、自転車産業や地域経済への波及効果にも期待を寄せ、「観光にもいい、健康にもいい。そして何より自転車が産業として地域に根ざし、世界に発信していくことができる」と強調した。

さらに橋本会長は、「世界からは日本に来て走ってみたいという声が非常に多い。全国各地がナショナルサイクルルートで結ばれ、新たな自転車産業が構築されていく。それは日本に明るい未来を築くことにもつながる」と述べ、ルート同士の連携による新しいサイクルツーリズムネットワークへの期待を示した。

金子大臣も今後の展望として、「来年開催されるVelo-city愛媛をはじめ、さまざまな機会を通じてナショナルサイクルルートの魅力を国内外に発信していく」と語り、「地域資源を生かした新たな観光価値の創造に向け、各ルートの皆様とともに走行環境や受け入れ環境の充実に取り組んでいく」との方針を示した。

“競うための乗り物”ではなく、”人生を豊かにする乗り物”。トップアスリートとして世界を経験した田中理恵さんの言葉からは、自転車が持つそんな普遍的な魅力が伝わってきた。日本のサイクリング環境の整備はさらなる段階へ進むことになるだろう。

ふくしま浜通りサイクルルート 復興の現在を走る、「ホープツーリズム」

福島県北部の新地町から南部のいわき市までを結ぶ全長約179kmのルート。太平洋沿岸を南北に貫き、松川浦や富岡町の海岸線、長浜街道など浜通りならではの景観を楽しめる。

最大の特徴は、東日本大震災と原子力災害からの復興をテーマにした「ホープツーリズム」。請戸小学校や東日本大震災・原子力災害伝承館などを巡ることで、震災の記憶と地域再生の歩みを体感できる。ルート関係者は愛称として「はまサイ」を提唱。単なる海岸ルートではなく、「希望を感じながら走る道」として国内外への発信を強化していく考えだ。

フジイチ 富士山を360度体感する、日本屈指のシンボリックルート

静岡県と山梨県が共同で整備を進めてきた「フジイチ」は、富士山麓を一周する約163kmのサイクルルート。山梨側では河口湖や山中湖、忍野八海など、世界文化遺産・富士山の構成資産を巡りながら雄大な景観を楽しめる。一方の静岡側では朝霧高原や裾野の広大な景観が広がり、富士山のスケールを全身で感じられる。

吉田うどんや富士宮やきそばなど、ご当地グルメも大きな魅力。国内のサイクリストはもちろん、インバウンド層にとっても世界遺産を自転車で巡る特別な体験として訴求力は高い。両県は今後さらに案内機能や受入環境を強化し、国際的なサイクルデスティネーションを目指す。

雪国魚沼 Golden Cycle Route 豪雪地帯だからこそ味わえる、日本の原風景

新潟県の南魚沼市、魚沼市、湯沢町を結ぶ193kmのルート。豪雪地帯として知られる魚沼エリアは、春の水田風景、夏の稲穂を渡る風、秋の実り、そして雪景色と、四季ごとの表情が極めて豊かだ。コースは山岳景観だけでなく、雪国の生活文化や歴史街道、豪農文化など地域資源をつなぐ構成となっている。

近年はマウンテンバイク環境の整備も進み、冬季観光だけではない新たなアウトドアフィールドとして注目される。全国ロードレースの開催実績もあり、競技志向のサイクリストからツーリング派まで幅広い層を受け入れるポテンシャルを持つルートだ。

いしかわ里山里海サイクリングロード 能登から加賀まで、517kmで巡る石川の自然と文化

金沢駅をゲートウェイとする全長517kmのロングルート。能登半島の海岸線や世界農業遺産「能登の里山里海」、白米千枚田といった日本を代表する景観資源に加え、加賀地域では白山山系や手取川流域の自然も楽しめる。

旧鉄道敷を活用した「手取キャニオンロード」や「加賀一の宮駅跡」など、安全かつ快適に走れる区間も特徴的。また、2024年の能登半島地震によって大きな被害を受けた地域でもある。今回の指定は、復興途上にある能登への誘客促進という意味合いも強く、サイクリストが地域再生を支える新たな力として期待されている。

鳥取うみなみロード 海と山を一本で結ぶ、日本海横断ルート

境港から兵庫県境まで約152kmを結ぶ鳥取県のナショナルサイクルルート。鳥取砂丘、浦富海岸、白兎海岸、大山など、鳥取を代表する観光資源を結びながら日本海沿岸を走る。海岸線だけでなく、内陸の山岳景観も楽しめるのが特徴だ。

整備にあたってはJRとの連携によるサイクルトレイン導入、自転車歓迎施設の拡充、モニュメント整備など受入環境の強化を推進してきた。さらに「名探偵コナン」や「ゲゲゲの鬼太郎」といったコンテンツ資源、温泉や海産物など観光素材も豊富。サイクリングと観光を融合した滞在型ルートとしての成長が期待される。

あまいち 世界遺産と島々を巡る、天草のアイランドライド

熊本県天草地域を一周する「あまいち」は、約152kmのルート。特徴は、ルート上に世界遺産「三角西港」と「崎津集落」という二つの世界遺産関連資産を有すること。さらに東シナ海へ沈む夕日やイルカウォッチングなど、天草ならではの自然体験も楽しめる。

ナショナルサイクルルートの詳細:
https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/good-cycle-japan/national_cycle_route/

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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