
ナショナルサイクルルート第3次、福島・山梨・静岡・新潟・石川・鳥取・熊本の6ルートが審査通過、この夏正式指定へ
Bicycle Club編集部
- 2026年07月17日
2026年7月16日、令和8年度 第2回ナショナルサイクルルート審査委員会が中央合同庁舎第2号館(東京都千代田区)にて開催された。今年3月に第3次候補として示された7ルートのうち6ルートについて、5〜6月に実施された現地視察の結果を踏まえた指定審査が行われ、いずれも審査基準をおおむね満たしたと判断された。この夏には自転車活用推進本部長の金子恭之国土交通大臣から正式にナショナルサイクルルートとして指定される見通しだ。
ナショナルサイクルルート第3次、6ルートが審査通過 来週正式指定へ
既存6ルートに加え一気に倍増、計12ルートへ

ナショナルサイクルルートは「日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート」を国が指定する制度で、2019年の創設以来、第1次(つくば霞ヶ浦りんりんロード、ビワイチ、しまなみ海道サイクリングロード)と第2次(トカプチ400、太平洋岸自転車道、富山湾岸サイクリングコース)の計6ルートが指定されている。今回の第3次指定が実現すれば、一気に倍増の計12ルート体制となる。
審査は、ルート設定・走行環境・受入環境・情報発信・取組体制の5項目について、必須28項目・推奨27項目の達成状況を評価する形で行われた。各ルートには審査委員2名が現地を訪れ、自転車での試走を含む2〜3日間の視察を実施している。
なお、7番目の候補であった「わかさいくる」(福井県)は次年度のフォローアップ対象となり、今回の審査対象には含まれていない。
審査を通過した6ルート
| ルート名 | 延長 | 区間 |
|---|---|---|
| ふくしま浜通りサイクルルート | 179km | 福島県いわき市〜新地町 |
| フジイチ | 163km | 静岡県富士宮市(道の駅朝霧高原)を起終点に富士山一周 |
| 雪国魚沼 Golden Cycle Route | 193km | 新潟県南魚沼市を起終点に周回 |
| いしかわ里山里海サイクリングルート | 517km | 石川県加賀市〜七尾市 |
| 鳥取うみなみロード | 152km | 鳥取県岩美町(JR東浜駅)〜境港市(JR境港駅) |
| あまいち | 152km | 熊本県宇城市〜天草市 |
各ルートの特徴と審査のポイント
ふくしま浜通りサイクルルート|FUKUSHIMA HAMADORI CYCLE ROUTE(179km)

復興が進む浜通り地域の多彩な魅力を体感できるルート。いわき市から新地町まで、福島県沿岸部の10市町村(いわき市、広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、南相馬市、相馬市、新地町)を縦断する。海岸景観やダイナミックな自然に加え、東日本大震災・原子力災害伝承館や震災遺構 浪江町立請戸小学校といった震災復興の歩みを体感できるストーリー性が大きな特徴だ。
フジイチ|FUJIICHI(163km)

日本を象徴する富士山をぐるりと一周するルート。山梨県・静岡県の2県11市町村(山梨県:富士吉田市、身延町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、富士河口湖町/静岡県:富士市、富士宮市、御殿場市、裾野市、小山町)にまたがり、道の駅朝霧高原を起終点とする。四季折々の富士山の表情を楽しめるだけでなく、世界文化遺産の構成資産を巡れる点も魅力だ。「フジイチ」の愛称はすでに多くのサイクリストに浸透しており、海外にも富士山を想起させるわかりやすい名称として訴求力が高い。
雪国魚沼 Golden Cycle Route(193km)

新潟県の南魚沼市・魚沼市・湯沢町を巡る内陸型の周回ルート。名称に込められた「ゴールデン」には、コシヒカリの稲穂で魚沼一面が黄金色に染まる秋の景観と、日本を代表するルートへの願いが重ねられている。雪国ならではの四季の移ろい、宿場町の文化、コメ文化を自転車で体感できる。
6月4〜5日の視察では越後湯沢駅〜八色の森公園を試走。幹線道路を避けた生活道路を通るルート設計が「家族連れや初心者でも安心」と高く評価された。
いしかわ里山里海サイクリングルート|Ishikawa Satoyama-Satoumi Cycling Route(517km)

石川県の加賀市から七尾市まで、県内17市町(加賀市、小松市、能美市、白山市、川北町、金沢市、内灘町、かほく市、宝達志水町、羽咋市、志賀町、輪島市、珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、中能登町)を貫く全長517kmの大規模ルート。里山と里海の両方の魅力を自転車でつなぎ、石川県の自然・文化・暮らしをゆっくりと体感することをコンセプトとしている。能登半島地震からの復旧途上にある奥能登地域を含み、隆起した地形など「復興の中にサイクルツーリズムを位置づける」ことの意義も語られた。
鳥取うみなみロード|Tottori Uminami Road(152km)

「世界が認めた絶景と歴史・文化を巡る鳥取」をコンセプトに、鳥取県の日本海沿岸を東西に走るルート。JR東浜駅からJR境港駅まで、9市町村(岩美町、鳥取市、湯梨浜町、北栄町、琴浦町、大山町、日吉津村、米子市、境港市)を結び、山陰海岸ユネスコ世界ジオパークの浦富海岸や鳥取砂丘、中国地方最高峰の大山、水木しげるロードなど多彩な資源を巡る。各地に点在する温泉と海山のグルメも魅力だ。
6月1〜2日の視察では弓ヶ浜の自転車専用道が「日本の誇る高規格自転車道」と絶賛された。6ルートの中でも必須項目の達成数が最多の24項目(28項目中)と走行環境の整備水準は全国トップクラスと評価された。
あまいち|Amaichi(152km)

熊本県の宇城市から天草市まで、4市町(宇城市、上天草市、天草市、苓北町)にわたる天草の島々を結ぶルート。世界文化遺産の三角西港や崎津集落をはじめとする潜伏キリシタンの歴史、山海の絶景、地元グルメ、温泉を五感で体験できる。フェリーや旅客船を利用した長崎県・鹿児島県との広域連携も特徴だ。名称の「あまいち」には、天草地域が一体となって取り組む決意と、「天草で一番の場所を自転車で見つけてほしい」という想いが込められている。
“サイクリスト大臣”の手で正式指定へ

正式指定は来週、自転車活用推進本部長を務める金子恭之国土交通大臣のもとで行われる見通しだ。金子大臣といえば超党派の自転車活用推進議員連盟で幹事長を務めてきた自転車愛好家でもあり、制度の拡充に意欲的な姿勢を見せていることで有名だ。
今回の審査では、走行環境や案内表示といったハード面の評価にとどまらず、各ルートが「世界に向けて何を伝えるか」というストーリー性が繰り返し議論された。震災復興、世界遺産、雪国文化、里山里海、ジオパーク、キリシタン史――いずれのルートも、日本の多様な地域価値を自転車だからこそ体感できる存在として位置づけられている。
ナショナルサイクルルート制度は2019年の創設から7年を経て12ルート体制に拡大する。そのいっぽうですでに指定されているルートについての課題もナショナルサイクルルート審査委員会から指摘されている。日本のサイクルツーリズムは新たなフェーズに向けて、より良い形に整備されていくことが期待される。
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