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キナンレーシングチームのトマ・ルバがプロ引退へ ツール・ド・熊野を最後に15年の現役生活に幕

日本のロードレースシーンで10年以上にわたりトップライダーとして活躍してきたトマ・ルバ(キナンレーシングチーム、フランス)が、5月6日〜10日に開催される「ツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)」を最後にプロロードレーサーとしてのキャリアを終了することが発表された。40歳を迎えた現在も国内トップクラスの実力を維持するベテランが、15年にわたるプロ生活にピリオドを打つ。

欧州からアジアへ 数々のビッグレースを制覇

フランス南西部、ピレネー山脈の麓であるポーで生まれ育ったルバ。ツール・ド・フランスの勝負所となる厳しい山岳地帯で培われた登坂能力を武器に、2008年には名門コフィディスでスタジエ(研修生)を経験した。

2012年にチームブリヂストンアンカー(現 HPCJC・ブリヂストンアンカー)に加入して活躍の舞台をアジアへと移すと、来日直後から日本の急峻な地形やアジア特有のレース展開に驚異的な適応力を見せる。2013年のツール・ド・北海道総合優勝を皮切りに、フィリピンやアルジェリアのステージレースを次々と制覇していった。

2017年には現在所属するキナンレーシングチーム(当時キナンサイクリングチーム)へと移籍。加入初年度のツール・ド・フローレス(インドネシア)では、圧倒的な強さで総合優勝とステージ優勝を獲得した。さらに2018年のツアー・オブ・ジャパンでは南信州ステージを制覇し、2019年にはツール・ド・インドネシアで個人総合優勝に輝くなど、アジアツアーの厳しい環境下で無類の強さを発揮し続けてきた。

日本人選手の育成とチームへの多大な貢献

ルバが日本のプロトンにもたらしたものは、自身のリザルトだけではない。キナン移籍当初からチームプレイヤーとしてのスタイルを貫き、チームが掲げる「勝てる日本人選手の養成」というテーマに共鳴。2020年からは競技活動の拠点をフランスから愛知県春日井市へと移した。

欧州のエリートカテゴリーで培った徹底したエネルギー管理や、レース展開を読む冷静沈着な戦術眼を惜しみなくチームに還元。チーム問わず日本の若手選手たちと共にトレーニングに励み、「勝者のメンタリティ」や「競技への姿勢」を自らの背中で示してきた。レースでは時に日本人選手のためのアシストとして献身的に働き、チーム力の底上げに多大な貢献を果たしている。

40歳で迎えた2026年シーズンもチームの最年長選手、そしてロードキャプテンとして第一線で活躍。引退発表の直前となる4月26日に行われたJBCF東日本ロードクラシックでは自ら優勝を飾り、その力が健在であることを鮮烈に証明したばかりだ。

愛着ある「ツール・ド・熊野」でのラストダンス

 

数々の勝利を重ねてきたルバがキャリアの最終戦に選んだのは、チームのシーズン最大の目標であり、ホームレースである「ツール・ド・熊野」だ。自身も2017年と2019年に熊野山岳ステージで優勝を飾っている相性の良い大会でもある。ルバは「最後の最後までベストな状態で走り続けたい」という強い意志のもと、集大成のレースに向けて精力的にトレーニングを続けている。

引退後についても「チームへの貢献を続けたい」という本人の強い想いがあり、チームは彼が今後も何らかの形で関わっていけるよう、あらゆる準備を行っていくという。ツール・ド・熊野の終了後には、改めてファンや関係者に向けたご挨拶の場が設けられる予定だ。

日本ロードレース界の国際化を牽引し、プロトンに数々の伝説を刻んできたフランス人ライダー。その雄姿を見られるのも、あとわずか。ルバの集大成となるツール・ド・熊野でのラストランに、そしてフィニッシュラインを駆け抜ける瞬間に大いに注目したい。

トマ・ルバからのメッセージ

(日本語)

“最終章”
ツール・ド・熊野が、私のプロロードレーサーとして最後のレースになります。ずっと遠い未来のことのように感じていましたが、ついにこのときがやってきました。
これは突然の決断ではなく、長くチームとも話し合ってきた結果です。
いまがまさにそのときであり、ツール・ド・熊野こそがふさわしい場所だと思っています。

15年間のプロキャリアは、想像をはるかに超える素晴らしい時間でした。
もしやり直せるとしても、何も変えたいとは思いません。
素晴らしい人々と出会い、沿道で惜しみない応援をいただいたことに、心から感謝しています。

本当にありがとうございました。

感謝すべき方々の名前をひとりずつ挙げるのは時間がかかってしまいますが、長年にわたり私を支えてくださったすべての方々、そしてチームに心から感謝しています。

特に、この10年間、私にとってチーム以上の存在だったKINAN Racing Teamには最大限の感謝をしています。
そして、キャリアの初めからずっと支えてくれた家族にも、特別な感謝をささげます。

最後に、何よりも大切な妻。
彼女がいなければ、これらすべては実現しなかったでしょう。

改めて、感謝を申し上げます。
また近いうちに、お会いしましょう。

【English suit】

End of a chapter:
The Tour de Kumano will be the last race of my professional cycling career.

It often felt far away, but the moment has finally come.

This isn’t a sudden decision, but something that has been discussed with the team management over the past few weeks.

I believe this is the right moment and the right place.

These past 15 years have been incredible , more than anything I could have imagined.

Even if I could, I wouldn’t change a thing.

I’ve been lucky to meet amazing people along the way and to receive incredible support on the roadside.

Thank you all for that, truly.

It would take too long to name here everyone I should thank, but I am deeply grateful to all the people and teams who have supported me throughout these years.

Especially Kinan Racing Team, which has been more than just a team for me over the past 10 years.

A special mention to my family, who have been there from the very beginning.

And of course, last but not least: my wife, without whom none of this would have been possible.

Thank you again, and see you soon on the roads.

トマ・ルバ(Thomas LEBAS) プロフィール

 

1985年12月14日生まれ(40歳)
国籍:フランス(ポー出身)
所属:
2004-2007 アンタント・シュッド・ガスコーニュ(アマチュア)
2008-2011 アーヴェーセー・エクスアンプロヴァンス(アマチュア)
2012-2016 チームブリヂストンアンカー
2017-2026 キナンレーシングチーム

主な実績:
2013年 ツール・ド・北海道 総合優勝
2014年 ツール・アンテルナショナル・ド・セティフ 総合優勝
2014年 ツール・ド・コンスタンティーヌ 第2ステージ優勝
2014年 ツール・ド・ラ・グアドループ 第5ステージ優勝

2015年 ツール・ド・フィリピン 総合優勝
2015年 ツール・ド・ラ・グアドループ 第7ステージ優勝
2017年 ツール・ド・フローレス 総合優勝・第6ステージ優勝
2017・2019年 ツール・ド・熊野 熊野山岳ステージ優勝
2018年 ツアー・オブ・ジャパン 南信州ステージ優勝
2019年 ツール・ド・インドネシア 総合優勝
2019年 ツール・ド・バニュワンギ・イジェン 第4ステージ優勝
2020年 宇都宮ロードレース 優勝
2022年 チャレンジサイクルロードレース 優勝
2022年 広島クリテリウム 優勝
2022年 古殿ロードレース 優勝

2026年 東日本ロードクラシック 優勝

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PROFILE

せいちゃん

せいちゃん

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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