
【産後登山体験談】「あずママ」として自身の体験をSNSで発信し始めた理由とは
ランドネ 編集部
- 2026年07月03日
出産という大きな山を乗り越えたあと、どのようなステップを経て登山を再開していったのか。山を愛してやまない女性たちの産後登山体験談をお届けするインタビュー企画です。

プロフィール
あずママさん
1994年、福岡県生まれ。1児の母。2025年6月より、「娘と100座登ったママ」として、Instagramアカウント「あずママ(@azu_oyama)」で子連れ登山にまつわる情報などを発信している。2026年3月に発足したSNSコミュニティ「山好きパパママ部」のメンバーのひとりで、九州エリアにおけるイベントの企画・運営をしている。
「山へ行きたいけど行けない」。出産直後からモヤモヤを抱えていた
海も山もある福岡県で生まれ育ち、子どものころに家族でよく山に出かけていたというあずママさんは、会社のランニング仲間に誘われたことをきっかけに、本格的に登山を始めました。「30歳を迎える前に、思いきり山に登りたい」と、29歳で仕事を辞めて、行者小屋(八ガ岳 )でのアルバイトを経験。約1年間、山三昧の日々を送っていましたが、山の上でおなじ山好きの夫と出会って結婚し、2024年に第1子を出産しました。
▲行者小屋で働いたり、北アルプスや八ガ岳 を縦走したりと、20代最後の年に思う存分に山を楽しんでいたあずママさん。――「娘と100座登ったママ」というのもインパクトがありますけど、Instagramのプロフィールを見ると、おひとりで1000座も登ってらっしゃるんですね!
あずママ はい。もちろん、小さなピークも含めてですけどね。福岡県だけで、300座以上は登りました。
――福岡って、そもそもそんなに山があるんですね! どのくらいの期間で登ったんですか。
あずママ 5、6年です。独身のときは、週2回くらいのペースで毎週どこかの山に登っていました。出勤前の朝に登ったりしていて……。
――ものすごく山にハマっていたんですね。そして29歳のときには、山に登るために仕事まで辞めてしまうと。
あずママ はい。休みがそれほど取れる仕事ではなかったし、結婚して子どもがほしいという思いもあったので、1年間と決めて、後悔のないように遊ぼうと思って山に行きました。
――1年間山を満喫した後、結婚して、妊娠がわかったときはどんな気持ちでしたか。
あずママ とてもうれしかったのですが、毎週のように山に登っていたので、それができなくなるんだなというのと、産まれてからどのくらいで登れるようになるのかという漠然とした不安がありました。
いろいろと情報を調べてみたんですけど、なかなか見つけられなくて。でも山登り仲間の友人が、産後にフルマラソンを走ったりトレランをしたりしていて、「あずママも行けるよ」と背中を押してくれたので、不安感はだいぶすっきりしましたね。
――身近にそういう人がいるのは、心強いですね。妊娠期間は山に足を運んでいましたか。
あずママ はい。妊娠中だからといって山を諦めるわけではなく、行けるところを探して行ってました。平尾台(福岡県)とか、ロープウェイで行ける鶴見岳(大分県)など、危険が少なく、体の負担が少ないところです。
――お子さんが無事に産まれた後は、どのように過ごしていました?
あずママ 1カ月も経たないうちに、私自身、元気を取り戻すことができたんです。それなのに山へ行けなくて、モヤモヤしていましたね。ありがたいことに娘も元気だったのですが、「産後すぐに動くと骨盤がずれるからよくない」という話も聞いていたりしたので……。
――たしかに、「産後すぐのお母さんはなるべく動かないほうがいい」とよく言われますよね。
あずママ そうなんです。産後1カ月が経ったころに、実家に子どもを預けて、夫とふたりで慣れ親しんでいる山へ行きました。ランドネのイベントでも登った、立花山です。登ったときは「やっと登れた!」と喜びにあふれて、山頂からの景色がいつもよりキラキラと輝いて見えました。
私はこの山に100回以上は登っていると思います。いろんなルートがあって、地元に愛されていて、片道1時間で登れて、山頂から海と福岡市内を見渡せる。とにかくみなさんにおすすめしたい山ですね。
――産後のリハビリ登山としても、ちょうどよさそう。立花山、とても気になります!
自分がご機嫌でいられるように、産後も足しげく山へ通う
――その後はどんな登り方をしていたのでしょう。
あずママ 朝、夫と子どもが寝ているあいだにサクっと行ったり……。
――え、どういうことですか!?
あずママ 往復1時間くらいで登れる山が自宅の近くにあるので、朝の時間を利用して登りに行ってましたね。7、8時ごろまでなら、ふたりともまだゴロゴロしている時間帯なので、それまでに戻ってくるような感じで。
――サクっと登れる山が近くにあるのは便利ですね。ちなみに授乳は母乳とミルクのどちらでした?
あずママ 私は母乳だけでした。朝方に山に登れていたのは、娘がたくさん寝てくれるタイプだったおかげでもあります。
――なんと親孝行な娘さん! 母親になってからも、自分の山登りをしたい人、家族との山登りをしたい人など、人それぞれ違うなと感じています。あずママさんは産後、どんな登り方をすることが多いですか。
あずママ 山次第、というところもありますね。標高の高い山を歩くときやトレランをするときはひとりで行きます。あとはモヤモヤを抱えているときも。一方で、家族で楽しみたいと思うときもあるので、そういうときは、家族で歩きやすい山を選んで行っています。
ママが楽しく、ワクワクしていないと子どもとの接し方にも影響すると思うので、私がご機嫌でいられるようにいろんな山に登っています。
――すてきな考え方ですね。出産後、山登りをして身体の変化を感じたことは?
あずママ 出産前から「産後も山に登りたい」と思っていたので、妊娠中に1日1万歩を目標にして歩いていたんですけど、それでも体力はかなり落ちましたね。なので、山を歩くことで体力を取り戻していきました。あとは、娘の抱っこを「山登りのための筋トレだ」と捉えて、なるべくベビーカーを使わずに、抱っこ紐でお散歩へ行くことが多かったです。
――産前と産後で、気持ちの変化はありましたか。
あずママ ひとりで登っていたときは、山頂だけを見て無心で歩いていましたが、娘が産まれてからは、「ここにかわいい花があるね」「新緑が綺麗だね」「川の音が聞こえるね」と娘に話しかけながら歩くようになって、視界に入ってはいたけど意識してなかったものにも目が向くようになりました。
▲日本三大カルストのひとつである平尾台には、その下に200もの鍾乳洞がある。自分の足で歩けるようになった子どもと歩くのも楽しいスポット。――お子さんといっしょに山を歩くようになったのは、いつからですか。
あずママ 子どもが生後3カ月のころに、抱っこ紐で平尾台をハイキングしたのが最初ですね。生後6カ月でベビーキャリーに乗せられるようになったので、登りは私が背負い、下りは夫が背負うという担当制で、大好きな立花山を歩きました。娘と見ているものを共有できたことが、すごくうれしかったですね。私はとにかく子どもの腰がすわるのを待ちわびていたので、それ以降はできる限り山へ足を運ぶようになりました。
――生後6カ月となると、授乳が続くなかで離乳食も始まる時期ですが、それらは山のなかで?
あずママ はい。登山道から少し外れた場所に座って、レインウエアなどで隠しながら授乳していました。意外と気づかれませんでしたね(笑)。離乳食は街で外出するときとおなじような感覚で、レトルトタイプのベビーフードを持って行って食べさせていました。
――なるほど。たしかに市販のベビーフードは、1食分が真空パックに入して販売されていたりもするから、山へも携帯しやすいですね。
自分とおなじような悩みを抱える人に「産後も山登りはできるよ」と伝えたい
――「あずママ」としてInstagramで発信をしようと思ったきっかけを教えください。
あずママ 妊娠中、私自身が産後の登山や子連れ登山に関する情報を探していたんですけど、当時は見つけることができなかったんです。
山登りが趣味ではない人に「産後に山登りをしたい」と話しても、「危ないからやらないほうがいいよ」と言われてしまうことが多くて、それで落ち込むこともありました。でも山仲間に背中を押してもらえて、そのおかげでいまこうして山登りをできているので、妊娠中や産後で漠然と不安を抱えている人たちに、「産後も山登りはできるよ」と伝えたいなと思いました。
――1年間Instagramでの発信を続けてみて、印象に残る反応はありましたか。
あずママ 「いまは妊娠中だけど、出産後もこうやって山を登ってみたいです」というように、メッセージをいただくことが多くなってきました。予想していた以上に、山登りをしているママやこれから登りたいと思っているママが多いということに気づけたので、その方々がつながったらおもしろいだろうなと。またそういう方々と触れ合う機会が増えて、私自身も「もっと頑張って、いろんな山に登りたい」と思うようになりました。
Instagramを始めてから、山を登っているときに「あずママさんですか?」と声かけられることもあって、それはすごくうれしいですね。
――あずママさんは、SNSコミュニティ「山好きパパママ部」のメンバーとしても活動されているようですね。
あずママ はい。元々、このコミュニティを主宰している方と仲がよかったので、九州担当として盛り上げたいなと。関わるようになって、さらにたくさんの山好きなパパママたちとつながることができました。私の娘はまだ1歳ですけど、お子さんが幼稚園や小学校に通っている先輩たちが情報を上げてくださるので、とても参考になっています。
――身近で「子育て中だけどたくさん山に登りたい!」という人を探そうと思ってもなかなか難しいので、そういう人ともSNSで繋がれるいまはすごくいい時代だなと思います。
あずママ そうなんですよ。山好きで子育て中の人にも、いろんな考え方がありますしね。でも私は「子どもと山に登るのは大変だけど、すごく楽しいよ」と、おなじような思いのママの背中を押したい。「山を諦めなくていいよ」と伝えたいんです。
――熱い想いを話してくださり、ありがとうございます。あずママさんの投稿を見てリアクションしている人だけでなく、リアクションしていない人のなかにも励まされている人がきっといるはずですね。
子連れ登山におすすめの山や子連れ登山あるあるなど、フォロワー代表として聞きたいことはまだ山のようにありますが、それについてはInstagramアカウント「あずママ(@azu_oyama)」をチェックさせていただきます。最後に、あずママさんとして今後の展望があれば教えてください。
あずママ 九州でも子連れ登山を盛り上げたいと思っているので、個人として、または山好きパパママ部を通してイベントを主催していきたいです。リアルな場で交流することで、登山や子育ての悩みを打ち明けられることもあると思うので、そういう機会を増やしていきたいですね。
あとは娘がもう少し大きくなったら、全国の山に登りに行きたいです。いろんな人と出会ったりして、さまざまな経験を娘といっしょにしていきたいです。
▲「山好きママのためのイベントを九州で開催したい」と今後の抱負を語ってくれたあずママさん。気になる方は、あずママさんのInstagramアカウントをチェック!SHARE
PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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