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【産後登山体験談】子どもと歩く”自分らしい山歩き”を見つけるまで

出産という大きな山を乗り越えたあと、どのようなステップを経て登山を再開していったのか。山を愛してやまない女性たちの産後登山体験談をお届けするインタビュー企画です。


プロフィール

ランドネ編集部/二宮菜花さん

1993年、東京都生まれ。2児の母。2015年に枻出版社に入社し、ランニングスタイル編集部に配属される。2019年よりランドネ編集部に所属。産休・育休期間を経て、2026年よりランドネ編集部に復帰。育児と仕事の両立に勤しみながら、休日に家族で山へ出かる日々を送っている。

育児に疲れ、両親に背中を押されて登った山の上で考えていたこと

東京都内で生まれ育った二宮菜花さんは、山好きの父親の影響で、幼少期から思春期まで休日に家族で山登りを楽しんできました。大学のワンダーフォーゲル部に入部してからは、仲間と週末ごとに山を登るようになり、長期休みにアルプスの山々へ出かけるなど、ピークハントを中心とした登山を多数経験。山好きが高じて、当時雑誌『ランドネ』や『PEAKS』を発行していた枻出版社へ入社し、入社4年後に念願のランドネ編集部の一員に。編集部員としてピークハントだけではない山歩きの楽しみ方を広げる一方、2022年に第1子を、2025年に第2子を出産しました。

 

――二宮さんは2019年にランドネ編集部に配属されたのですね。すぐコロナ禍に突入したタイミングですが、当時はどのように山を歩いていたのですか?

二宮 コロナのときは、自宅の近くの高尾山周辺をメインに歩いてました。落ち着いてきたら、山小屋に泊まったりもしてましたね。取材でも山へは頻繁に行っていたので、妊娠がわかるまでは本当に毎週、山を歩いてました。

妊娠がわかってからも、私はつわりが軽く体調の変化もそれほどないタイプだったので、しばらくはそれほど制限かけることなく登ってましたね。出産が近づいたころには、さすがに実家の土手を4㎞歩く程度に留めていましたけど。

――結構歩いていたのですね。お子さんが無事に産まれて、産後の登山はどのように再開しましたか?

二宮 産後数カ月くらいのときに、山小屋泊で夫と南アルプスの仙丈ガ岳を登りました。

私、出産と育児を舐めすぎていたんです。実際に経験すると、本当に大変すぎて……。身体は痛いし、おっぱいは出ないのに痛いし。毎日苦しくて、限界がきてしまったんです。そのときに私の両親が、私が山好きなのを知っているので、「一回山でも登ってきたら?」と言ってくれたんですよね。「それじゃあ、桂太さん(夫)と仙丈に行ってくるわ」と。親はもう少し近くの山を想定していたと思いますけど、私は「そのくらいの山に行かせてもらわないと、もうやっていけない」と言って。

授乳は母乳とミルクの混合だったので、不在の間は両親に子どもの面倒を見てもらいました。私は家族に恵まれていると思います。

――山が好きなご家族ならではですね。産後間もないころの育児で、いちばん大変だったことは?

二宮 前からわかっていたはずなのに、「私はもう一生山に登れないんだ」と思うほどの喪失感があったんですよね。でも、本当はそんなことないじゃないですか。でもなぜか、山から離れた気持ちになってしまって。いま振り返ると、産後うつのような感じだったのかも……。

――なるほど。ご両親が、二宮さんのその状態を汲み取って、提案してくれたわけですね。登ってみてどうでしたか、産後初の登山は。

二宮 登っていても、結局子どものことが頭の片隅にずっとありました。山小屋のなかに小さな子どもを連れた家族もいたので、そのようすを見て、自分の子どもと重ねながら「うちの子も大きくなったらあんな感じになるのかな」と考えたり。夫との会話も子どものことばかりで、「山に行きたい」と思って登ったのに「子どもに会いたい」という矛盾が生じていました。申し訳なさを背負い続けた感じで、正直、解放感や達成感は得られませんでしたが、逆にそれがわかってよかったです。

▲産後の初登山は、子どもを両親に預けて夫と登った仙丈ガ岳。馬ノ背ヒュッテに1泊して仙丈ガ岳の山頂まで歩いたが、達成感よりも子どもへの恋しさが募った。

家族3世代、1泊2日の山小屋泊で尾瀬を歩く

――それ以降はどんな登り方を?

二宮 基本的には子どもを連れて行く山歩きでしたが、産後4カ月くらいで友人と蓼科山に登ったりもしていましたね。

――アクティブですね!子連れ登山のデビューはどの山に?

二宮 デビューは高尾山です。妊娠中に、高尾山の薬王院で安産祈願をやってもらったので、生後3カ月ころにそのお礼参りに行きました。そのあとは、大体2カ月に1回のペースで、子どもを背負って山を歩いてましたね。

――子どもを連れて登る山は、大人だけで登る山と感じ方に変化がありそうです。

二宮 子どもの月齢、年齢によって変わっていくものだと思います。ひとり目の0歳のときは、「親のエゴで歩いてるな」という感覚があったので、子どもが安全であるかとか、どのくらいの行動時間になるかとか、そういうことしか考えてなかったです。ひとり目が3歳になったいま、気づきを与えられることが多くなってきたなと実感しています。

いつも夫とベビーキャリアを交代で背負いながら登っているのですが、慣れてきたら「山に泊まりたい」という欲が出てきて、私の父と母を誘って尾瀬を山小屋泊で歩いたりもしました。

――3世代で山歩き、素敵です!

二宮 背負うのは基本的に私か夫のどちらかですが、大人が4人いると心の余裕が出てきます。いっしょに行ってもらえて、本当にありがたいですね。

▲3世代で歩いた尾瀬の思い出。子どもをベビーキャリーに載せて、燧ヶ岳まで登った。

――ふたり目を産んだあとは、どんな楽しみ方になりましたか?

二宮 ふたり目が産まれてからは、「山に行きたい!」という思いが落ち着きました。0歳児はふにゃふにゃだし、子どもふたりを連れていくのはやはり大変なので、山歩きも慎重になりましたね。ふたり目の山デビューは、生後4カ月のときに歩いた伊豆大島の三原山です。なだらかで、登山というよりハイキングとして楽しめる山でした。

――ハイキングとはいえ、産後4カ月で0歳児と3歳児を山に連れて行けたのはすごい! しかも産後なので、体力の衰えを感じたりはしませんでしたか?

二宮 ひとり目のときもそうでしたが、じつは、登山ではあまり感じなかったですね。正直、育児のほうが大変だなと。本当に寝られないし、ずっとおむつ替えなどでスクワットみたいなことを続けているじゃないですか。そのほうが全然きつくて。

山にいるときのほうが、自分のペースで歩けるから楽だなと感じました。ただ「うわぁ、これはダメだ」と思ったのは、トレランのレースに出たとき。ひとり目を産んだ1年半後くらいに30㎞のレースに出たんですけど、走り出して10㎞あたりから足も痛いし息も切れて、「完走できないかも」と思いました。出産前は、50㎞以下のレースであれば、それほど練習しなくても完走できていたので……。産後を舐めていましたね。

▲ふたり目が生後8カ月のころには、山好きの友人一家といっしょに秩父の破風山へ。

山で機能性を実感!ランドネ編集部員おすすめの子連れ登山アイテム

――現役のランドネ編集部員ということでぜひ教えてほしいのですが、子連れ登山をするうえで重宝しているアイテムは?

二宮 子ども用のオーバーオールです。じつはこれ、ランドネ編集部のみなさんから出産祝いとしていただいたものなんです。

ベビーキャリーに載せていると、おむつが横漏れしやすいんですよね。でもこれを服の上に着せていれば、おしっこやうんちが漏れてしまっても、ベビーキャリーのほうにはつかず、オーバーオールのなかで完結してくれます。転んで泥だらけになったときに、汚れをすぐ落とせるのもいいですね。ケガ予防にもなります。山小屋泊のときや標高の高い山を歩くときは防風にもなるので、ずっとこれを着せてました。

▲夏の山歩きでも冬の雪遊びでも活躍する、パタゴニアのオーバーオール。サイズは12-18カ月用だが、少し大き目なので2歳を超えても充分に使えたそう。

――汚れやケガだけでなく、おむつ漏れも防いでくれるとはすばらしい!

二宮 もうひとつおすすめしたいのが、ウール素材の靴下ですね。子ども用の靴下って、つい安いもので済ませがちじゃないですか。私も最初はそういうのを履かせていたら、足が汗でビチョビチョになってしまいました。蒸れて臭くなるし、靴擦れしやすくなってしまう。自分から水たまりに入りに行ってしまったりもして。でもウールの靴下なら蒸れないし、万が一濡れてもバックパックに括りつけておけばすぐに乾いてしまいます。さらに丈夫で長持ちするのもいいところですね。多少高くても靴下には課金するべきだなと思いました。

あとはサーモスの山専ボトルです。一般的なボトルよりも保冷・保温力が全然違うので、ミルク用のお湯を入れています。このボトルの便利さを再確認して、「山をやっていてよかったな」と思いました(笑)。

▲ランドネのスタイリストに勧められて購入したというスマートウールの靴下。実際に使ってみて、「先輩の言うことは間違いない」と実感。

――アウトドア用品の高い機能性は、子連れ登山の意外なシーンでも実力を発揮するわけですね。話は変わって、二宮さんにとって理想的な山の割合というのはありますか?

二宮 家族の協力がある、ということが大前提なのですが、理想はやはり、月に1回はフィールドへ出かけて自然と触れ合いたいですね。それは子どもを産む前から思っていました。山登りにこだわらなくても、キャンプへ行ったり、川で遊んだり、冬だったら雪遊びをしたり。私が強制的にスケジュールに入れ込むので、子ども生まれてから割と達成できています(笑)。「ここへ行きたいんだけど」と伝えると、両親もいっしょに行ってくれたりするので、本当に家族の協力があるからこそですね。そのぶん準備や運転など、自分がやれることはなるべくするように心掛けています。

――そもそも二宮さんは、お父さんが山好きで、家族で登山を楽しんできたというベースがありますもんね。子どもたちが大きくなったらどんな山登りをしたいですか?

二宮 行きたいところがありすぎて……。子どもたちが小学生に上がったら、アルプスの山々などもいっしょに歩けると思うので、それはすごく楽しみですね。

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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