
モーニングに始まり、ライブで締める「金山ブラジルコーヒー」で名古屋喫茶店カルチャーの深淵をのぞく[名古屋特集]
タビノリSTAFF
- 2025年11月14日
食事やデザートなど飲食店としても利用できる充実したメニュー、幅広い年齢層が日常的に利用できる雰囲気と常連客を大切にするもてなしの精神、”名古屋めし”に代表される「濃い味付け」に合わせた濃い味のコーヒー……。
高度成長期、比較的土地代が安価だったことと、企業の倹約精神を背景とした脱サラが、名古屋に個人経営の喫茶店が増え、独自の喫茶文化圏を形成した背景と言われる。
今や全国的に知られるようになった”モーニング”は名古屋発の喫茶文化の象徴、同地を訪れれば一度は現地のリアルな喫茶店カルチャーに触れたいと誰もが思うはずで、駅地下から下町の商店街まで、ある意味どこにでもそうした味わいのある喫茶店が存在するのだが、名古屋・金山地区にある「金山ブラジルコーヒー」は名古屋の喫茶文化をより濃厚に味わえるスポットだ。

モダンな外観の雑居ビル1階に昭和の喫茶店らしい佇まいでブラジルコーヒーは入居している。店の前はターミナル駅に通じる幹線道路で人もクルマの往来も多い。
中部エリア屈指のターミナル駅で半世紀以上にわたり親しまれる老舗喫茶店
東海道新幹線「名古屋」駅からローカル線に乗り換えて約3分、名古屋駅から歩いても20分ほどの距離にある、名古屋・金山地区。JR(中央線、東海道線)、名鉄(名古屋本線)、地下鉄(名城線、名港線)の5路線が乗り入れ、1日約40万人が利用するターミナル「金山」駅を中心としたエリアは、中部国際空港へのアクセスも良好で、2026年に名古屋を中心として開催される「アジア・アジアパラ競技大会」を前に、さらなる盛り上がりを見せている。 「金山ブラジルコーヒー」はそんな金山駅至近の目抜き通りに面し、半世紀以上この地で営業を続けている老舗喫茶だ。

常連から観光客までゲストを魅了する王道モーニング
平日の午前10時、モーニング目当ての来客が落ち着いたタイミングで店を訪れると、店内はレジ前におかれた自家焙煎マシンから香ばしい珈琲豆の香りが漂っていた。間仕切りがなく、ラウンジハイトの低めのソファや椅子が並ぶ開放的な店内には、常連と思しき客が思い思いに過ごしている。 窓際に席を確保し、ブレンド(480円)をオーダーすると、ほどなくして店舗のロゴが刻まれたカップに注がれたコーヒーと、厚切りのトースト、ゆで卵にサラダ、小倉あんをのせたモーニングサービスが一緒に供された。トーストは外カリ、中フワでバターがたっぷり、後半は小倉あんで味変し、酸味と苦みが高バランスなコーヒーに添えらえたミルクがコーヒーフレッシュでなく生クリームなのも、名古屋喫茶の流儀に則っている。まさに名古屋喫茶王道のモーニングだ。 コーヒーを味わいつつ、11時以降からの提供となる「鉄板ナポリタンスパゲティ(900円)」を追加オーダー。しっかりとした味付けの太めのスパゲティと鉄板で焼かれた玉子焼きの香ばしさと共に、細切りのピーマン、赤ウィンナーの具材が良いアクセントになった定番ナポリタンですっかり満腹。 このナポリタンと双璧をなす「鉄板インディアンスパゲッティ(900円)」(※カレーをかけたスパゲティ)も、味わっておきたい”鉄板”メニューだ。

定食のお味噌汁をいただきながら見られるライブ空間
金山ブラジルコーヒーの創業は1971年。現在、店舗の代表をつとめる角田健太さんは創業者の孫にあたる人物で、名古屋を中心に音楽活動を行うミュージシャンでもある。老舗喫茶店がライブハウスとしての顔を持った理由も、当然、彼の存在が大きく関わっている。

進化を止めずに、真価を保ち続ける喫茶店
スペシャリティコーヒーをブレンドし、健康で香り高いコーヒーで提供しています」
変化を恐れず新たな試みを次々に打ち立てる三代目。ただ、あくまで元々の純喫茶として提供する価値にブレはない。
「喫茶で昔から来店いただいているお客様が一番大事なことに変わりはありません。そういう方にとっての居心地の良さや時間、場所を提供しつつ、ブレないところはブレずに好き勝手に遊びたいなと思ってますね」
取材時も、入店直後からお客とスタッフの間で度々会話が交わされる様子が散見された。平日の午前、店内には地元の常連と思しき年配者もいれば、PCを開いてメールを確認する若いサラリーマンやリラックスした格好の学生の姿もあった。どこにでもある喫茶店の景色がある一方で、夜にはどっぷりローカルのライブを定食と美味しいコーヒーとももに堪能できる。名古屋の喫茶店カルチャーは、かくも奥深き、日本が誇る文化財なのだろう。
infromation
自家焙煎の店 ブラジルコーヒー
住所:愛知県名古屋市中区金山4-6-22 金山コスモビル 1階
営業:月~木9~ 21時、金9~22時、土8~ 22時、日・祝8~18時 ※イベント開催日は閉店時間に変更有り
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PROFILE
タビノリSTAFF
『タビノリ』は、旅の楽しさは、旅のはじまりである「移動」から、旅前の準備、ふとした寄り道、車窓から見つけるお気に入りの風景など、旅の余白に目を向け発信していくメディアです。また、旅をその周縁のものと組み合わせ、定番の旅先や新しい旅の提案などを仕掛けていきます。
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