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ファッション好きなら名古屋・大須の古着&カルチャー発信拠点「the Other(ジ・アザー)」へ行け[名古屋特集]

古着や音楽好きが集まる「下北沢」に、旧き良きニッポン文化を感じる「浅草」、ホビーやカルチャーの拠点「秋葉原」。愛知県名古屋の中心、栄(さかえ)の南側に広がる大規模な商店街・大須商店街周辺のエリアを東京の街に例えるなら、それら3つの街を足して3で割ったようなエリア、といったらイメージが伝わるだろうか。いずれにしても広報誌で“ごった煮”と自らを語るように、なんでもありというのが多くの人が持つ第一印象だと思う。

同地は長年、中部エリアにおける若者のファッション・カルチャーの発信拠点となってきたエリアであり、中でも、90年代からこの地を拠点に営業を続けるショップ「the Other(ジアザー)」は別格。名古屋を訪れるなら一度は足を運ぶべきショップといえるかもしれない。

 

江戸時代まで遡る歴史ある街は常にファッション、カルチャーの発信拠点だった

東海道新幹線「名古屋」駅から、地下鉄に乗り換えて約10分ほどで到着する「大須観音駅」。改札を上がり、しばらく歩くと若宮大通、伏見通、大須通、南大津通の四つの通りに囲まれたエリアにたどり着く。ここに約1,200もの店舗・施設が林立する中部エリア屈指の商店街、大須商店街がある。

 

「大須」という地名の由来となっているのは、1612(慶長17)年に、かの徳川家康の命によるいわゆる清洲越し(※きよすごし=名古屋城の築城に伴う清洲〈現在の岐阜羽島〉から名古屋への都市の移転をいう)にまで遡る。城の移転に伴い、周辺施設の武家屋敷や神社仏閣なども併せて移転される中、清州にあった大須観音が現在の地に移転したことで、周辺地域が大須観音の門前町となり、大須と呼ばれることになったとされる。

その後、大正期に入り大須商店街が誕生すると、劇場、演芸場、映画館などが作られ、名古屋市内随一の歓楽街として発展。戦後の復興期は名古屋中心部との分断により、一時は活気を失うものの、1970年代後半に家電販売店やパソコンショップなどが集まりはじめ、秋葉原、日本橋(大阪)とともに日本三大電気街に数えられる、オタクの街としての顔をもつことに。

さらに近年では海外の商品を販売する店舗や外国人が集まる店舗が増え、様々な国々のファッション、グルメに触れることができる多国籍なエリアとしても注目されるなど、その混沌としたあらゆるものを取り込むフリーダムな賑わいが、若者から年配者、観光客まで多くの人々を魅了する要因となっている。

また、ファッションにおいて発信拠点となってきた背景には、同地で昭和の時代から大須観音の縁日にあわせて開催されてきた骨董市の存在も見逃せない。陶器や着物、レトロなおもちゃといった骨董品の取引は、いわばリサイクル文化の先駆けであり、ブランド品リサイクルで知られる『コメ兵』も大須に本社を構えるなど、周辺には1990年前後の第一次古着ブーム以前から、様々な古着ショップが林立、現在でも全国区の古着街としての一面も併せ持っつ。経済的に裕福でない若者でも、古着を使って気軽に自分らしいファッションを楽しめる、そうしたサブカルチャーに対する素地が存在するエリアというわけだ。

前段が長くなったが、先にあげた「the Other(ジアザー)」は、そんな同地で30年以上にわたり営業を続ける60~70年代古着を中心とした老舗ショップである。

大須には個性的なファッションでも受け入れてくれる下地があった

意識せずに歩くと通り過ぎてしまいそうな間口の狭い、大通りに面したビルの一階、マットなブラックのシンプルな外観にゴールドの看板、真っ赤なインテリアと所狭しと並べられた60年~70年代のファッションアイテムが印象的な「the other」の外観。誰もがフラッと入りやすい敷居が低いショップとはさすがに言い難いが、ちょっぴり勇気を出して店内へ。

 

以前は商店街の中ほどに立地していたが、現在は商店街のメインストリートから外れた場所に移転。それでもこのショップを目当てに全国から客足が絶えない。
真っ赤な店内には、1960~70年代の国内外から仕入れられたサイケデリックな古着や、それらをモチーフにしたオリジナルアイテム、ファッション小物などがラックにぎっしりとディスプレイされている。

迎えてくれたのは、店長の鈴木氏。店舗がオープンした1994年から現在までショップ運営に携わる。店舗オープンの経緯から名古屋・大須のファッション、カルチャーについて語ってもらった。

 

「the other 」店長の鈴木隆浩氏。店舗運営と並行し、名古屋のクラブ・イベントでDJとしても活動。

 

 

「60~70年代のファッションをコンセプトにしたショップは東海エリアではウチが初めてだと思います。

自分たちが若かったころの世代は、ファッションと音楽が完全にリンクしていて、自分は当時、音楽的にもファッション的にもモッズに傾倒していたこともあり、それらをコンセプトにした専門ショップをやらないか、と共同運営のパートナーに誘われる形で参画することになりました。

オープン当初はイギリスやアメリカに買い付けに行っていましたが、現地のバイヤーや国内の仕入れ業者との繋がりができてからは、安定して商品を仕入れられるようになり、現在は海外のインポートのアイテムに加え、国産のヴィンテージものも扱っています。

元々、店を始める前から大須商店街には、おじいちゃんおばあちゃんしか立ち寄らないような洋品店が残っていて、そうした店には自分が好きな60~70年代の服がデッドストックで残っており、それらをディグッたりしていたので、仕事にする以前からバイヤー的なことはしていたのかもしれません。

当時から大須は、近隣である名古屋・栄とは街の文化が違っていて、古着などのファッション、古本やレコードなど自分が好きな時代のカルチャーにどっぷりハマれるエリアでした。

 

 

今の若い世代では、昭和レトロがちょっとしたブームですが、20年前のファッションが見直される流行の周期ってありますよね。自分たちが90年代頃に当時の流行よりも、70年代のカルチャーに魅了されたのと同じ思いなのだと思います。

当時はまだインターネットが普及する以前でしたし、バンドやDJイベントなどのクラブカルチャーの影響力が大きく、当時からショップの運営と並行してこれらイベントに携わっていたこともあり、徐々にお店が知られるようにったのかなと思います」

 

長年の知見をいかし、オリジナルアイテムとしてワンピースやベルボトムも販売。インポートアイテムに偏重することなく、自分たちが格好良いと思うアイテムを国内外問わずセレクトしている。

 

レコードショップの2階でスタートし、大須商店街で2号店、3号店と店舗を拡大した後、昨年12月から現店舗へ移転オープン。その間、若者のファッションはヴィンテージジーンズから、ファストファッション、ファッション系のリサイクルショップの台頭など様々に変化し続けたが、the otherの本質は変わっていないように見える。

「自分たちの好みがショップに反映されるというのはありますね。初めのうちはモッズ専門と考えていましたが、その後、フラワー、サイケな品揃えになり、その後はヒッピー、ソウルファッションに。その間、自分も髪を長髪に伸ばしたり、アフロにしたり、フリンジの服を着たり、自分たちの好みに品揃えが流されるみたいな(笑)。

オープン当初はイギリス古着だけの店でしたが、現在は、ドイツ、フランス、アメリカ、国産古着、雑貨を取り扱っています。」

古着として一般的に想像する、アメリカ古着ではなく、ヨーロッパ古着を扱った店が界隈に多くみられえるのも大須の古着街の特徴だが、創業以来、一貫してヨーロッパ古着を扱っているこのショップの存在が、こうした雰囲気の醸成に果たした役割は小さくないだろう。

 

日本人の体型に合うものが多いヨーロッパ古着を中心に、程度の良いアイテムが豊富に並ぶ。欧州古着を扱う店舗が多い大須界隈の相場感もあり、東京の同種のショップでのプライスタグに比べかなりリーズナブル。有名アーティストを含め、全国からファンが集まるのも納得。

新店舗はオープン当時の原点に立ち返ることを意識

約1年前の2024年12月、店舗は現在の位置に移転。大須商店街の中にあった以前の店舗の方が立地はよさそうに見えるが移転の理由を聞いてみた。

「約25年、大須商店街で店舗を構えていました。路面店で人通りも多く一般の方が入りやすい立地ではありましたが、コロナ禍が終わり約2年前から食べ歩きの街に変わり、当店の周りは食べ歩きのお店が多く、食べ歩きと服屋ではなかなか難しい部分もあり、移転を決めました。 お店の雰囲気が変わったことで賛否両論はありますが、商品や方針は変わっていません。 商品はクリーニングや修繕を徹底し、状態に応じて価格を調整、手頃な価格で楽しめる店を目指しています。」

時代は変わってもブレない価値観とそれに共感する人々、多様なファッションを許容する大須には、流行の最先端がそろう東京とは違う意味で、現代日本のファッションの聖地といえるのかもしれない。

 

infromation

the other(ジ・アザー)

住所:愛知県名古屋市中区大須 3-39-23  小林ビル1階

営業:13時~ 水曜休(臨時休業あり)

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タビノリSTAFF

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『タビノリ』は、旅の楽しさは、旅のはじまりである「移動」から、旅前の準備、ふとした寄り道、車窓から見つけるお気に入りの風景など、旅の余白に目を向け発信していくメディアです。また、旅をその周縁のものと組み合わせ、定番の旅先や新しい旅の提案などを仕掛けていきます。

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