町から山へ、山から町へ。“歩く旅”の魅力を知る「富士山ロングトレイル」を歩いてきました!
ランドネ 編集部
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【DAY2】日帰りで人気の山梨百名山をつないで、下吉田の宿まで

森のなかから、鳥のさえずりが聞こえてくる2日目の朝。木々のあいだから昇る太陽の光を感じながら、コーヒーを淹れたり、フルーツを食べたり、心地よい朝の時間をすごします。そして、朝8時。バックパックを背負い、山歩きがスタート。この日は、石割山から二十曲峠を経由し、杓子山に登頂、そして下吉田の町を目指す行程。歩行時間は約7時間30分。沢の音が聞こえる木漏れ日のなか、一歩ずつまた体を山モードに戻していきます。


ビアッソからスタートする場合、石割山名物の403段の階段は通らずに山頂を目指すことができます。「ちょっと得した気分だね」と話しながら、石割山ハイキングコースをたどっていくと、御神木となる大きな桂の木が。「この木の裏には、水の湧き出る大釜岩があります。この源流が山中湖に流れ、忍野八海、桂川、そして相模湖へとたどり着く。桂川の名前の由来は、この桂の木だといわれているんです」と太田さん。


そして、歩き始めておよそ1時間。「天の岩戸」伝説の地ともいわれる石割神社に到着。高さ15mもの巨岩が鎮座し、その岩の割れ目(幅約60cm、長さ約15m)のあいだを時計回りに3回通れば、幸運に恵まれるという言い伝えがある場所です。それぞれが祠に手を合わせたり、岩のあいだを回ったり。神聖な空気に包まれたここで、呼吸を整え、体を休めたら石割山に向けて再び歩みを進めていきます。


石割神社からおよそ30分。急な上り坂に息を切らしながら、標高1,412mの石割山にたどり着いた一行。山梨百名山にも数えられる山頂からは、しっかりと富士山の姿が。記念撮影のあとは、バックパックに詰めてきた地元のお弁当屋さんの「おにぎり弁当」でランチタイム。梅干しを添えた塩むすび&枝豆むすびの塩味が、疲れた体に沁み渡ります。ほかにも紫蘇ハンバーグのピーマン詰め、車麩の唐揚げなどの手作りおかずの数々。この先も歩き続ける力を与えてくれる、おいしさです。



石割山をあとにして、二十曲峠を目指すための尾根道に出ると、風が一気に吹き抜けていきます。この旅で何度も感じている“恵みの風”。歩く道が変わると、植生だけでなく風が変わる。そして、眼下に見えてきたのは、また次の町。景色が変化するたび、確実にこの旅が前へ進んでいることを実感します。


石割山から約40分で二十曲峠へ。展望テラスからは、富士山はもちろん、足和田山や竜ヶ岳、さらには北岳から聖岳までの南アルプスの山並みが一望できます。ふもとに広がる町は、山梨県忍野村。大きく裾野を広げる富士山を眺めながら、「富士山の形は、およそ1万年前の新富士火山でほぼ完成していて。縄文時代の人たちは“いまの”富士山の形は、見ていないんですよね」と太田さんがぽつり。当たり前と思っているものも、永遠にあるとは限らない。守りたい景色のために、自分たちができることは何か。旅での出会いは、さまざまなことを考えるきっかけを与えてくれます。



ここから先が、この日一番の頑張りどころになるであろう、杓子山へのアプローチ。昨日Yamanaka Terraceで調達した、デーツやパイナップルのドライフルーツを行動食に、ゆっくりと歩き始めます。1時間ほど歩いたところで、立ノ塚峠(たちんづかとうげ)に到着。「エスケープするとしたらここからです」と教えてくれる太田さんに、「山頂まで一緒に頑張ろう」とみんなの気持ちは一致。
ひとりなら無理かもしれない、けれどみんなで励まし合い、支え合うことでたどり着ける場所もある。このあと、そんな場面を何度も見ることになります。



杓子山に向かって延びる道には、ロープの張られた岩場を上るパートも。足の置き場、手の置き場を確認しながら、ゆっくりと体を上へと移動していきます。呼吸を整えるために立ち止まったところでは、名前の知らない花に癒されたり、遠くに見える山中湖や歩いてきた稜線、風を感じた鉄塔の姿に背中を押してもらったり。登って、降りて、また登って。いつもの登山よりも、もうちょっと、もう一歩、頑張るパートが多いこの杓子山。
周囲に少しずつ霧が立ち込めるなか、立ノ塚峠からおよそ1時間40分。ついに、標高1,598mの杓子山の頂へ――。


真っ白な霧に覆われた杓子山。ここも山梨百名山のひとつであり、本当なら目の前に雄大な富士山の姿が見えるはずだけれど、「これはこれで!」と、みんなで笑い合います。このうえない達成感。そして、天空の鐘が響き渡ります。こんなにも喜べるのは、限界のトビラを何度も開けながら、辛くてもみんなでここまで歩いてきたから。
ここからは、杓子山でのメジャールートで下山。万病にも効く霊水ともいわれる「不動湯」を通りすぎ、アスファルトの道を進みながら、下吉田の町を目指していきます。夕暮れに染まる田んぼ風景を眺めていると、18時を知らせるチャイムの音。この日のゴールまであと少し。

「SARUYA HOSTEL」で、ふもとの町を満喫する滞在を

到着した宿は、ノスタルジックな雰囲気が残る商店街の中にある「SARUYA HOSTEL」。築80年以上の古民家をリノベーションして再生したホステルは、2015年にオープン。施設は、元美容室でありPOP UPスペースを併設する本館、飲み屋を営んでいた長屋で畳部屋のある別館、1階で「FabCafe Fuji」を営む元銀行の建物のKIKUの3棟に分かれ、それぞれの特徴を活かした居心地のよい空間を提供しています。



今回宿泊をしたのは、KIKUのお部屋。天井が高く、大きな窓を配した開放感ある空間には、アンティーク家具などが並び、タイル張りの水回りには河口湖近くに工場をもつ「Leaf&Botanics」のアメニティが揃えられるなど、特別だけどほっとできる“ふもと時間”をすごすことができます。2日間の山旅の疲れを癒すのに十分すぎるほどの場所。これも町に下りてきたからこそ。暖簾をくぐり、バックパックを下ろすと、気持ちも体もふっと軽くなる。夕食は、下吉田の町歩きを楽しみながら、地元で人気のレストランでお疲れさまの一杯を。明日はいよいよ、旅の最終日!


SARUYA HOSTEL
山梨県富士吉田市下吉田3-6-26
TEL.0555-75-2214
宿泊料金:KIKU 29,000円/1室、本館7,900円~/1名、別館7,200円~/1名
https://saruya-hostel.com/ja/
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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