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夏の北アルプステント泊 はじめの一歩と装備計画③「ギア選びの実践基準・寝袋&マット」編|PEAKS 2026年5月号

テントという“宿”を決めたら(前回の記事はコチラ)、次は眠るための寝具選びだ。寝袋とマットは別々の道具ではなく、組み合わせて初めて機能するスリーピングシステム。「寝袋より先にマットを見直したほうがいい場合もあります。地面の冷えは想像以上」と時男さん。テント内就寝でも身体は活動時ほど熱を発しないため、夜間は想像以上に冷えやすい。保温性や厚み、収納性のバランスを見極め、自分の体質や行程に合った快眠環境を整えたい。

文◉福瀧智子
写真◉加戸昭太郎

KEYPOINT【1】寝袋だけ快適でもダメ

暖かい寝袋さえあれば安心と思いがちだが、それだけでは十分といえない。北アルプスの寒い夜の地面の冷えは想像以上に強く、断熱が不十分だと体温が奪われて眠れなくなることもある。

「寝袋のスペックばかりに目が向きがちですが、じつはマットが土台」と時男さん。マットが地面からの冷気を遮り、寝袋が体から逃げる熱を保つことで初めて快適な睡眠環境が整う。両者を組み合わせた“スリーピングシステム”という視点を欠かさずにいよう。

KEYPOINT【2】寝袋の素材と快適温度

北アルプスの上部では、平地の感覚で選んだ寝袋では寒さを感じることがある。素材の違いや表示されている快適温度を確認し、行き先や時期に合ったモデルを選ぶことが、安眠につながる。寝袋は基本的に「少し暖かめ」を選ぶのが安心で、内部の綿量が多いほど保温力は高まる。対応温度も個人差があり、自分の寒さの耐性も考慮したい。

<中線素材>
【化繊】
中空繊維が空気を含んで保温し、濡れても性能が落ちにくい。乾きが速く初心者にも安心。ただし同等の暖かさではダウンより重く収納もかさばる。

【ダウン】
羽毛が空気を含んで高い保温力を発揮し、軽くコンパクトに収納できる。ただし濡れると膨らみを保てず性能が落ちるため、結露や湿気対策が不可欠。

<快適温度>
寝袋の暖かさは収納袋の温度表示(写真)だけでなく、体質や寒さへの強さ、着込む服装によっても感じ方が変わる。想定気温に対して余裕のあるモデルを選び、寒ければ衣類で調整する考え方が安心だ。

KEYPOINT【3】マットは厚みと断熱性のバランス

マットはクッション性だけでなく、地面からの冷えを遮る断熱性も重要だ。断熱性能は「R値」という指標で示されるモデルもあり、数値が高いほど地面の冷気を伝えにくい。夏のテント泊ならR値2前後でも対応できるが、標高の高い山では冷え込みやすく、もう少し余裕のあるモデルが安心。厚みや寝心地だけでなく、断熱性能とのバランスを見て選びたい。なお、下記のタイプ以外にスポンジを内蔵した「インフレータブル」というタイプもある。

<エアマット>
内部に空気を入れて膨らませるタイプで、軽量かつコンパクトに収納できるのが特徴。厚みがあり寝心地もよく、地面の凹凸を感じにくい。一方でパンクの可能性があり、取り扱いには注意が必要。価格帯はやや高め。

<クローズドセルマット>
スポンジ状の素材を使ったタイプで、広げるだけですぐ使える手軽さが魅力。パンクの心配がなく耐久性にも優れるが、かさばりやすく収納性は低め。厚みが限られるため寝心地はやや硬めになる。価格帯は比較的安価。

KEYPOINT【4】マットの収納・使用サイズ

エアマットは空気を抜けば小さくまとまり収納しやすい。一方、クローズドセルは外付けになることが多く、行動中に引っかけやすいが、扱いが簡単で座るなど気軽に活用できるメリットも。

マットは収納サイズも重要な判断材料だ。バックパック内に収まるか、外付けになるかで行動中の扱いやすさは変わる。そのうえで選ぶ基準となるのが使用時の長さ。目安は身頃のみなら約120cm、肩から足元まで約150cm、全身を覆うなら180~200cmだ。

短いほど軽量でコンパクトだが足元の冷えが気になることも。長尺タイプは快適な反面、重量増とかさ張りが難点。短いマットを選ぶ代わりに枕を増やす手もあるが、衣類を詰めたスタッフサックで代用する工夫も有効だ。

<教えてくれたのは>

ヨシキ&P2・吉野時男さん

ヨシキスポーツ取締役社長。幼少期から大学までは競技スキーに打ち込み、現在は仕事を含めあらゆる登山スタイルで年間130日近く山に入る。本企画では時男さんと呼ぶ。

<PEAKS読者モデル>

下田 翔さん

職場仲間の誘いで登山を始め、現在6年目。北アルプスを中心に日帰り登山に打ち込んでいたが、テント泊熱が抑え切れず読者モデルに応募。好きなブランドは山と道。

吉野美紀さん

元ワンゲル部で、前穂・奥穂や立山などのほか、海外登山も経験があるが、テント泊は未経験。きっかけづくりに今回応募。使いやすさが一番のモンベル好き。職業は栄養士。

<SHOP INFORMATION>登山者を現場目線で導く「ヨシキ&P2」

千葉県習志野市にある山とスキーの専門店。登山やクライミング、BCスキーなどまで山遊びの道具を網羅し、実践で磨かれた目線で選び抜いたウエアやギアが並ぶ。
通好みの品揃えと確かな提案力で、マニアも唸るお店だ。

住所:千葉県習志野市谷津1-13-17
TEL.047-470-8090
営業時間:11:00~19:00
定休日:火曜日、第2・第4水曜日
アクセス:JR津田沼駅 南口より徒歩約5分
駐車場:なし(近隣にコインパーキング多数あり。商品購入で料金補助もあり)
HP:https://yoshiki-p2.com/

 

夏の北アルプステント泊 はじめの一歩と装備計画④「ギア選びの実践基準・調理道具」編|PEAKS 2026年5月号

夏の北アルプステント泊 はじめの一歩と装備計画④「ギア選びの実践基準・調理道具」編|PEAKS 2026年5月号

2026年06月29日

※この記事はPEAKS[2026年5月号 No.177]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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