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ルーク・バーンズがキャリア初の個人総合V ニルス・シンチェクはステージ2勝|ツール・ド・熊野

和歌山県と三重県にまたがる熊野地域をめぐる国際ステージレースイベント、ツール・ド・熊野2026(UCIアジアツアー2.2、SPORTS PRODUCE 熊野・主催)は、5月10日に全日程を終了。4ステージで争われ、ルーク・バーンズ(ヴィクトワール広島)が第2ステージ優勝、第3ステージ2位の走りで個人総合優勝。同2位だったニルス・シンチェク(リーニン・スター)との総合タイム差は1秒の大接戦だった。そのシンチェクは今大会で2勝を挙げる活躍ぶりだった。

大会前半はリーニン・スターが席巻

プレイベントとして5月6日に行われた和歌山城クリテリウムに始まり、翌7日からは本戦ステージレースへ。全4ステージ・464kmの戦いは、和歌山県印南町で幕を開けた。

印南が舞台になった第1ステージ(125.3km)では、レース前半に本多晴飛(VC福岡)と久保田悠介(ヴィクトワール広島)が逃げを打ち、メイン集団に3分を超えるリードを得る。ただ、中間地点を過ぎて集団のペーシングが本格化し、終盤までに2選手をキャッチ。17.9kmの周回コースを残り1周としたところで数人単位のアタックが散発すると、集団のペースが一瞬緩んだタイミングでシンチェクが決定的な動き。レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)が唯一食らいついたが、しばらくしてシンチェクが独走に持ち込んだ。

結果的に2位以下に18秒のタイム差をつけたシンチェクが、今大会ステージレース最初の勝者に。個人総合でも首位に立ち、リーダージャージに袖を通した。また、ステージ2位・3位もリーニン・スター勢が占めた。

© Syunsuke FUKUMITSU

5月8日に実施された第2ステージから、本格的に熊野山地へ。和歌山県古座川町を走る126.7kmでは、さらに戦況が動いた。

序盤はキナンレーシングチームが主導権を握り、やがて山本元喜(キナンレーシングチーム)、沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)、中村圭佑(ヴィクトワール広島)、林原聖真(シマノレーシング)が先頭グループを形成。しばし先行した4人から、山本が独走状態となる。その後はリーダーチームのリーニン・スターが集団のペースを上げて、逃げていた選手たちを吸収する。

レースが後半に入ると、宮崎泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン)、阿部源(VC福岡)、エリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島)が新たな先頭グループを形成。一時は集団に1分30秒差をつけ、逃げ切りの可能性に賭けた。

ただ、集団がさすがに容認はせず、フィニッシュまで18kmを残したところで先頭ライダーたちを吸収。代わって前に出たバーンズと武山晃輔(Astemo宇都宮ブリッツェン)の動きで流れが一変。徐々に集団との差を広げると、残り4kmでバーンズが武山を引き離すことに成功。そのまま逃げ切ったバーンズは、これがUCI(国際自転車競技連合)公認の国際レースで初の優勝。メイン集団は19秒差まで縮めたが、バーンズまでは届かず。それでも、シンチェクはリーダージャージをキープしている。

© Syunsuke FUKUMITSU

バーンズが2日連続上位入りで得たリーダージャージを守り切る

第3ステージは観光名所でもある「丸山千枚田」の山道を4回上る本格山岳ステージ。107.7kmとレース距離こそ短いながらも、ここでの走りが総合成績にそのまま反映されることはあるほどに重要視される“クイーンステージ”だ。

© Syunsuke FUKUMITSU

序盤は主だった逃げが生まれず、キナンレーシングチームやヴィクトワール広島が集団をコントロール。1回目の丸山千枚田を終えたところでトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)とキンテロが抜け出して、先行を続けた。

3回目の丸山千枚田登坂でニコロ・ガリッポ(チーム右京)ら数人が追走を試みたが、ここはうまく決まらず。ただ、先頭2人とのタイム差は縮まって、下り区間でふりだしに戻った。

最終4回目の丸山千枚田でアタックに出たのはガリッポ。前日に勝ったバーンズが続くと、そのまま2人逃げの態勢へ。フィニッシュまで20kmを残す段階で、約20人に絞られたメイン集団とのタイム差は1分まで広がった。

先頭2人のペースは最後まで落ちることなく、後続を振り切ることに成功。フィニッシュへの最終300mの急坂勝負でガリッポがバーンズを引き離すことに成功し、第3ステージ勝利。2秒差で続いたバーンズは、後続との差を十分に得たことでリーダージャージ奪取に成功した。

© Syunsuke FUKUMITSU

すべてが決する大会最終日・第4ステージは、捕鯨の街・和歌山県太地町へ。大会前にツール・ド・熊野を最後にキャリア終了を発表していたルバのセレモニーがスタート前に行われ、感動的なムードの中で選手たちは出発。早い段階で6人が先頭グループを形成すると、個人総合で上位進出の可能性を残す留目夕陽(愛三工業レーシングチーム)や山本大喜(VC福岡)が積極的に中間スプリントポイントでのボーナスタイムを獲得。メイン集団では、バーンズを擁するヴィクトワール広島がペースメイクを担った。

© Syunsuke FUKUMITSU

中間地点を過ぎたタイミングで、先頭グループから小石祐馬(キナンレーシングチーム)がアタック。独走態勢を固めていく。逃げ残ったメンバーが集団へと戻る一方で、個人総合9位につける山田拓海(シマノレーシング)が単独で追走。小石への合流に成功すると、集団に対して数十秒差で先行する。

© Syunsuke FUKUMITSU

フィニッシュまで10kmとしたところで、先頭2人と集団とは30秒差。ここで小石が最後のチャンスに賭けてアタックし、山田を引き離す。しかし、集団の勢いが上回り、残り4kmで小石を吸収。入れ替わるようにしてシンチェクがペースを上げると、みるみるうちに集団との差が拡大。そのままトップを快走し、第1ステージに続く今大会2勝目を挙げた。

© Syunsuke FUKUMITSU

第4ステージスタート時点でバーンズとシンチェクの総合タイム差は21秒。フィニッシュでの両者の差に注目が集まったが、10秒差まで縮めたメイン集団でバーンズがレースを完了。ステージ1位ボーナス10秒を減算してもシンチェクはバーンズに届かず。最終的な総合タイム差1秒で、バーンズがツール・ド・熊野2026の覇者となった。

今季からヴィクトワール広島で走るバーンズは、第2ステージでの国際レース初勝利に続き、ビッグなタイトルを獲得。総合表彰台でのインタビューでは、「これだけの成果を挙げられると思っていなかった。最高の気分」と笑顔を見せた。

© Syunsuke FUKUMITSU

最終的に、個人総合ではバーンズ、シンチェクに続いて、ガリッポが3位入賞。ポイント賞はシンチェク、山岳賞はガリッポ、23歳未満対象のヤングライダー賞はサミュエル・ベルトッリ(チームNIPPO・ヌオーヴァコマウト・オボール)がそれぞれ受賞。チーム総合では、ヴィクトワール広島が1位になった。

天気の変化が激しい熊野地域でのレースとあり、酷暑と大雨とが入り乱れるコンディションで知られる大会だが、今年は全日程好天のもと競技が進行。気温が上がったこともあり、開幕段階での出走者95人から、完走できたのは51人に。例年以上にサバイバル化した大会となった。

ツール・ド・熊野2026 最終成績

個人総合時間賞

1.ルーク・バーンズ(オーストラリア、ヴィクトワール広島)11時間1分25秒
2.ニルス・シンチェク(オランダ、リーニン・スター)+1秒
3.ニコロ・ガリッポ(イタリア、チーム右京)+14秒
4.ファーガス・ブラウニング(オーストラリア、トレンガヌサイクリングチーム)+25秒
5.エリオット・シュルツ(オーストラリア、ヴィクトワール広島)+32秒
6.岡篤志(日本、Astemo宇都宮ブリッツェン)+44秒
7.ゼブ・キフィン(ドイツ、トレンガヌサイクリングチーム)+45秒
8.織田聖(日本、愛三工業レーシングチーム)+47秒
9.山田拓海(日本、シマノレーシング)+48秒
10.橋川丈(日本、キナンレーシングチーム)+48秒

ポイント賞

ニルス・シンチェク(オランダ、リーニン・スター)

山岳賞

ニコロ・ガリッポ(イタリア、チーム右京)

ヤングライダー賞

サミュエル・ベルトッリ(イタリア、チームNIPPO・ヌオーヴァコマウト・オボール)

チーム総合成績

ヴィクトワール広島 33時間7分12秒

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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