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夏の鳥海山でしか味わえない特別なヒルクライム|矢島カップMt.鳥海バイシクルクラシック

東北・秋田県で開催される伝統のヒルクライムイベント「矢島カップMt.鳥海バイシクルクラシック」。2026年8月1日、2日に開催される。ここでは2025年に13年ぶりに参加したバイシクルクラブ編集長・山口博久が体験レポート。本格的なステージレースとしてガチで走るも良し、年1度の体力測定としてのヒルクライムとしてチャレンジするも良し、さらに周辺サイクリングを楽しむも良しという懐の広い大会だ。

ただのヒルクライムじゃない、“40年の歴史をもつ名レース”

2025年は国内外のトップカテゴリーで活躍し、現在も世界中の名峠を走る才田直人さんも参加

ヒルクライムレースは数多くある。だが、走り終えたあとに「また参加したい」と思える大会のひとつが秋田県・鳥海山を舞台に開催される「矢島カップMt.鳥海バイシクルクラシック」、略して「矢島カップ」だ。Day1のタイムトライアルから始まり、Day2のヒルクライムへ。レースでの達成感、鳥海山の風景、そしてスイカや地元スタッフのおもてなしなどすべてが連続し、最後には「また来たい」と思わせる。

さらに今年で39回目を迎える歴史ある大会というのも特徴。遡ること約40年前、1987年に大学生たちが合宿地として旧矢島町(現・由利本荘市矢島)に集まり、その脚を競い合ったことからレースは始まった。ちなみに初代優勝者は当時信州大学の学生だった大原満さんだ。

それ以降、栗村修さんや土井雪広さんなど、その後プロ選手として活躍した選手をはじめ、村山利男さん、高岡亮寛さんといった選手が歴代の優勝者に名を連ねる。

Day1 気分が盛り上がる本格的なタイムトライアル

日本では珍しいタイムトライアル、それも第3回から開催されている伝統の競技だ。2025年は小村智之さんが優勝した。このDay1を走ることで、翌日のヒルクライムに向けて、自分、そしてライバルの体調を知ることもできる。このレースの魅力は2日間の総合時間で成績が決まる「矢島カップ」の存在だ。タイムトライアルのアドバンテージをどう生かすか?こうした2日間で戦略を組み立てるという意味で、矢島カップは38回続いてきた人気大会であり続けている。

Day2 ヒルクライム28km、優勝は才田直人さんが矢島カップも獲得

そしていよいよリアルスタート地点へ。和やかな雰囲気のなか、チャンピオンクラスから順番にスタートしていく。2025年の第2ステージ優勝は才田直人さん、総合優勝の矢島カップも制した。そしてヒルクライムの2位は田崎友康さんとなった。

男子チャンピオンの表彰式 1位 才田直人さん、2位 田崎友康さん、3位 小村知之さん、4位 三原圭太さん、5位 斉藤雅人さん、6位 熊田哲也さん

優勝した才田さんは「第1ステージで優勝した小村智之さんはタイムトライアルでアドバンテージがあるのに、アタックを仕掛けました。その姿勢はリスペクトしたいです」とレース後に語っていた。こうしたライバル同士の戦いが、応援する観客にも伝わる。そして伝統のトロフィー「矢島カップ」に名前が刻まれるのも、この大会が持つ魅力だ。

女子Aの表彰式 1位 正田萌美さん、2位 向井菜見子さん、3位 袴田美香さん、4位 原睦さん、5位 藤牧功子さん、6位 加戸百合子さん

編集長山口が13年ぶりに挑戦 1時間5分(2012年)から1時間48分(2025年)へ

走っているときには気が付かなかったが、フィニッシュ地点の写真を見返してみると、背景には遠く麓が見えている。最高のヒルクライム日和だった。

ここではバイシクルクラブ編集長の山口が13年ぶりにチャレンジした矢島カップDay2の様子を振り返ってみた。コロナ以降、仕事環境の変化などもあり、なかなかトレーニングもできないなかでの参加となった山口。走る前は久しぶりのヒルクライムということで不安しかなく、ドキドキするなかスタートしていく。序盤は田園風景。だが森に差しかかると斜度が増し、いきなりのブレーキ。先頭を追いかけるのはあきらめ、無理のないペースで走っていく。さらにこの大会を特別なものにしているのは人だ。沿道の「がんばれー!」という声だ。くじけそうな心を何度も背中を押してくれる。一人で走っているのに、一人じゃない。それがこの大会の魅力だ。正直苦しいながらも前へ進み続けると、やがて鳥海山の山頂が見えてくる。こうなるとフィニッシュ地点は近い。フィニッシュの瞬間、すべてが報われる。タイムは1時間48分。決して褒められたタイムではないが、これがいまの編集長山口の現在地だ。走り切れた安堵した気持ちが新鮮に感じられた。かつて2012年に1時間5分で上っていたときの速さはないが、そのとき以上にお腹いっぱい鳥海山の風景を満喫した。

山頂で食べるスイカは、なぜこんなにうまいのか

ゴール後に待っているのは、地元の中学生がボランティアスタッフとして提供してくれる冷えたスイカ。28km登りきったあとに食べるそれは格別の味だ。この光景は13年前と変わっていない。まさに矢島カップの醍醐味だ。秋田やお隣の山形県から参加のチームも多いが、多くのライダーは東北、関東エリアから参加している。懐かしい顔もあり、頂上ではスイカを食べながら同窓会が始まる。

矢島カップの常連。秋田県秋田市のショップ「SHOWA」のメンバーのみなさん
お隣山形県、鶴岡市のプロショップ大滝輪店に集まった「クラブ二輪倶(ツーリング)」のみなさん

スイカでお腹を満たしたあとは下山。降りていくと真夏の暑さへと変わり、ヒルクライムの終わりを感じる。そして下山後にはおにぎりと豚汁が振る舞われるほか、体育館で行われる表彰式では地元の農産品が当たる抽選会もあり、最後まで居残りしたくなる式典だ。

下山後に振る舞われる豚汁
山形県山形市のプロショップ「サイクルランドさいとう」のメンバー
入賞者に授与される土づくり実証米「あきたこまち」10kg

だからまた来たくなる由利本荘市矢島

レースが終わると、不思議とまた来たくなる。それは、この「矢島カップ」が結果だけではなく、由利本荘市矢島の風景と地元のおもてなしがあるからだ。レース参加はもちろんだが、せっかくなので後泊して周辺を楽しんで帰るのもいい。家族連れならちょうどいい夏休みとなる。

由利高原鉄道ではサイクルトレインも実施。由利本荘駅からスタート地点の矢島駅まで平日のラッシュ時を除く時間帯で利用できる

そして鳥海山の雄大な眺めだけではなく、秋田名物の「ババヘラアイス」など矢島らしさを体験できる。このほか大会会場でテント泊もできるのも魅力だ。近年ではこうした会場泊も難しくなってきており、とくに家族連れからは好評だ。

青森から参加していた「あんてな青森」のメンバー。新潟からも仲間が集まり、キャンプを楽しんでいた。
下山後で待っている秋田名物「ババヘラアイス」。

第39回 矢島カップ Mt.鳥海バイシクルクラシックの申し込みは5月31日まで

鳥海山の麓を舞台に、個人タイムトライアルとヒルクライムの2ステージで競うサイクルイベントである。東北を代表するヒルクライムイベントのひとつであり、鳥海山の雄大な自然を体感できる。初心者から上級者まで幅広く楽しめる点に加え、地域に根ざした温かい運営も大きな魅力といえる。おすすめは2日間での参加。Day1のスタートは例年お昼過ぎからとなるため、東京を車で早朝出発すれば間に合うスケジュールとなっている。申込締め切りは2026年5月31日までエントリーはこちら

エントリー情報

  • 受付期間:2026年4月1日〜5月31日
  • 参加料:
    • 1種目:8,000円
    • 2日間参加(TT+HC):10,000円
    • 小学生タイムトライアル:1,000円
  • ※定員に達し次第、受付終了となる

レース内容

▼ 1stステージ(8月1日)

  • 個人タイムトライアル:8km(小学5年生以上)
  • 小学生タイムトライアル:3.3km
  • スタート:13:30

▼ 2ndステージ(8月2日)

  • ヒルクライム:27km(小学5年生以上)
  • スタート:8:20
  • 制限時間:
    • 13km地点:1時間25分
    • 23km地点:2時間25分
    • ゴール:2時間50分

コース特徴

鳥海山矢島口へと続く本格的なヒルクライムコースである。2日間のステージ制により、スピードと登坂力の双方が問われる構成となっている。

■ 会場・受付

  • 受付場所:日新館
  • 住所:秋田県由利本荘市矢島町七日町字羽坂64-1
  • 受付時間:
    • 8月1日:10:00〜17:30
    • 8月2日:6:00〜7:00

定員

  • タイムトライアル:650名
  • ヒルクライム:1,300名

表彰・特典

  • 各カテゴリー6位まで
  • チャンピオンクラス10位まで
  • 矢島クイーンカップ(女子総合)
  • チーム賞・親子賞あり
  • 参加賞:Tシャツほか

参加にあたってのポイント

  • 2種目出走を希望する場合は「2日間参加」での申込みが必要である
  • ヘルメット着用は必須である
  • e-BIKEなど電動アシスト車での参加は不可
  • 受付証は事前送付され、当日持参が必要となる

エントリーはこちら

大会概要

  • 開催日:2026年8月1日(土)・8月2日(日)
  • 開催地:秋田県由利本荘市
  • 主催:矢島カップMt.鳥海バイシクルクラシック実行委員会/秋田県自転車競技連盟

大会公式サイトはこちら

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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