
クライムオン‼ 2026 イベントレポート【ナイトパーティー編】
PEAKS 編集部
- 2026年07月03日
INDEX
「クライムオン!!」の2大コンテンツのうちのひとつが「ナイトパーティー」。昼間は岩場で盛り上がり、夜はメイン会場で楽しめるのが「クライムオン!!」なのだ。今年はアスリートによるクロストークや山の著名人のトークショー、アウトドアシネマなど例年以上に充実した内容となった。
編集◉PEAKS編集部
文◉阿部 静
写真◉石川貴大、宇佐美博之、洞 将太
廻り目平キャンプ場、そして小川山の岩場で5月最終週の土日にわたって開催された「クライムオン!! 2026」。泊りがけで楽しむ本イベントは夜の部まで充実している。土曜日の講習が夕方に終わり、芝生広場のメイン会場に参加者が戻ってくるころに始まるのが「ナイトパーティー」だ。講師としてイベントに参加していたアスリートたちによるクロストークや、山の著名人によるトークショーなど、ここでしか聴くことができない貴重なエピソードに触れられるのが「クライムオン!!」のナイトパーティーの魅力。今年は例年以上にパワーアップした豪華4本立てのナイトパーティーのレポートをお届けしていこう。
クラフトビールを無料配布!【by patagonia PROVISIONS】
ナイトパーティーはパタゴニアプロビジョンズのクラフトビールの無料配布からスタート!

炭素を取り込みながら土壌を守る、多年生穀物「カーンザ」を原材料としたIPA。ホップの香りと苦みがクセになる味わい深いビール。キンキンに冷えたビールを喉に流せば、クライミングで疲れた気分も一気にほぐれる!

「クライムオン!! 2026」の参加アンケートに回答した人に、パタゴニアプロビジョンズのステッカーと合わせて先着順にプレゼント。一日中岩場で登って、くたくたになって戻ってきたクライマーには最高のごほうび。すかさずみんな手にしたようす。

パタゴニアのビール片手にハッピーな笑顔が会場で飛び交っていた。
クライミング・アスリート・クロストーク
ナイトパーティーのいちばんの目玉はトークショーだ。今回初めて参加アスリートによるクロストークが開催された。クライミングワールドカップ日本代表としても活躍してきた面々による貴重な話が聞ける時間となった。

クロストークの司会進行は日本のスポーツクライマーの先駆けとして活躍し、いまも現役のプロクライマーとして活動する平山ユージさんが担当。

クロストークに参加したのはグラミチのボルダリング講習を担当した藤脇祐二さん(左から2番目)、ラ・スポルティバのボルダリング講習を担当した渡部桂太さん(中央)、アークテリクスのボルダリング講習を担当した藤井快さん(右から2番目)、マムートのボルダリング講習を担当した杉本怜さん(右)。

現役で活躍するアスリートが揃うと、やはり話題はコンペのことが中心となった。1989年に初のクライミングワールドカップが開催されてから37年。国際大会が開催されるスポーツとしては比較的歴史は浅いが、37年という年月により競技人口も増え競技者のレベルが上がってきたために、勝負の世界がより厳しくなってきたという。強度が高く、距離が遠い課題を作らないと順位が付かないのだ。また、年によって課題のトレンドがあり、セッターの技術やセンスも問われるようだ。

また、それぞれの今後の展望についても平山さんが聞いていった。藤井快さんは2児の父として両立させながら2028年のワールドカップLA大会にてリードで出場する目標を掲げていた。個人的な目標としてはスペインの高難度課題「ラ・ランブラ(5.15a)」を回収したいそうだ。昨年、選手引退表明をした杉本怜さんは、コンペは好きだけどアスリートという言葉は自分にしっくりこないと話す。ただ、「今後もエンターテイナーでありたい、イベントをとおしてクライミングをこれからも楽しんでいきたい」と語っていた。
スライドトークショー“渓谷探検家”大西良治の世界
続いて、2本目のトークショーは渓谷探検家の大西良治さんが登場だ。聞き手は登山雑誌『PEAKS』の長期連載「Because it is there . . . 」の著者でおなじみの寺倉力さん。

渓谷探検家として知られる大西さんは、じつはフリークライミングのインストラクターでもあり、ふだんはルートセッターとしても活動している。最高グレードは瑞牆山の「グラディエーター(5.14a)」で国内屈指のフリークライマーでもあるのだ。
そんな大西さんが取り組んでいる渓谷探検のスタイルは「ゴルジュ遡行」。それはどんなものかというと、登攀を交えた渓谷遡行=「沢登り」と、水流を読み、ロープテクニックを駆使して谷を下る=「キャニオニング」を合わせたスタイルだ。しかも、基本は単独行のため自分自身でロープをセットして安全を確保する「ロープソロ」というスタイルをとっている。しかしロープを出していると時間がかかるので、フリーソロで行けるところは行き、積極的に釜に飛び込んだり泳いだりもする。つまり、クライミング以上にリスクがあり、人生をかけていると話す。

世界各地のゴルジュを遡行してきた大西さんだが、国内では称名川本流完全遡行の記録がもっとも有名だ。立山を流れる称名川は観光地としても有名だが、じつは2013年まで人跡未踏エリアであった。それを初遡行したのが大西さんで2013年に3回に分けて遡行。2016年には単独により、それらをすべて繋げた完全遡行を達成している。高さ200mの側壁が続き、水量がかなりあり、水温も低い。逃げ場のない厳しい沢登りだ。
いったいなぜ、そんなに厳しいゴルジュ遡行を続けるのか。それは、浸食地形の造形美がなにより美しいからだと話す。渓谷探検の魅力は自分の想像を超える世界や、自然の芸術が見られること。幻想的でふつうの生活では見られない景観がなにより魅力であるという。そんな世界を切り取るために、どんなに装備を削ってもカメラは必ず持っていくそうだ。

トークイベントの開催時間が早く、まだ空が明るくスクリーンでの投影では見づらいため、手元のスマートフォンでも大西さんが撮影した渓谷美が見られるように来場者にスライドが共有された。

身体が動くかぎりはゴルジュ遡行を続けたいと大西さんは話すが、ひとまずはひと段落。洞窟のゴルジュ遡行には仲間と行く予定があるが、今年はクライミングの課題で目標としているものをいくつかこなしていきたいと語っていた。
安間佐千×平山ユージ トークショー&ショートムービー『呼吸|KOKYU』
今年の「クライムオン!!」はトークイベントが盛りだくさん! 続いて3本目のトークショーのメインゲストはプロクライマーの安間佐千さん。聞き手として再び登場したのは平山ユージさんだ。

このトークショーはアークテリクスが製作したショートムービー『呼吸|KOKYU』の上映と、それに出演していた安間佐千さんのトークからなる。ショートムービーの内容は安間佐千さんによる小川山・お殿様岩のクラシックルート「NINJA(5.14a)」のフラッシュトライと、屋根岩5峰の「プラズマ火球(5.13c)」のオンサイト。

「NINJA」は1987年にシュテファン・グロヴァッツにより初登され、当時、日本のクライミングルートで史上初の5.14グレードが付けられた歴史的なルートだ。まだクライミングが周知されていなかったころで、小川山が開拓されている時代だったという。安間さんの「俺はニンジャにはなれなかった」という劇中の言葉が印象的だった。
そして劇中での安間さんによる「プラズマ火球」のオンサイトトライは成功。それを見ながら平山さんは、初登者である「杉野保さんのことを思い起こす」と話していた。安間さんは「プラズマ火球」について、「難しさと美しさを備えた、小川山イチのルート」だと語る。

また、クライミングについて「言語化するのは難しいけれど、なんともいえないイキイキとした喜びがあり、ひとつのトライのなかには血を注ぎ込んで味わうクライミングの喜びがある」と話す。危険な状況に身を置く大きな理由、それは、これらを実感したいから。難しさを追求しつつ、美しさも追求する。それがクライミングの魅力だと語っていた。
アウトドアシネマ『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界』
ナイトパーティーのラストを飾るコンテンツはアウトドアシネマ。登山家・山野井泰史さんを追ったドキュメンタリー映画『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界』を上映した。会場の巨大スクリーンに投影された映画を観る、大鑑賞会だ。

10代のころから登山を始め、高校生のころよりアルパインクライミングに傾倒。無酸素・単独行・未踏ルートを一貫し、フィッツ・ロイやアマ・ダブラム西壁、ガッシャブルム2峰、チョ・オユー南西壁など、数々の単独登攀を成功させてきた。そして、マカルー西壁の敗退。ギャチュン・カン北壁では登頂に成功するが雪崩に巻き込まれ、凍傷により複数の指先と右の足先を失っている。そんな状況のなかでも復活し、登頂や登攀を続ける究極のクライマーだ。

山野井さんによる単独登攀の記録映像を追いながら山野井さん自身による言葉、クライミングパートナーでもある妻の妙子さんからの発言、友人関係者による証言などにより「山野井泰史」という人物に迫る。夜は一気に冷え込む5月の小川山だが、画面から伝わる山野井さんの情熱が会場を包んでいた。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。



















