
春の主役は「ベスト」っすね。ヴィンテージパタから最新テックまで語り尽くす!【高橋・近澤の“いまコレ”会議】Vol.2
VINAVIS 編集部
- 2026年05月11日
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暖かな日差しが届き始め、重いコートを脱ぐ季節。そんな春の装いにおいて、いまもっとも自由度の高いピースとして注目を集めているのが「ベスト」だ。
シャツやTシャツに重ねるだけでスタイルの奥行きを劇的に変え、フィールドから都市での日常までシームレスに横断するその汎用性は、まさに現代機能服の象徴ともいえる。しかし、ひと口にベストといっても、その背景は驚くほどに深い。
今回の連載では、古着の深淵に触れる高橋さん(Color at Against)と、最新の機能美を追い続ける近澤さんによる、春のベスト会議を敢行。’90年代パタゴニアの希少な「雪なし」タグの考察から、現場主義のギミックが光るフィッシングベスト、そしていまや定番のウール素材まで。ふたりの偏愛が交差する、春を彩る「最高のベスト」を紐解いていく。
文◉VINAVIS
寒暖差の激しい春、“ベスト”なアイテムとはなにか?

左)高橋優太(たかはし ゆうた) 代々木上原のセレクトショップ「Color at Against(通称:カラアゲ)」オーナー。アメカジ古着やドメスティックブランドを独自の視点で展開。キャンプや釣りを愛し、親しみやすい人柄でファンも多い。
右)近澤一雅(ちかざわ かずまさ) アウトドアスタイリスト。ファッションスタイリストからキャリアをスタートし、機能素材の魅力に惹かれてアウトドアの分野へ。雑誌、カタログ、TV番組などで幅広く活躍し、豊富なギアの知識をもつ。
近澤:ようやく暖かくなってきましたね。この時期、なにを着るか迷うじゃないですか。そんなときに一番活躍するのが、じつは「ベスト」なんじゃないだろうかと。
高橋:そうそう。Tシャツ一枚じゃまだ心許ないし、ジャケットだと暑い。ナイロンやフリースのベストを一枚羽織るだけで、体温調節もスタイルのアクセントもバッチリ決まるっていう。
近澤:最近、街を歩いてると若い人たちもうまくベストを着こなしてますよね。ちょっと大きめのサイズをバサッと羽織る感じ、かっこいいっス。
高橋:再流行してますよね。今日はそんな「ベスト」の深い世界を、僕らの視点で掘り下げていきましょう。
パタゴニアの「雪なし」と、企業モノのディープな楽しみ

近澤:高橋さん、今日持ってきてくれたパタゴニア、これまたマニアックなやつじゃないですか?
高橋:これね、パタゴニアのシンチラベストなんですけど、タグをよく見てください。普通はロゴに雪山が描かれてるんですけど、これには雪がない。いわゆる「雪なし」タグです。
近澤:おー! ‘92年から’94年ごろにしか生産されなかったっていう伝説のタグですね。
高橋:そうなんです。当時、コピー品対策で一時的に雪を消したっていう説があるんですけど、この短期間の違和感がたまらない。ヴィンテージ好きにはたまらない「一点モノ」感があるんですよね。
近澤:さらに、そっちのL.L.Beanも気になります。胸にデカデカとロゴが入ってますけど……。
高橋:これは「企業モノ」ですね。スバルのラリーチームのロゴが入ってます。昔はAmazonとかIndeedなんかも、企業が自社ロゴを刺繍して社員やチームに配ってたんですよ。
近澤:企業のロゴが入るだけで、急に「道具」としてのリアリティというか、ストーリーが乗っかってくるのがおもしろいですね〜。
フィッシングベストの「街着」としてのポテンシャル

近澤:もうひとつ、高橋さんが持ってきたのは、これまたかなり本格的なフィッシングベストですね。
高橋:これは’80年代のORVIS(オービス)です。最近、これをあえて街着としてTシャツの上にサラッと羽織るのがおすすめで。ポケットがいっぱいあるから手ぶらで歩けるし、なにより「やってる感」が出るのがいいんですよ。
……って、あ!パタゴニアとL.L.Beanのファスナーの作りが違いませんか……?

近澤:さすが。これ、ファスナーの付き方でその服の思想が違うらしいです。ファスナーを閉じたときに上にきているのは、「中身が落ちないよう締め忘れを予防するもの」と聞いたことがあります。基本は締めておくもの、ってことですね。こういう現場主義のギミックが、いまのテックファッションとも相性がいい。
最新テクニカルベストの機能美

近澤:こちらも現代の最新アイテムも紹介させてください。モンベルの「トレッキングベスト」です。
高橋:これ、背中がほぼメッシュじゃないですか!
近澤:そうなんです。登山でバックパックを背負ったときに熱と湿気を逃がしてくれる。自転車に乗るときも抜けがいいから、夏場でも全然いけます。
高橋:機能美の塊だなぁ。隣のピークパフォーマンスもシルエットがきれい!

近澤:スウェーデンのブランドらしく、ラインがシュッとしてるんですよね。こういうハイテクなアイテムは、高橋さんが好きなローテクな古着とミックスして、バランスをとるのが一番かっこいい着こなし方だと思います。
素材の再発見と、プロの裏技

近澤:そしてこのアクリマのベスト、パッと見はフリースですけど……じつはウールなんですよ。フリースっぽく加工してある。
高橋:なるほど、だから天然の抗菌消臭効果もあるし、春夏のキャンプでも活躍する。素材の進化を感じますね。
近澤:ところで、フリースやウールのベストって、長く着てると毛玉やゴミが気になりますよね。高橋さん、なにか古着をケアする際の秘策があるとか?
高橋:ありますよ(笑)。ウチではフリースのゴミ取りや毛玉のケアに、「猫の毛ブラシ」を使っています。
近澤:猫の毛ブラシ!?
高橋:そう。生地を傷めずに、絡まったゴミだけをきれいに掻き出してくれる。ペットショップで売ってるペット用で十分。これ、古着店の間では結構有名な裏技なんです。
古着屋店主にとっての「ベスト」とは?

近澤:いやぁ、今日はいろんなベストを紹介しましたけど、やっぱり奥が深い。最後に、高橋さんにとって「ベストとは」をひと言でお願いします!
高橋:うーん……やっぱり、「猫の毛ブラシ」だ!
近澤:そこ!?(笑) ありがとうございました!

- Color at Against
〒151-0066
東京都渋谷区西原3丁目14-6 1F
営業時間:13:00〜18:00
定休日:毎週火・水曜日 ※そのほか臨時休業あり。Instagramでお知らせ中(https://www.instagram.com/color_at_against/)
https://coloratagainst-online.net
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PROFILE
VINAVIS 編集部
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。



















