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宮崎県高千穂町・天岩戸神話の舞台を訪ねて|”神様百名山”広田勇介さんがご案内

天岩戸神社の神事に参加した、Mt.ランドネメンバー。翌日は、その余韻を胸に、あらためて天岩戸神社の周りを歩いた。案内してくれたのは、本誌で「神様百名山」を連載する広田勇介さん。岩や川、森の気配にふれながら、この土地に伝わる物語を感じる一日に。

岩と水をたどりながら神話が息づく土地を歩く

▲手水の作法をみんなで再確認。

▲東本宮は光が多く差し込み、静かな穏やかさが漂う。世界に再び光が戻ったあとの気配を感じた。

▲天照大御神が岩戸を少し開けたとき、八咫鏡に映ったご自身の姿を見て、さらに外へ出ようとしたと伝えられている

神々が集い、禊が行なわれる場所

「天安河原は、八百万の神々が集まり、天照大御神をどう岩戸から迎え出すか相談した場所です。いわば、日本で最初の民主主義が行なわれた場所。ひとりで結論を下すのではなく、みんなで知恵を持ち寄って道を開いていく姿は、日本人の原点に通じていると思います」と広田さん。

岩戸川沿いを進み、天安河原へ近づくにつれて、洞窟の空気はさらに密度を増し、ひんやりと湿り気を帯びていった。神事の前日には、奉納に携わる人たちが、この川の少し奥で禊を行なったという。考えること、と清めること。がひとつにつながっているように思えた。

世界にふたたび光を取り戻すための知恵は、清らかな場のなかでこそ生まれる。神話に描かれた場面が、岩壁や川の流れと重なることで、いっそう現実味を帯びていく。

歩くことでより深く感じられる

▲西本宮のすぐ横から天安河原へ向かう。足を進めるほどに、空気が変わり、川のせせらぎが絶えず耳に届き、神話の物語の中へ分け入っていくような気持ちに。

光が戻ったあとのもうひとつの宮

続いて訪れた東本宮は、西本宮の目の前にある岩戸川を渡ったところにあるもうひとつの聖地。天照大御神が岩戸から出たのち、ここに鎮まったと伝えられている。西本宮が「お隠れになる場所」なら、東本宮は「光が戻ったあとの世界」を感じる場所。実際に歩いてみると、おなじ神話を背景にもちながらも、境内の空気はどこか穏やかでひらかれているように感じられた。

西と東の宮について。いまではおなじ宮司さんが守っているが、かつては橋がなかったため、それぞれに宮司さんがいて、別々に守られていた時代があったそうだ。

「渓谷を隔てた地形が、そのまま信仰のかたちを作ってきたんだなとわかります」と広田さん。

▲東本宮裏に立つ、見た目で数えると7本に見えない「七本杉」。じつは見た目の本数ではなく、根が七本つながることに由来する名前だそう。おもしろい!

水の神に、暮らしの祈りを託す

最後に訪れたのは落切神社。瀬織津姫は、水の流れで穢れを祓い清める神として信仰されてきた。

「瀬織津姫さまは水の神様です。水ノ内川と岩戸川が合流する、水の力を強く感じる場所に祀られているのも、流れを鎮め、暮らしを守ってほしいという祈りが込められているのでしょう。そして、水から連想されるのが龍神。龍神は蛇の姿として語られることも多く、蛇は卵を食べる生きものですから、こんなふうに卵を供える風習もあるんです。そうしたところに、身近な信仰のあり方が表れていますね」と広田さん。

神話に登場する神でありながら、遠い存在としてではなく、日々の営みにいる神様として親しまれてきたことがうかがえた。

▲瀬織津姫神社は、東本宮から歩いて10分弱。里山のふもとにあり、田んぼや農家に埋もれるように鳥居が立つ。

文字で読むだけではない神話を土地で感じる時間

広田さんの案内は、岩を見て、水に耳を澄ませ、地形に目を向けることで、物語がどうこの土地に根づいてきたのかを感じさせてくれるものだった。

神話は土地の自然と人の祈りのあいだにある

「神話の舞台は実際に来て歩くと、なぜここでこの物語が生まれたのかが見えてくるんです。岩の迫力や、水の流れ、の深さ。そういう自然への畏れが、神話の根っこにあるんだと思います」

こうして歩いてみると、天岩戸神話はただ壮大な物語としてあるのではなく、この土地の自然、人びとの折りの積み重ねのなかに息づいていることがよくわかる。

今回出会ったのは、文字のなか神話ではなかった。前日の注連御神事から続く時間のなかで。岩と水と折りが結びつきながら。いまもこの地に流れ続けている神話そのものだった。

▲道中は、切り立った崖の横を通り、急な階段を下る場面もある。足元に気を配りながら歩きたい道のりなので、訪れる際はグリップのよいシューズがおすすめ。この土地の自然の迫力を感じる時間に。

▲瀬織津姫神社は、小さな祠に静かに祀られている。参道は狭く、参拝もひとりずつ行なうような場所

祈りの地から山の稜線へ|神話の余韻を、阿蘇の湯と星空でほどく

熊本空港から天岩戸神社へ向かう途中にある、南阿蘇の高台に立つ休暇村南阿蘇。ここを拠点によくばりな旅を。

高千穂とくじゅうを楽しむ南阿蘇の拠点

阿蘇くじゅう国立公園内にある休暇村南阿蘇。ここを拠点にすれば、神話の舞台を訪ねる高千穂の旅と、くじゅう連山や阿蘇の自然を楽しむ時間を、ひとつの流れのなかで味わえる。

熊本空港からアクセスしやすく、道中で景色が山の気配へと変わっていくのもいい。

歩いたあとは、阿蘇の景色を望む、肌あたりのやわらかな「しきみの湯」で体をほぐし、土地の恵みを生かした食事で一日を締めくくる。

夕食は、阿蘇の郷土料理や地元食材を生かしたビュッフェ。揚げたての天ぷらや握りたての鮨のほか、囲炉裏で焼く山女魚の塩焼き、だご汁、辛子蓮根など、地元の味に出会える。その土地にいる実感を、食の時間からも味わえるのがうれしい。

▲熊本のフルーツも楽しめる。また、スイーツの種類も豊富で、部屋へ持ち帰り、山の話をしながらゆっくり味わえる。常連客にも人気のサービス

休暇村 南阿蘇

熊本県阿蘇郡高森町高森3219
TEL:0967-62-2111
料金:2名1室・1泊2食 15,000円~(入湯税別途)
https://www.qkamura.or.jp/aso/

南阿蘇の夜空に会いにいく

さらに夜は、南阿蘇の澄んだ空の下で星を眺める楽しみも。天文台を備え、天体望で星空を観祭できるのも、この宿ならでは。南阿蘇の夜空を見上げるひとときが、空の広がりをあらためて感じさせてくれる。高千穂だけでも、くじゅうだけでもない。折りの風と雄大な自然、そして土地の味わいまでを楽しめる拠点だ。

天岩戸神社西本宮〜天野安河原〜天岩戸神社東本宮〜瀬織津姫神社

Course
計40分
天岩戸神社西本宮
↓10分
天野安河原
↓20分
天岩戸神社東本宮
↓10分
瀬織津姫神社

 

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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