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真実と事実|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #65

最近気になっていることがある。SNSなどの情報発信でライチョウを含めた希少野生動植物種の撮影場所などが以前にも増して晒されてしまっていることだ。希少と冠言葉がつくように、その多くは絶滅の危機に瀕していたりデリケートな存在である。魅力的なものが多いため、見かけたら撮影したいのは当然の衝動であろうが、その折には出会えた喜びを胸にしっかりと刻んで静かにその相手の安寧を祈りつつ、その所在を伏せていただきたいものである。場所を晒す行為はその人のよくない自己顕示欲の現れに他ならなく、そっとしておくのが撮るものと撮られるものとの節度であり思いやりだと思う。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

真実と事実

以前から純粋な気持ちで研鑽を積み重ね、愛する者(ライチョウ)のために普及啓発を行なっているつもりだが、その道は自分で言うのもなんだが地味で地道で泥臭く、過酷である。だから「好きだからやれているのであって、仕事ならこんなに命は張れない」と自負している。そして近年はそんなライチョウへの純粋な愛情から始まっている数々の行ないを発表する機会に多く恵まれ、うれしく思っている。

地味で泥臭く……とは、具体的にはひたすら山に登り、目を凝らし現場の証拠を集め、お目当てのライチョウに出会い、注意深く観察を繰り返し、その生態を撮影するという流れである。やっていることは古式ゆかしい刑事さんがあんぱんと牛乳を相棒にして日々繰り返してやっていることと近い。

私の成果物はそんな地味で泥臭い自分自身の経験をもとに答えを導き出し、自身の感性をもとに写真という媒体を通して出力するという過程を経て生まれたもので、作品の一点一点が被写体と向き合ったかけがいのない唯一無二の宝物だ。ただ、良き思い出とは脳内で美化されやすく、シャッターを切ったのち機材に記録された撮影データは案外これまた地味でぱっとしない絵面のものが多いのが現実である。私の場合はそんな眩い記憶補正をOFFにして現実の色味に極力反しないようにRAWデータを展開し、「事実」を現像するように心がけている。

そんな中でのSNS時代。おびただしく流れてくる画像の海のなかから人目を引こうと華美に加工された写真がこれでもかと溢れている。人間とは良くも悪くも刺激に飢えており、彩度やコントラストを過度に調整したであろう写真はたしかに人目をひくとは思う。だが、極端なレタッチは情報として間違った内容が伝わってしまうのではないかと心配になってしまう。ただ、どうとらえるかは見る人次第なので善も悪もなく、実際に人がシャッターを切った以上はたしかに実在した瞬間で、作者にとって「真実」であることは間違いない。

問題はAIで生成されたであろう画像である。以前からいずれは出てくるだろうとは思っていたが、最近になり生物学上、正しくない生成画像の野生動物の画像を目にすることが多くなってきた。素材はインターネットの中に無限にあるのだろうから、学習させて出力すればできてくるのだろうが、その内容が事実ではない、嘘があってはならないと強く思う。

今回の一枚は、まだ雪が残る高山帯のなかで縄張りの見張りに立つオスのライチョウの写真である。強い風のなか、うねり狂う雲海の中から朝陽が昇り、巻き上げられた雪粉がダイヤモンドダストを発生させつつ辺り一面こがね色という情景である。岩と雪、土と草がほとんどのいわゆる“映えない”シチュエーションで、たまに見せるこういった絢爛な顔も、尊く価値のあるものではと思う今日このごろである。

今週のアザーカット

先日、岐阜で開催された「ライチョウ報告会」に行ってまいりました。乗鞍岳のライチョウ保護の現状や今後について改めて考える機会となる非常に有意義な会でした。写真は乗鞍岳・白雲荘の小林正直さんの発表から。いろいろな考えの人たちがいるなかで、個人的にこの写真のような考えは非常に大切だと思いピックアップさせていただきました。なんのために何をするか、できるのか。私も写真家の立場でできることを今後とも考えていきたいと思います。

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら

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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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