
マスターズ生解説を終えた宮里優作 松山英樹に感じた世界基準と再挑戦への覚悟|The NEXT STAGE 新たな地平へ
EVEN 編集部
- 2026年05月14日
マスターズ解説後日談
変化と進化を繰り返しながら、その先に広がる”新たな地平”に挑む宮里優作プロのインサイドストーリー。「マスターズ」中継の終了直後、”4日間連続生放送解説”の感想をたずねた。
今なら前回より上手く攻められるかも
「家なら確実に寝落ちしてしまう映像を特等席で見続けられたのは楽しかったけれど、正直に言って、やっぱり難しかったですね」
2026年の「マスターズ・トーナメント」閉幕直後、というのは最終日のテレビ中継が終わった4月13日の午前8時過ぎから約30時間しか経っていないタイミング。そこで今年から大会解説者となった優作に番組全体の感想をたずねたら、疲れを感じさせない張りのある声が返ってきた。
偽りなき言葉だと思った。何しろまずは4日間連続生放送の大変さが想像し難い。なおかつ会場のオーガスタとは14時間もの時差があり、優作が担当するのは午前4時に始まる地上波中継のメイン解説という枠だ。その数日間は、前日の午後11時半に入り、当日の様子を振り返るTBSのYouTube番組の収録が終わる午前9時半頃までテレビ局に詰めるルーティンを経験したという。
しかし優作が言った難しさは、あくまで初の解説に向けられたものだった。
「例年通り切り替えが激しい場面に映るのが、世界トップレベルのプレー。どこを取ってもナイスショット集ですよ。その凄さをいかにわかりやすく、しかも瞬時に視聴者に伝えるというのがね。現場にいるような臨場感を味わってもらいたいから、ショットを打つ時は黙るんです。すると、説明する時間が短くなる。話し出すと場面が変わる。それを繰り返した1日4時間でした。自分自身の集中力を保つのがしんどかったですね。実況の小笠原亘アナウンサーには本当に助けられました。小笠原さんは選手の小ネタ満載なんですけれど、ゴルフ実況は他より頭を使うので難しいと言っていました」
それでも優作なりの工夫を凝らして臨んだらしい。
「一番はメリハリをつけること。長丁場は観ているほうも間延びするだろうから、あえて『この打ち方、意味がわからない』とか、340ヤード越えのティショットに『へぇ』と応じてみたりする時間帯をつくりました」
実際に観ていた側にすると、そんな優作の発言は本音の吐露に聞こえておもしろかった。
「まぁ、本音もあるんですけれど、フランク過ぎない程度に砕けた表現をするのも良いかなあと思って」
ひとつ聞きたかったのは、例えばこれからセカンドショットを打つ選手の姿に画面が切り替わってすぐ、クラブの番手や攻め方を説明できた理由だ。現役ツアープロなら、それくらい判断できて当然なのかもしれないが。
「その場面でそう打たないとピンに寄らないのがわかるからです。前回も話しましたが、オーガスタはホールごとにメッセージがあって、それを選手たちはよく知っているので、上手い人ほどセットアップがシンプルだし、攻め方に迷いがないんですよね。シェフラーだけはスイングが特殊なので、上手く読めませんでしたけれど。
わかるという点では、2日目終わりで優勝スコアが12アンダーになるのも予想できていました。マスターズは初日トップの選手が最後まで強い傾向があって、それを世界トップの選手たちが追いかけるなら、2日目トップのマキロイの12アンダーからスコアが動かないと思ったんです。そのあたり、やはり生中継の最中は時間が足りなかったので、YouTube番組であれこれ話しました。そっちはだいぶ気楽に喋っています」
せっかくなので、解説者としてマスターズを振り返ってもらった。特にサンデーバックナインのトップが入れ替わる展開は、今大会最大の見どころになったと思うのだが。
「優勝したマキロイは、最後まで風格を保っていました。昨年勝てたのが大きかったんでしょうね。表情に余裕がありました。この感じでいけば、グランドスラム2周目もありそうです。自分の長所をしっかり出し切れれば、マスターズさえ連覇ができる事実を知りましたからね。話は変わりますが、中継ではマキロズ・アイと呼んだ空中から球の軌道をトレースするシステム。あの新しい試み、とても良かったですよね」
同い年として心身のケアに賛辞を贈ったジャスティン・ローズは?
「また勝てなかったというよりも、また優勝争いに絡んできたことが凄いです。ローズも一時トップに立ちましたが、世界のトップランカーですら欲しがった者から落ちていくんですよね。その一方で、彼らの決してピンから逃げない姿勢にも心を打たれました」
最も印象に残った選手またはプレーは?
「松山英樹選手ですね。4日間のプレーを見続けて、日本人があの舞台で対等に戦えている姿に改めて感動しました。30ヤード以内は世界一ですから。あの年齢なら今後もまだまだ出場できるので、必ずもう1回勝てますよ。目に焼き付いた松山選手のプレーは、今日から真似しています。細かいことは企業秘密なので教えられませんが」
やはり期待すべきは、その意欲だ。テレビ中継の解説に向けて、タダでは転ばないという優作の信条が当てはまらないのはわかっている。だが、これほど長く綿密に他人のプレーを見る機会を得たなら、そこから何かを吸収せずにはいられないのが優作であってほしいと思うのだ。願うのは、当然のことながら二度目のマスターズ出場に他ならない。
今なら前回より上手く攻められるかも
「中継で触れた選手たちのティショットは規格外で参考にならない。セカンドの番手も違い過ぎる。でも、解説を終えた直後の本日限定で言えば、今なら前回より上手く攻められるかも。世界ランクを別にして日本人がマスターズに出場するには、日本オープンでの優勝が不可欠。夢があるので、しっかり挑戦したいですね」
もしもを語るとしたら?
「解説、どうしましょうね。TBSは企画を考えるので、ウェルカムと言ってくれています」
Profile

1980年生まれ、沖縄県出身。2003年にツアープロデビュー。2013年のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で初優勝を遂げる。2017年にはシーズン4勝を挙げて賞金王のタイトルを獲得。2年間の欧州ツアー(現DPワールドツアー挑戦)を経て、2020年から再び国内ツアーを主戦場にしている。
大和ハウス工業所属
www.yusakumiyazato.com
SHARE
PROFILE
EVEN 編集部
スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。



















