防寒ウェアの革新 TEXIFIL™️って何だ？

EVEN 編集部

2025年11月20日

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開発メーカー「YAMASHIN」に聞く「TEXIFIL」はいかにして生まれたか？

機能性の高い新素材といえば、国内外の大手素材メーカーの独壇場のはず。なぜ、異業種の「ヤマシンフィルタ」社はエポックな新素材を開発できたのか。同社副社長の山崎氏に聞いてみた。

ヤマシンフィルタ山崎裕明
取締役、副社長。建設機械用フィルタで国内トップシェアを誇るヤマシンフィルタ社創業家の3代目。営業として世界の建築現場を飛びまわった後、現職へ。

Q:貴社は創業当初から建設機械用フィルタを手掛けていたのですか？

山崎　弊社は元々お酒を漉すための濾布から始まった会社です。当時、そこに専門性があったかといえばなく、創業者である私の祖父は元々検事を目指していたものの、戦後、生活が厳しい中、ミシンを使った濾布作りを生業としました。

ところが、今後高性能なミシンが導入されれば事業が代替されてしまうのではないかという危機感を抱き、挽回する機会を探っていたところ、ある時、米軍の駐屯地で工業用フィルタの存在を知り、これを国産化できればニーズがあるのではと考えます。ところが、当時の日本は敗戦間もない頃で物資が乏しく、米国本国の製品に比べて良い原材料が調達できない事実に直面し、だったら自分達で部材を作れば良い、という創業者マインドでろ材から自分たちで生産したことが産業用フィルタ事業のスタートとなり、現在建設機械用のフィルタでは国内トップシェアを取るに至りました。

実はろ材から製造可能なフィルタメーカーは同業他社では弊社のみ。他社は素材メーカーから原料を購入するのが一般的です。弊社は原料から製品まで一貫して生産できる分、顧客にフィットした性能をより細やかに対応し実現でき、それが市場での競争力に繋がっているのです。

Q:産業用フィルタは製品のカスタマイズ性が重要なのですか？

山崎　カスタマイズ性は弊社の一番の強味です。建設機械用油圧フィルタでグローバルのシェア世界一、国内では70％のシェアを頂戴しています。フィルタは目が細かければ良いということでもなく、建設機械を手掛ける重機メーカー毎に求める性能は異なります。目の細かさや耐久性、フィルタを通過する際の抵抗値、弊社ではその要望にそった性能を実現できるのです。油圧フィルタは以前まで紙が一般的で、弊社は業界に先駆けて自社開発でガラス繊維のフィルタを導入したのですが、これも顧客のニーズに応えるためという原理原則で、そのためにエポックメイキングが必要というわけです。

「産業用フィルタもゴルフアパレルもフィルタビジネスを通じた社会貢献です」

Q:大手素材メーカーでもなしえない新素材を開発できる理由は？

山崎　錚々たる世界的な建設機械メーカーの要望に応え、アフリカの砂漠からアラスカの寒さの中まで重機が稼働する過酷な環境下で鍛えられたことと、なければ作るという創業者マインドだと考えています。

Q:アパレル進出の理由は？

山崎　元々ナノファイバーを開発した時から、外部のシンクタンクとこのユニークな素材の活用方法を模索しており、その一つがアパレル素材でした。「フィルタビジネスで社会に貢献する」というのが弊社の創業以来の社是であり、アパレルは建設機械よりも多くの方に利用いただけるということもあります。ゴルフウエアはアパレルの中でも機能性が求められる一方で、日常着としての見栄えも求められる。そういう難題にチャレンジし、解決できるのが弊社の今後の強味になると考えています。

加工する前のナノファイバーは綿のようなフワフワ感で、サイズ以上の軽さに驚く。これを複雑に絡ませた立体構造のシートに加工するのが独自技術。

TEXIFIL採用ゴルフアパレル第１弾『EVEN別注 Rosasen × TEXIFIL VEST』

記念すべきゴルフウェア第一弾は「Rosasen（ロサーセン）」のハイブリッドベストをベースに、身頃前後にTEXIFILを採用した本誌による別注モデル。ロサーセンのウエアづくりの知見に、TEXIFILならではの軽快さと高い防寒性を備えた価値ある一着。アウターとしてはもちろん、薄く蒸れにくいのでインナーとして活用が可能。革新素材の機能性をいち早く体験してほしい。