
新城幸也「目標は27年ジロのワイルドカード獲得」 鎌田と岩村が加入するデベロップメントチームも発足
せいちゃん
- 2025年12月14日
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イタリア・トスカーナ州サンバロントで合宿中のソリューションテック・ヴィーニファンティーニ(運営:トスカーナ・ファクトリー)が12月11日、新体制発表のオンライン記者会見を開催した。新城幸也は「UCIポイントを重ねて2027年にジロ・デ・イタリアのワイルドカードを獲得する」と宣言。あわせてNIPPOとの提携によるデベロップメントチームの発足も発表され、U23アジア王者の鎌田晃輝と岩村元嗣の加入が明らかになった。
12月始動で入念な準備 UCIリストには「トスカーナ・NIPPO・ラーリ」の登録名

例年1月に行われていたチームキャンプだが、2026年シーズンに向けては1ヶ月前倒しの12月開催となった。チームの雰囲気は明るく、士気は高いという。
注目される来季のチーム名だが、12月10日にUCI(国際自転車競技連合)が発表した2026シーズンのプロチームリストには、「トスカーナ・NIPPO・ラーリ(Toscana NIPPO Rali)」という名称で登録されていることが確認された。
チームを率いるセルジュ・パルサーニGMは、「今年は良い年だったが、UCIポイントでは目標の30位以内に届かず残念だった。来年はスポーツディレクターに水谷(壮宏)を迎え、さらに日本人のメカニシャンも加入して上を目指す。NIPPOが加わることでプレッシャーも感じるが、来年こそUCIランキング30位以内を達成したい」と必達目標を掲げた。
新城幸也「2027年のジロ出場へ、シンプルにポイントを重ねる」
契約更新を発表したばかりの新城幸也は、チームの悲願であるグランツール復帰に向けて力強い言葉を残した。
「来シーズンの目標はシンプルで、UCIポイントを重ねて2027年にジロ・デ・イタリアのワイルドカード(主催者推薦)を獲得することです。今年、成績を出したことで選手たちのモチベーションは高い。みんなの気持ちを合わせて頑張ります」
デベロップメントチーム発足 即戦力の鎌田と岩村が加入
この日の会見のもう一つの大きなトピックは、UCIプロチーム直下となるデベロップメントチームの正式発足だ。NIPPOの強力な支援によって実現したこのプロジェクトは、イタリアを拠点に日本人選手と欧州選手が切磋琢磨する環境を作り出し、トップチームへの昇格ルートを確立することを目的としている。
この新チームに、日本人選手として鎌田晃輝と岩村元嗣の2名が加入することが発表された。

鎌田晃輝(TEAM UKYOから移籍)は、U23初年度の2023年に全日本選手権ロードレースを制し、2024年には全日本TT王者、そして2025年シーズンはアジア選手権ロードレースでも優勝を果たしたアジア王者だ。
会見に出席した鎌田は、「今年は1クラスやプロクラスを走ってレベルの差を感じた。一度アマチュアカテゴリーに戻って、しっかりと上位リザルトを残したい」と、欧州のアマチュアレースで勝利を重ねてからの昇格を見据える。

もう一人の岩村元嗣は、2024年の世界選手権ジュニアロードレース(スイス)で25位に入った実績を持つ18歳。すでに今季、研修生として同チームのジャージを着て走った経験を持つ。岩村は「レースではトップ10入りを目指し、ゆくゆくはプロ入りできるよう頑張る」と抱負を語った。
水谷壮宏監督らが指導 大門宏氏も期待する「育成のピラミッド」

デベロップメントチームのロースターには、日本人2名のほか、トップチームからの移籍となるジョアン・ロランド(フランス)、イタリア選手権ジュニア3位のミケーレ・パスカレッラら7名の欧州選手が名を連ねる。その多くが同チームのジュニア育成アカデミー出身者であり、ジュニアからデベロップメント、そしてプロチームへと繋がる一貫した育成環境が整えられた。
指導体制も盤石だ。UCIプロチームでの指揮経験を持つ水谷壮宏氏が監督に就任し、トップチームのフィリッポ・フォーキ監督やパルサーニGM、そしてプロジェクトの発起人であるチームNIPPO代表の大門宏氏らが連携して運営にあたる。
水谷新監督は「強い選手が多い印象で、彼らを使って成績を残さなければとプレッシャーも感じる。何より、日本人を育ててくださるNIPPOに感謝したい」とコメント。パルサーニGMも「日本人選手にとっては欧州で成長する機会となり、アカデミーの選手にとっても刺激になる。プロへの道を具体的かつ信頼性の高い形で示すことが目標」と語っている。
「同世代と競う意味」新城が語る経験
Photo: Miwa ARASHIRO
新城は、自身の経験を交えてこの育成チームの重要性を説く。「僕がU23のときにイタリアの『ジロ・デッレ・レジョーニ(2.2)』で2位に入った(2006年)とき、同世代の選手とキツいレースをやる意味を知った。そこでしっかりと力をつけたので、僕はプロへの階段を上がることができた」
当時、新城の監督を務めていたのが大門宏氏だ。また大門氏は今回の2名の加入について、「鎌田選手も岩村選手も大学生でありながら、すでに大きな存在感を示している。このプロジェクトによって彼らがさらなる成長を遂げ、U23カテゴリーで日本人として初めて『ジロ・デッレ・レジョーニ』の表彰台に立った新城選手の記録を上回り、飛躍してくれることを期待しています」とエールを送っている。
日本人選手、日本人スタッフ、そしてNIPPOの支援。イタリア・トスカーナを舞台に、日本ロードレース界の新たな挑戦が始まろうとしている。
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PROFILE
せいちゃん
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている



















