
トレック、業界初の「低排出アルミ」へ全面移行 史上最大のCO2削減で気候変動対策を加速|TREK

Bicycle Club編集部
- 2025年08月08日
米国の自転車ブランドTREK(トレック)は、自転車業界におけるサステナビリティの新たな基準を打ち立てる画期的な取り組みを発表した。2025年10月より、同社が製造するTrek、Electra、Diamantブランドのアルミ製自転車フレームのほぼすべてを、環境負荷の低い「低排出アルミニウム」に移行する。この移行は年間100万台以上のバイクに影響を与える、トレック史上最大の二酸化炭素排出量削減施策であり、企業の気候目標を数年前倒しで達成する重要な一歩となる。
気候目標を前倒し達成へ、業界のサステナビリティを牽引
トレックのこの野心的な取り組みは、2021年に環境負荷の少ないアルミニウムの調査を開始したことに端を発する。以来、サプライヤーと緊密に連携しながら新たなアルミ調達方針を策定し、移行への準備を進めてきた。2024年8月には最初の低排出アルミフレームが生産ラインに登場し、いよいよ2025年10月には、一部の例外を除くすべてのアルミ製バイクでこの素材を標準仕様とすることを決定した。
この施策により、トレックはSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)が認定した気候目標を予定よりも数年早く達成できる見込みだ。これは、自転車業界全体で見ても最も重要なサステナビリティのマイルストーンの一つと言える。
なお、この低排出アルミフレームは、従来の製品と全く同じ仕様・性能基準を満たしており、機能的には完全に同一。異なるのは、その製造過程における環境負荷の低さだけである。
トレック社長のジョン・バーク氏は、「これはトレックだけでなく、自転車製造の可能性にとっても大きな一歩です。この取り組みにより、気候目標の達成が数年早まり、より良い道があることを証明できました。自転車業界に限らず、他の企業もこの取り組みに加わってくれることを期待しています」と述べ、業界のリーダーとして変革を牽引していく強い意志を示した。
サプライチェーンの再構築と、その先へ
トレックが新たに設定した「持続可能なアルミ調達方針」は、アルミニウム・スチュワードシップ・イニシアチブなどの要件に準拠し、アルミニウム1kgあたりの排出量を11kg CO₂e以下に制限するという厳格なものだ。現在トレックが調達している原材料の多くは、再生可能エネルギーで稼働する一次素材メーカーによって、すでにこの基準を大きく下回っているという。
この基準を定め、サプライヤーと直接連携して実現することで、トレックはアルミのサプライチェーン全体を、よりクリーンな素材調達を軸に再構築するという大掛かりな変革を成し遂げた。
この変革はフレームチューブから始まったが、すでに次のステップへと進んでいる。トレックのグローバル・サステナビリティ・マネージャー、ジョエル・デメリット氏は、「まだ終わりではありません。私たちの目標は、すべての主要なアルミ部品にこの思想を広げることです」と語り、リム、シートポスト、ハンドルバー、ステムといった他のアルミ部品にも同様の基準を適用すべく取り組んでいることを明かした。
他社にも変革を促す、トレックが示す「5つのステップ」
特筆すべきは、トレックがこの戦略を自社だけのものとせず、広く公開することで業界内外の変革を後押ししようとしている点だ。デメリット氏は、「トレック1社が排出量を削減しても、世界を救うことはできません。だからこそ、サイクリング業界にとどまらず、他業界にも変化の力を拡げていきたいと考えています」と、協調の重要性を訴える。
その具体的な道筋として、トレックは他社が追随できるよう「低排出アルミへの5つのステップ」を提案している。
低排出アルミへの5つのステップ
- 明確な目標を設定し、全員に共有する:長期的なビジョンと明確な排出量目標を定義し、全社的に共有する。
- 素材の由来を把握する:アルミの調達先や製造工程を把握し、サプライヤーを分類して改善に取り組む。
- より良い選択肢を求める:新しいサプライヤーを探すだけでなく、現在のパートナーにも存在するよりクリーンな選択肢を積極的に求める。
- リサイクルについて正しく理解する:新しいリサイクル素材を導入する際は、それが真に環境負荷低減に寄与するかを慎重に見極める。
- 自らのストーリーを発信する:成果だけでなく失敗から得た教訓も共有し、透明性をもって信頼を築き、業界全体の変化を促進する。
このトレックの先駆的な取り組みは、製品の性能や品質を一切犠牲にすることなく、企業の社会的責任を果たすことができるという力強い証明だ。それは自転車業界だけでなく、あらゆる製造業におけるサステナビリティの新たなスタンダードを示すものであり、今後の産業界全体の動向に大きな影響を与えることになるだろう。
問:トレック・ジャパン https://www.trekbikes.com/jp/ja_JP/
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