
アレンスマンがピレネー難コースで逃げ切り ポガチャルはヴィンゲゴーの攻撃に動じず|ツール・ド・フランス

福光俊介
- 2025年07月20日
INDEX
ツール・ド・フランス2025は、大会中盤戦が進行中。ピレネー3連戦の最後となった第14ステージは、大人数の逃げの中からテイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)がトップを守り切り、ツールでは初のステージ優勝。個人総合争いは、マイヨ・ジョーヌのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)が、ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)の再三のアタックにも動じず首位の座をキープ。同3位でスタートしたレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)はリタイアしている。
ツール伝統の4つの山々
オタカムを上った第12ステージ、ペイラギュードでの山岳個人TTで競った第13ステージに続き、ピレネーを行く第14ステージ。

182.6kmのコースはツール伝統の4つの山々を超える。中盤まで平坦路を進んだら、まずは超級山岳トゥルマレ(登坂距離19km、平均勾配7.4%)へ。標高2115mまで駆け上がったら、一度下って2級山岳アスパン(5km、7.6%)、1級ペイラスルド(7.1km、7.8%)を立て続けに上がる。
そして、最後にそびえるのは超級山岳リュション・シューペルバニエール。登坂距離12.4kmで平均勾配は7.3%。中腹とフィニッシュ前で10%超の急坂区間が待つほか、大小のコーナーも待ち受ける。この日だけで獲得標高は4950m。今大会一番の難コースとの声も上がる、第2週のハイライトステージだ。
レースは、ツールではおなじみのポーの街を出発。実に76回目の登場となる今回は、雨の中を選手たちが出発することとなった。

レムコがまさかのリタイア
クイン・シモンズ(リドル・トレック、アメリカ)のファーストアタック以降、ジュリアン・アラフィリップ(チューダー・プロサイクリングチーム、フランス)やマイヨ・ヴェールを着るジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)など、次々とアタッカーが動いたレース序盤。なかなか逃げが決まらず、一時はミランが先頭で単独走になる場面も。40km地点を過ぎた直後に15人ほどが先行したが、これも集団の容認は得られず。

結局逃げが決まらぬまま、プロトンは70.1km地点に設定された中間スプリントポイントに向けた態勢へ。ここはポイント賞で首位を走るミランがねらい通りに1位通過をし、20点を加算している。
いよいよ山岳地帯へ。上り始めてほどなくしてレムコが集団内のポジションを下げてしまう。リーダーチームのUAEチームエミレーツ・XRGがつくるペースに合わせられず、やがて集団から遅れてしまった。今にも止まりそうなスピードで走るレムコには、チームカーがついて話し合い。結果、レースを100km以上残した段階で走行を断念。ヤングライダー賞のマイヨ・ブランを着たまま大会を去ることになった。
この間にもレースは動いていて、アレンスマンのペースアップをきっかけに数人が集団から抜け出しを図る。そのまま逃げる構えとなって、メンバーの増減やシャッフルをしながらもメイン集団との差を広げていく。1つ目の山岳である超級トゥルマレの頂上まで9kmを残す段階で、先頭は20人。そこからレニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)が抜け出して、後方では16人が追走パックを形成した。
ポガチャルの代役で山岳賞のマイヨ・アポワを着るマルティネスは、実際に同賞トップに立つべく、山岳ポイントを狙ってハイペースで飛ばす。トゥルマレでは1位通過の「ジャック・ゴデ賞」、2級山岳アスパンではマイヨ・アポワ採用50周年を記念した賞金5000ユーロをそれぞれ獲得した。

アレンスマンが36km独走
アスパンからの下りで、セップ・クス(チーム ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)とヴァランタン・パレパントル(スーダル・クイックステップ、フランス)がマルティネスに合流。さらに、個人総合8位でスタートしているトビアス・ヨハンネセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)が、アレンスマンとカルロス・ロドリゲス(スペイン)のイネオス勢と追走。1級山岳ペイラスルドを前に追いついた。
すると、アレンスマンが上りの入口の直前でペースアップ。一緒に逃げていたメンバーを引き離し、早々に独走態勢を固める。ペイラスルド頂上を1位通過すると、ダウンヒルもきっちりこなして、好ペースを維持したままシュペルバニエールへ。ヨハンネセンやマルティネスを含む追走グループとは2分近く、メイン集団とは3分程度の差で最後の登坂に入った。

大観衆が待つシューペルバニエールを上ったアレンスマン。追走メンバーはすべてメイン集団に捕まったものの、自身は十分なタイム差をキープして頂上までの距離を減らしていく。
ブエルタ・ア・エスパーニャでは2022年に個人総合5位、ジロ・デ・イタリアでは2023年、2024年と同6位の実績を持ち、高い総合力を誇るアレンスマン。今大会は総合で遅れていたが、今大会随一のハードステージで持ち味を発揮。グランツールでのステージ優勝は2022年のブエルタ第15ステージ以来で、ツールでは晴れの初勝利。最後は濃霧を切り裂いてフィニッシュ地点へと到達した。
ヴィンゲゴーのアタックを対処したポガチャルが先着
主にUAEがコントロールを続けたメイン集団はシューペルバニエールまで大きな動きはなく進んだが、残り8kmを切ったところで個人総合9位のフェリックス・ガル(デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム、オーストリア)がアタック。ほどなくして集団が逃げ残った選手たちを捕まえ、個人総合上位陣による勝負のムードが高まっていく。

そして残り4km、ヴィンゲゴーが先手を打つ。ポガチャルがシッティングのまま続くと、個人総合4位フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)もテンポで追いつく。残り2.5kmではポガチャルがアタックし、ヴィンゲゴーが追随。直後にカウンターでヴィンゲゴーが動いたが、ここもポガチャルのチェックがあり決めきれず。
2人はそのままフィニッシュ前までやってきて、最後はマッチスプリントに。残り200mでポガチャルが踏み込んで、ステージ2位のフィニッシュ。ヴィンゲゴーは3位だった。
その後は個人総合の上位ライダーが次々とステージを完了。個人総合首位のポガチャル、同2位のヴィンゲゴーは変わらないが、レムコのリタイアやステージ結果によって同3位以下がシャッフル。リポヴィッツが3位に浮上し、マイヨ・ブランに袖を通している。トップ3のタイム差は、ポガチャルとヴィンゲゴーが4分13秒差、同じくリポヴィッツが7分53秒差となっている。

ピレネーでの3日間を終えたプロトンは、第2週の締めとして第15ステージを走る。ミュレからカルカッソンヌまでの169.3kmは、3つの丘越えが控える。大方の予想は逃げ有利だが、果たしてどうなるか。
ツール・ド・フランス2025 第14ステージ 結果
1 テイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)4:53:35
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)+1’08”
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’12”
4 フェリックス・ガル(デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム、オーストリア)+1’19”
5 フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+1’25”
6 オスカー・オンリー(チーム ピクニック・ポストNL、イギリス)+2’09”
7 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)+2’46”
8 プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)ST
9 トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)+2’59”
10 ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)+3’08”
個人総合成績
1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)50:40:28
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+4’13”
3 フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+7’53”
4 オスカー・オンリー(チーム ピクニック・ポストNL、イギリス)+9’18”
5 ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)+10’21”
6 プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)+10’34”
7 フェリックス・ガル(デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム、オーストリア)+12’00”
8 トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)+12’33”
9 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)+18’41”
10 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+22’57”
ポイント賞
ジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)
山岳賞
レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)
ヤングライダー賞
フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)
チーム総合成績
チーム ヴィスマ・リースアバイク
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