
マチューの逃げは残り1kmで実らず、メルリールがステージ優勝|ツール・ド・フランス

福光俊介
- 2025年07月14日
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フランス内陸部に針路をとっているツール・ド・フランス2025。現地7月13日は第9ステージが行われ、前日に続くスプリント勝負をティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が制した。第3ステージに続き、今大会2勝目。この日はマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)がスタートから逃げ続け、残り1kmまで先行する見せ場を作った。それも関係し、レース平均時速はロードレースステージでは史上2番目の速さとなる50.013kmを記録した。
“カヴェンディッシュシティ”を目指して
開幕から続いた北フランスでの日々を終えて、プロトンは内陸部へと向いて走る。第9ステージのスタート地・シノンは、秋の伝統レースであるパリ~トゥールの通過地としても知られた街で、ロードレースとのかかわりが深い。フィニッシュ地・シャトールーも同様で、ツールにおいてはマーク・カヴェンディッシュがこの街で勝利すること3回。カヴェンディッシュの功績を称え、「カヴェンディッシュシティ」と銘打ってこのツールを迎えた。

174.1kmのレースコースは、おおむね平坦。カテゴリー山岳が設定されない「完全平坦ステージ」だが、後半にかけて風が強い区間を走行。スプリントを狙おうにも一筋縄にはいかないコースセッティングだが、各チームがどのように対処するかがポイントになった。
7.6kmのパレード走行を経てリアルスタートが切られると、ヨナス・リカールト(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)がファーストアタック。ここにチームメートのマチューが同調し、2人逃げの態勢を組んだ。メイン集団は追わず、両選手との差を5分30秒まで容認する。

この間、24.2km地点に設けられた中間スプリントポイントをマチューが1位通過。20点を獲得する。少しおいてやってきたメイン集団では、ポイント賞首位のジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)が先着し、全体3位通過。こちらも15点を獲り、マイヨ・ヴェールのキープに向け快調に得点を重ねる。
マイヨ・ヴェール狙いか、マチューが逃げる
フィニッシュまで100kmを切ったあたりから、徐々にメイン集団が先頭2人とのタイム差を縮め始める。南西から吹く強い風を利用した集団分断狙いの動きが断続的にみられるようになり、自然とマチューらとの差も縮小。特に、残り35kmを切ったところから始まったレッドブル・ボーラ・ハンスグローエとトタルエネルジーの牽きでは、30人ほどが後方に取り残される格好に。さらに、残り30kmを切ってからはチーム ヴィスマ・リースアバイクが猛然とスピードを上げ、緊張感が一層増した。

残り20kmでマチューらと集団とは55秒差。再度1分台までギャップが拡大したが、フィニッシュまで10kmを残して52秒差に。集団が完全に先頭2人を射程圏に捉えたが、マチューがここから脅威の粘りを見せる。

残り6kmでリカールトからトップを託されたマチューは、30秒前後の差を保って最終局面へ。集団では数チームが入り乱れての主導権争いが繰り広げられる。残り2kmで7秒差まで迫ると、長かったマチューの逃げの終わりが近づく。そして、最終1kmを示すフラムルージュを通過した直後に集団がキャッチした。

勝負はスプリントへ。グルパマ・エフデジやイスラエル・プレミアテックなどが隊列を組んで前線を固めたが、フィニッシュ前200mバナーをきっかけにミランがスプリントを開始。前日からの連勝を狙ったが、その脇から伸びてきたのがメルリール。ミランをかわすと、最後は両手を高く掲げてウイニングセレブレーションを決めた。
メルリールは前日の雪辱
メルリールは第3ステージでも勝利を挙げており、今大会2勝目、ツール通算では3勝目とした。前日のステージでは、終盤にバイクトラブルに見舞われ、前方への復帰を試みたものの失敗。スプリントに参戦できなかった。その雪辱となる会心の勝利を挙げた。

結果的に、63位までがメルリールと同タイムフィニッシュ。個人総合上位陣の大多数がこの中でレースを終えたが、長距離逃げを演じたマチューがわずかに遅れた関係で、マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)と順位が入れ替わっている。また、マチューの逃げを演出したリカールトにステージ敢闘賞が贈られている。

なお、このステージではジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ・XRG、ポルトガル)がリタイア。2日前の落車が影響しており、タデイ・ポガチャル(スロベニア)にとっては重要なアシストを失うこととなった。
翌7月14日は、フランス革命記念日。月曜日だが特例でレースを実施する。その第10ステージは、今大会初となる本格山岳ステージ。165.3kmに8つものカテゴリー山岳が詰め込まれる。いずれも2級か3級だが、連続する上りで確実にタフな戦いとなる。フィニッシュは標高1324mの2級山岳モン・ドールの頂上に置かれる。
ツール・ド・フランス2025 第9ステージ 結果
1 ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)3:28:52
2 ジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)ST
3 アルノー・ドゥリー(ロット、ベルギー)
4 パヴェル・ビットネル(チーム ピクニック・ポストNL、チェコ)
5 ポール・ペンウェット(グルパマ・エフデジ、フランス)
6 ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)
7 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス、ドイツ)
8 ヨルディ・メーウス(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ベルギー)
9 スティアン・フレッドハイム(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)
10 カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア)
個人総合成績
1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)33:17:22
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’54”
3 ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)+1’11”
4 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’17”
5 マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+1’34”
6 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)+1’46”
7 オスカー・オンリー(チーム ピクニック・ポストNL、イギリス)+2’49”
8 フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+3’02”
9 プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)+3’06”
10 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+3’43”
ポイント賞
ジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)
山岳賞
ティム・ウェレンス(UAEチームエミレーツ・XRG、ベルギー)
ヤングライダー賞
レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)
チーム総合成績
チーム ヴィスマ・リースアバイク
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