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地元フランスの期待を背負うケヴィン・ヴォークラン ツール・ド・フランスでキャリアを開拓

世界最大のサイクルロードレース、ツール・ド・フランス。2025年大会の前半はフランス北部を進行しているが、現地ファンの人気を誰よりも集めている選手がいる。ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)、24歳。前回大会でツール初勝利を挙げ、今回は第6ステージ終了時点で個人総合4位につける。近い将来、トップライダーとしてビッグレースには欠かせない存在となるであろう逸材は、ツールの活躍からキャリアを一層輝かせようとしている。

フランス自転車界の次代を担う男

ヴォークランは2001年4月24日生まれの24歳。2022年にチーム アルケア・サムシック(現チーム アルケア・B&Bホテルズ)でプロデビュー。トラック競技がバックボーンにあり、2018年にはジュニア世界選手権のチームパシュートで銀メダル。ロードでプロデビューするまでは、トラックでもエリートカテゴリーで戦った。

大きな飛躍を遂げたのは2024年。シーズンインから上位進出を繰り返すと、アルデンヌクラシックではラ・フレーシュ・ワロンヌで2位。ユイの壁で見せたパンチ力は本物で、ツールでは第2ステージで逃げ切り勝利。2025年はさらに勝利を重ねて、ステージレース2勝。ラ・フレーシュ・ワロンヌでは2年連続での2位を収め、ツール前哨戦のツール・ド・スイスでも個人総合2位に食い込んだ。

その脚は、パンチャーとしてだけでなく、個人タイムトライアルを得意とするように独走力にも自信を持つ。そんな自転車王国フランスのスター候補生は、ティボー・ピノやロマン・バルデが引退した今、同国サイクリングシーンきっての人気者へと駆け上がっている。

© A.S.O./Billy Ceusters

誰よりも応援し甲斐のある選手

その人気を示したのが、今ツールのチームプレゼンテーションだった。リールで行われた選手たちの顔見せでは、会場に集まった大勢のファンがヴォークランの登場を喜び、声援を送った。会場のグランプラスが地響きで揺れたほどの大歓声は、ジュリアン・アラフィリップ(チューダー プロサイクリングチーム、フランス)やタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)と並ぶものだった。

ヴォークランを推すファンに聞くと、その魅力は人間性とともに走りにもあるという。「ここぞという場面での力強いアタックは、他の選手以上に応援のし甲斐がある」と。さらに…これは私感だが、甘いマスクも見逃せない。ルックスに惹かれている人も多いように感じる。

© Syunsuke FUKUMITSU

今大会の第2ステージでは、結果的に勝利を挙げるマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)やポガチャルに食らいついた。いや、彼らに勝とうと再三再四攻撃を仕掛けた。残り8kmでは、マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)と一瞬抜け出す場面もあった。

レース後には、チーム首脳陣や現地メディアが口をそろえて「動きすぎ」とその走りを指摘したが、本人も負けてはいない。「ジョーゲンソンと抜け出した場面は、お互い協調できれば逃げ切れたはずだ」。前日の第1ステージでは、集団の分断にうまく対処し前方でフィニッシュしていた。本人の描いていたシナリオでは、第2ステージを勝ってマイヨ・ジョーヌを着ることだったという。

イエローをまとうことはかなわなかったが、第5ステージでは得意の個人タイムトライアルで5位と上々の走りで、個人総合でも3位に浮上。「本当に良い気分だ」と喜んだ。先を見通すと山岳で苦しむ可能性が高いと自己分析するが、できる限り上位をキープしながら走り続けたいとする。

© A.S.O./Billy Ceusters

故郷をスタートした第6ステージ

ヴォークランにとっての“真の見せ場”は第6ステージに訪れた。スタート地・バイユーはまさに彼の故郷なのだ。

© Syunsuke FUKUMITSU

もちろん、この地で一番の歓声を受けたのは彼だ。チームパドックでは、集まったたくさんのファンと記念撮影に臨み、大歓声には両手を振って応えた。チームバスから一歩でも出たらファンや関係者に囲まれてしまうから、チーム広報が全力でディフェンス。スタート前のチームプレゼンテーション後には、ほんのわずかな時間だったけど即席のサイン会も開いた。

© A.S.O./Billy Ceusters

この日は8人の逃げ切りが決まり、メイン集団でレースを進めたヴォークランが上位進出することはなかった。それでも、ポガチャルらと同グループでフィニッシュ。個人総合では好位置をキープしている。レース中には、自身の顔が描かれた熱気球を見つけて驚いたとか。実は、彼の父が制作に携わっていたそうで、ヴォークラン自身は見つけるまでそれが造られているとは知らなかったという。「もう、震えるほど嬉しかったよ!」。

チームとは契約最終年 ツールは将来への指標に

強く、人気者の彼だが、実はキャリアの岐路に立とうとしている。

現在所属するチーム アルケア・B&Bホテルズは、アルケア社、フランスのホテルチェーンであるB&Bともにタイトルスポンサーを今季限りで終えると発表。チームはスポンサー探しを強いられている。

また、今シーズン終了後にはUCIワールドチームと同プロチームの入れ替えが控えるが、チームはプロチーム降格の危機にある。今季までの3シーズンで得たUCIポイントの合算で決まるが、チーム アルケア・B&Bホテルズは得点を伸ばせておらず、このままだと降格の可能性が高い。そうなると、スポンサー探しは一層難航し、契約を結べたとしても年間予算が抑えられることも考えられる。このままだと、ヴォークランに支払う給与が捻出できないという。

本人はその状況を理解しており、資金力・チーム力ともに高いところへ移籍することは頭にあるという。一方で、「ノルマンディで育った僕だけど、気持ちはブルターニュとともにある」と述べるように、ブルターニュを代表する現チームへの愛も否定しない。

この状況においてひとつ確かなのは、ツールの走りこそがヴォークラン自身の将来につながるであろうことだ。彼が稼ぎ出すUCIポイントが現チームを助けるかもしれないし、彼を注視する他チームが破格のオファーを出すかもしれない。

ヴォークランにとってのツール・ド・フランス2025は、未来への数ある扉を、そしてその中からどれを開くかを選び出す重要な機会でもある。

© Syunsuke FUKUMITSU

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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