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ロヴァール・ラピーデスプリント/ラピーデCLXⅢ試乗評価(後編) 追いつけないアタック|SPECIALIZED

「スペシャライズド傘下のホイールブランド「ロヴァール」が新たに発表した「ラピーデスプリント」および「ラピーデ CLXⅢ」。その注目作を2回にわたって解説する。後編では自転車ジャーナリストの安井行生氏が試乗レビューをお届け。

前編インタビューはこちら▼

ロヴァール・ラピーデスプリント/ラピーデCLXⅢ試乗評価(前編) プロダクトマネージャーに聞く「変化の理由」|SPECIALIZED

ロヴァール・ラピーデスプリント/ラピーデCLXⅢ試乗評価(前編) プロダクトマネージャーに聞く「変化の理由」|SPECIALIZED

2025年07月19日

熱可塑性樹脂の理由

試乗評価の前に、ロヴァールコンポジットスポークに使われる樹脂について一席。炭素繊維を製品の形状に固めるには樹脂が必要だが(だからカーボン製品の正式名称はCFRP=炭素繊維強化プラスチック)、ロヴァールコンポジットスポークに用いられているのは、フレームやリムに使われている熱硬化性樹脂(加熱すると化学反応によって硬化し、再加熱しても元の状態に戻らない樹脂)ではなく、熱可塑性樹脂(熱を加えると柔らかくなり、冷やすと固まる性質を持つ樹脂=サーモプラスチック)である。

新型ラピーデの広報資料の中でも「カーボン強化サーモプラスチック」という仰々しい名称で目を引くが、従来、熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂に比べ強度などの力学的特性が劣り、高負荷がかかる部位には適さないとされてきた。

また、熱可塑樹脂は高温にしても粘度が高く、炭素繊維に浸透しにくいという難しさもある(CFRPにしたときに樹脂率が高く、繊維率が低くなってしまう)。そのため、長繊維ではなく短繊維を用いる射出成型に使われることが多い。熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂のように低温で保管する必要がなく使用期限もないため、運用や成形や加工が容易でリサイクル性に優れるが、性能を追求するCFRPに多く使われているのは熱硬化性樹脂である。

東レ取材による付け焼刃のそんな知識が頭の片隅に残っていたため、ロヴァールが「サーモプラスチック使用!」とアピールしていることに違和感があったのだが、クリス氏に聞くと熱可塑性樹脂には耐久性や振動の減衰の面でメリットがあるうえ、物性の面でもどんどん進化しており、「どっちが優れておりどっちが劣っているか」ではなく、「目的によって使い分ける」ことが正しい設計になっているという。

また、アリスコンポジット社が熱可塑性樹脂のスペシャリストであることも大きい。「サーモプラスチックを使うこと」が目的なのではなく、「アリス社と共同開発し理想のカーボンスポークを追求した結果、サーモプラスチックを使うことになった」が正確なのだ。この辺りの話は非常に面白かったのだが、深入りするとかなりの文字数になってしまうため、またの機会に。

身構えていたら……

では試乗だ。スペシャライズド・ジャパンの社屋近隣で行われた試乗会では、試乗用バイクとしてターマックが大量に用意されていたが、筆者は私物バイク(バチバチの競合メーカー車)を持ち込ませていただいた。空気読めない奴ですいません。真面目にインプレするためですのでどうかお許しを。

まずはラピーデスプリントから

“1400Wを発揮する体重70kgのスプリンターが、時速55kmからスプリントを開始するというシミュレーションにおいて―――” プレスリリースにはそんな文言が並んでいるので、思わず「自分なんかが乗っていいんでしょうか?」とお伺いを立てたくなる。

「55km/hからの加速がどうのこうの」とか、「1400Wで踏んだときにああだこうだ」などという謳い文句は、「火星の大気成分の約95%は二酸化炭素です」と同じくらい別世界のことに思えて、全く自分事にならない。そんな超人が異次元のスプリントで勝つために作られたというラピーデスプリント、どれだけ扱いにくくてカチンコチンなのかと身構えたら、思いっきり拍子抜けした。非常に乗りやすいのである。

漕ぎ出しは軽やかで、ローハイトのよう……はさすがに言い過ぎだが、リムハイトが60mm前後あるとは思えないほど鋭い。しかも剛性が高すぎない。クリス氏によると、開発時は「カーボンスポークにすると剛性が高くなりがちで、選手からも『もっと剛性を下げてくれ』というフィードバックがあった」とのことだったが、その剛性感の玉成作業は功を奏しており、ラピーデスプリントは意外なほど上品な走りをする。フレームにしろホイールにしろ、単なる剛性や軽さや空力だけではなく、「扱いやすさ」や「ペダリングフィール」まで踏み込んで設計を行うスペシャライズド/ロヴァールの知見が遺憾なく発揮されている。

性能的には隙がない

加速では「リムハイトが60mmもあるとは思えない」だが、高速域への加速性能や巡航性能は「60mm以上の実力がある」だった。上りも望外に軽快。前後セットで1400g弱あるので、重量起因というよりは洗練された剛性感によるものではないかと思う。

操舵角が大きくなるタイトコーナー含め、ハンドリングにも全く癖がない。横風に対する安定性は再現性がないため正確な評価は不可能だが、試乗当日は時折強めの風が吹いていたが煽られてひやりとすることはなかった。「これだけの横風が吹いたらこのくらい振られるから、このくらいの修正舵が必要だろう」という予測がしやすいからだろう。

60mmあるとどうしても縦に硬くなるので、衝撃はそれなりに伝わるが、減衰は驚くほど速い。振動が尾を引かないので、ギャップを踏んでも不安定になりにくく、走行感が不快にならない。クリス氏は「数値化できておらず証明できていないのでプロモーションとしては使っていませんが、高い減衰性はカーボンスポークならではのメリットだと思います」と言われていたが、「振動が消えるスピード」はスチールスポークにはないものだと感じた。試乗時はチューブド仕様だったため、チューブレスにすればさらに乗り味が洗練されるのだと思う。

自分で書いていて気持ち悪いくらいの礼賛になってしまうが、これが正直な感想だ。意外なことに、設計者が想定しているワット数の半分ほど、速度域はせいぜい7割ほどの貧脚でも、存分にその高性能を楽しめるホイールである。性格はエアロ特化ではなく万能で、性能的には隙がない。デメリットは、価格と、カーボンスポークの取り扱いの難しさ、「リヤの方がローハイト」という見た目のアンバランスくらいだろう(実際は5mmしか違わないためほぼ違和感がなかったが)。

つづいてラピーデCLXⅢ「ロヴァールのアタック」

続けてラピーデCLXⅢにもちょい乗りすることができた。基本的な方向性はラピーデスプリントとかなり似通っているが、もちろん差はある。

ラピーデスプリントの加速性能が意外なほどよかっただけに、加速フェーズではラピーデスプリントとCLXⅢでそこまで差がないように感じられた。巡航性能はラピーデスプリントの10~15%減という印象だが、そのぶん扱いやすさや上質なペダリングフィールはCLXⅢに分がある。ラピーデスプリントは5分乗るだけで魅力を理解できるが、ラピーデCLXⅢは数時間乗った後にじわじわと美点が体に染み入ってくる、そういう違いだ。

リムブレーキの時代から、ロヴァールは絶対性能と扱いやすさを両立させるのが上手いメーカーだった。今回も、「ワールドツアーの選手がスプリントで勝つために」などという過激な看板を掲げてそれに見合った高性能を実現しつつ、一般ライダーでも扱える柔和な一面も隠し持たせている。この懐の広さはロヴァール史上最大かもしれない。

カーボンスポーク採用ホイールはまだまだ玉石混合だが、この新型ラピーデに宿る性能はカーボンスポークならではのレベルであり、完成度は頭一つ抜けている(中国系メーカーとの価格差を考えると当然ではあるが)。

今後、メジャーなホイールメーカーも一気にカーボンスポークを採用することになると思うが、その先陣を切ったロヴァールのアタックに追いつけるメーカーは限られるような気がする。

スペシャライズドのクリス・ウィーハン氏へのインタビューはコチラから↓

ロヴァール・ラピーデスプリント/ラピーデCLXⅢ試乗評価(前編) プロダクトマネージャーに聞く「変化の理由」|SPECIALIZED

ロヴァール・ラピーデスプリント/ラピーデCLXⅢ試乗評価(前編) プロダクトマネージャーに聞く「変化の理由」|SPECIALIZED

2025年07月19日

Roval Rapide CLX Sprint

フロント:193,600円(税込)、リア:290,400円(税込)

  • カラー:Gloss Carbon / Gross White、Satin Carbon / Gloss Black
  • 重量:1,395g
  • リムハイト:フロント63mm / リア58mm
  • 特徴:究極のスプリント性能、エアロコンポジットスポーク、DT Swiss 180ハブ

Roval Rapide CLX III

フロント:193,600円(税込)、リア:290,400円(税込)

  • カラー:Gloss Carbon / Gross White、Satin Carbon / Gloss Black
  • 重量:1,305g
  • リムハイト:フロント51mm / リア48mm
  • 特徴:大幅な軽量化、オールラウンド性能、エアロコンポジットスポーク、DT Swiss 180ハブ

問:スペシャライズド・ジャパン https://www.specialized.com/jp/ja

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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