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尾瀬のふもとの小さな尾瀬|まだ知らない尾瀬ストーリー#21

“尾瀬”と聞くと思い描く景色はどんなものでしょうか?

「湿原と山と木道」という景色を思い浮かべる方が多いかもしれません。尾瀬はその景色があまりにも有名で、その成り立ちや歴史、その周辺地域のこと、そこに関わる人々のことはほとんど知られていません。じつは尾瀬には感動的なストーリーがいくつもあるのです。

尾瀬をこよなく愛するOze Nature Interpreterの私が、尾瀬のさまざまなストーリーをお届けします!

“モネ”の絵画を思い出す美しさと、尾瀬の自然を守り抜いた先人

みなさんは、福島県側の尾瀬のふもと・檜枝岐村に“小さな尾瀬”があるのをご存じでしょうか?

今回ご紹介するのは、その名も「ミニ尾瀬アートエリア」。尾瀬国立公園を再現した、まさに小さな尾瀬がこの村にはあるのです。

▲尾瀬にも咲く植物が、たくさん見られるエリアのうしろには燧ヶ岳。

写真を見ていただいてもわかるとおり、尾瀬に咲く花々が多く見られるこの場所は、私にとって“予習”の場所。尾瀬よりひと足早くさまざまな植物が開花するので、「あの花は~だったよね。あの木はこれで……」などなど、半年間のブランクを克服するように、ここに来ては確認できる、とてもありがたい場所です。

▲尾瀬にも咲いている、紫色が美しいヒオウギアヤメ。
▲ヒオウギアヤメと見分けが難しいカキツバタ。
▲お花が下向きなので、ちょっと写真が撮りにくい(笑)ヤマオダマキ。
▲まるで南国のような花をつける、クガイソウ。

そして、タイトルに書いた“モネ”の絵画を思い出す場所。私はこのミニ尾瀬アートエリアに来て水辺に立つと、水の美しさと、そこに反射する緑色や花々を見て、「あの絵みたい……」と毎回思います。みなさんもきっと、現地に来て、その美しさを見たら思い出すはず……。

▲ミニ尾瀬アートエリアは、水のある景色がとくに美しいと思う。
▲太陽が植物にあたる光と水面に写り込む景色はすばらしい。
▲気がつくとおなじような写真をたくさん撮っている。
▲置かれたベンチとテーブルも絵になる。
▲水に映る緑が美しい。

さて、このミニ尾瀬アートエリアでは、尾瀬好きにはたまらない!燧ヶ岳を眺めながら、ゆったりとしたカフェ時間を楽しむこともできます。

▲ミニ尾瀬パークカフェからは、燧ヶ岳を眺めながらゆったりとした時間を味わえる。

カフェメニューは、檜枝岐村のものや、会津のものを使った軽食やドリンクが楽しめます。

▲この日いただいたのは、さるなしジュースと、地元の山人家さんが作ったサルサソース付きのホットドック。

燧ヶ岳を眺めながら、お茶会をしていると、あっという間に3時間経ってしまっていることも。居心地がよくて、ついつい長居してしまうのです……(笑)。

▲本格的なフォンダンショコラは、フォークを入れると中からチョコレートが溢れます。

そしてさらに、このミニ尾瀬パークカフェには、尾瀬好きならば訪れてほしい場所があります。そう、「武田久吉メモリアルホール」です。

▲この建物の1階にカフェが、2階に武田久吉メモリアルホールがある。

この武田久吉という人物、尾瀬好きであれば名前を知っている方も多いのではないでしょうか?

「尾瀬の父」と呼ばれ、尾瀬の自然保護運動に尽力をされた植物学者であり、登山家。尾瀬がまだ知られていなかった時代に尾瀬を訪れ感動し、そこから生涯尾瀬を深く愛した人です。いま私たちが尾瀬を、自然を、大切にしようと考えることは当たり前になっていますが、当時は自然保護の概念はありませんでした。その時代に、尾瀬での電源開発の動きに反対し、尾瀬の大切さを訴え続けた人だったのです。

武田久吉氏が書いた文章はたくさんあって、このメモリアルホールにもいくつも展示されています。私はその中の『尾瀬と鬼怒沼』という本を持っていますが、その本に書かれた尾瀬に対する想いが伝わるいくつもの文章に、心から感動しました。

▲武田久吉氏が書いた『尾瀬と鬼怒沼』。

その中でも、初めて尾瀬を訪れた時のことをふり返る文章では

“尾瀬がただに植物学的に貴重であるというのみでなく、未だかつて他で見ない風景地であることであった。もちろんその頃のわたしの経験は極めて浅薄なものであったのだが、その後二十数年間の絶えざる旅行によって見聞を広めた今日でも、尾瀬の右に出ずる地を思い浮かべることは出来ない。”(尾瀬と鬼怒沼/武田久吉著より抜粋)

と書いていて、いろいろな場所におもむいた武田久吉氏でも、それでも尾瀬が一番だ、と言っているところからして尾瀬への愛が伝わってきます。何度も尾瀬を訪れ、落ちているゴミを拾ったり、強い言葉で尾瀬だけでなく日本各地の開発を批判したり。

もし、このメモリアルホールに訪れる機会がありましたら、ぜひ武田久吉氏のストーリーを感じてみていただきたいと思います。

いま、各地で「SNS映え」や「癒される」と騒がれている場所にある自然は、もしかしたら武田久吉氏のような先人たちが大切に守り抜いてきた自然なのかもしれません。そんな尾瀬の歴史に思いをめぐらせつつ、檜枝岐村の“小さな尾瀬”でゆっくりとすごしてみていただけたらうれしいです。

▲2階の武田久吉メモリアルホールの前に設けられた席からも、すばらしい眺めが。

【今年も“尾瀬を未来につなぐために”さまざまなイベント・プログラムを行ないます】

現時点で決定しているものをお伝えします!

■オンライン“尾瀬を学ぶ会”
「この感動を、もっと多くの人と分かち合いたい」 「ただ見るだけでなく、尾瀬の背景にある物語を知ってほしい」そんな想いから、オンラインの「尾瀬を学ぶ会」をスタートすることにしました。
インタープリターとして現地で植物や動物たちの声に耳を傾けてきた経験を活かし、画面越しではありますが、尾瀬の奥深い魅力をお届けします。

■尾瀬のためにフェス
分野にとらわれないつながりをつくることが、尾瀬や自然を守るために大切だと考えています。お越しいただいた来場者さま、出店者さまそして尾瀬がつながる……。いままでにない尾瀬のつながりが尾瀬を未来につなぐと信じて。“尾瀬のためにフェス”を開催します!

■尾瀬のツキノワグマを知る
”ツキノワグマに注意”が増えてしまっているいまだからこそ、正しくクマのことを知ってみませんか?ツキノワグマの生息地でもある尾瀬や山を愛するみなさんに、ぜひ知っていただきたい内容です。株式会社群馬野生動物事務所の春山さんをお招きして、お話しいただきます。

→詳細はOze Nature InterpreterのInstagramにてアップいたします!
Instagram@oze.nature

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PROFILE

HagiwaraMai

ランドネ / Oze Nature Interpreter

HagiwaraMai

尾瀬高校自然環境科の卒業生であり、尾瀬のビジターセンターや山小屋、ガイド団体で働いた経歴をもつ。現在は、尾瀬をこよなく愛するOze Nature Interpreterとして尾瀬とその周辺地域の知られざるストーリーを伝える活動をしている。

HagiwaraMaiの記事一覧

尾瀬高校自然環境科の卒業生であり、尾瀬のビジターセンターや山小屋、ガイド団体で働いた経歴をもつ。現在は、尾瀬をこよなく愛するOze Nature Interpreterとして尾瀬とその周辺地域の知られざるストーリーを伝える活動をしている。

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