
カメラを持って山に行く日|三浦半島・大楠山で、人生初の「フォトハイク」
Mt.ランドネメンバー
- 2026年05月08日
山歩きを続けていると、もうやめようかな、と思うことがあります。新鮮さがなくなったり、気持ちが折れたり。そんなスランプの状態から、カメラを持つことで山に戻るきっかけを見つけた、Mt.ランドネメンバーの体験をお届けします。
私がカメラを買った理由(わけ)
山を歩いていると、必ずといっていいほどカメラを持った人に出会います。すてきだなと思うけれど、写真を撮ると時間がかかるし、重さで体力も消耗する。コースタイムより速く歩きたい私にとって、カメラは余分なものでした。
それなのに。いま、私の手元にはカメラがあります。

きっかけは、昨年夏の北アルプス縦走でした。富山県の立山をスタートし、折立に下りる4泊5日の山旅。年齢のせいか暑さのせいか、歩くのがとてもつらかったのです。たくさんの人に追い抜かれたし、もっと短い日程で歩く人にも出会いました。登山は他人と比べるものではないし、タイムレースでもない。わかっているはずなのに、どんどん気持ちがしぼんでいって……。「山に行くの、なんだか疲れたな」秋が来るころには、山歩きを楽しめなくなっていました。
そんなとき、カメラを持って山を歩く記事が目にとまりました。そうか、写真を撮ればいいんだ。そうすれば、ゆっくり歩く理由ができる。もう一度山を楽しむきっかけになればと、記事で紹介されていたOM-5 Mark Ⅱを購入したのです。
大楠山で、3時間のコースをゆっくり歩く
最初の山はどこにしよう。ふと、何年も前に母と歩いた大楠山が浮かびました。速く歩きたい私はペースを上げ、いっしょに歩く母は大変そうでした。申し訳ないことをしたと、ずっと心に引っかかっていた山。母とできなかった「ゆっくり」を楽しもう。そう決めました。

海沿いのバス停に降り立って、カメラを首からぶら下げます。なんだかちょっと気恥ずかしい。想像以上にカメラは重く、このまま歩けるだろうかと少し不安な気持ちになります。でも、今日はゆっくり歩けばいい。時間を気にせず立ち止まり、心のおもむくまま写真を撮ることにしました。

ファインダーから見る世界は、現実よりも少しやわらかで、光がいつもと違って見えます。カメラの機能は、まだよくわからない。けれど、近づいたり離れてみたり、覚えたてのF値を調整しながら撮っていると、カメラの世界に足をふみ入れたみたいで、自然と顔がほころびます。夢中になって撮っていたら、レンズの中に展望台が。いつのまにか山頂に到着していました。

展望台から見る海は、やさしく霞んでいて、心地よい風が吹いてきます。カメラのおかげで、ほんの少し、私の山歩きを取り戻せた気がしました。空を見上げて大きく伸びをし、いまの気持ちが写ればいいなと、海に向かってシャッターを切りました。

帰りのバスに揺られながら、今日一日のゆったりした時間を思い出します。のんびり歩くって、いいものだな。そうだ、今度は母と出かけよう。カメラを持って、母のペースでゆっくりと。次の山旅に思いをめぐらせながら、大楠山をあとにしました。
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PROFILE
Mt.ランドネメンバー
山や自然をこよなく愛し、自分たちの“好き”を共有するコミュニティーサービスの一員。会員限定イベントなどを通じて、山や自然の新しい魅力を見つけたり、自分らしいアウトドアを楽しんでいる。
山や自然をこよなく愛し、自分たちの“好き”を共有するコミュニティーサービスの一員。会員限定イベントなどを通じて、山や自然の新しい魅力を見つけたり、自分らしいアウトドアを楽しんでいる。



















