
四角友里のにっぽん食名山#29「神奈川県・荻野高取山/玉子サンド」
四角 友里
- 2026年04月05日
一つひとつの「食」から、山の時間や会話が蘇り、歩くだけでは気づけないとても大切なことを教わります。そんな心に残る山の食べものを四季折々の楽しみとともに綴るエッセイ連載です。
黄色があふれるミツマタの群生と無人販売の玉子サンド研究所

春になるとミツマタは、森のなかに黄色の幻想的な世界を出現させますが、神奈川県厚木市にある高取山のミツマタ桃源郷に向かう途中にも、のどかな住宅街に突如現れるまばゆい黄色の一角があります。黄色い冷蔵庫がずらりと並ぶこの場所は、通称「玉子サンド研究所」と呼ばれるサンドイッチの無人販売所。県内外から人々が訪れ、売り切れ必至の人気スポットになっています。
1日数回、サンドイッチが補充されるやいなや、ワラワラと伸びるお客さんの手。私もなんとかつかみ取り、高取山へと向かいます。ミツマタはちょうど見ごろで、淡いひよこ色の花を咲かせ、春の訪れを祝っているみたい。あたりを包む甘い香りにも、うっとりしました。
しかし、この日の私には、ミツマタが玉子サンドの色にしか見えない。ミツマタの蕾や外側の白色、小さな花が集っているようすが、刻まれた白身と黄身の配色と重なります。サンドイッチへの気持ちが高ぶったのか、ぐぅとお腹が鳴ったところで、予定より早めのお昼ごはんにしました。
こぼれんばかりにたっぷりの玉子は、ふわりとした食感。素材の風味がしっかり残り、マヨネーズとのバランスも絶妙でこだわりを感じます。まるで色合わせをしたような再現度の、黄色尽くしな1日。春の色を堪能しました。

四角友里さん

「山スカート」を日本に広めた女子登山ブームの火付け役。講演や執筆、山ウエア・ギアの企画開発に携わる。日本全国の山を旅しながら、土地の食や文化を味わうのがライフワーク。
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PROFILE
ランドネ / アウトドアスタイル・クリエイター
四角 友里
「山スカート」を日本に広めた女子登山ブームの火付け役。講演や執筆、山ウエア・ギアの企画開発に携わる。日本全国の山を旅しながら、土地の食や文化を味わうのがライフワーク。
「山スカート」を日本に広めた女子登山ブームの火付け役。講演や執筆、山ウエア・ギアの企画開発に携わる。日本全国の山を旅しながら、土地の食や文化を味わうのがライフワーク。




















