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道具も食も。最良を、ていねいに手渡す。MoonlightGear 千代田高史 | Life × Nature あの人の「スタイル」

道具は「スタイル」の象徴だ。アウトドアとの向き合い方と、日々の暮らしが溶け合うあの人のスタイルを探り、愛用品を紹介する本連載。

第2回は、UL(ウルトラライト)ハイキングシーンを牽引するアウトドアショップ、ムーンライトギア(MoonlightGear)代表の千代田高史さんに話を聞いた。

編集◉宮﨑真里江 Edit by Marie Miyazaki
写真◉熊原美惠(スタジオ)、宮﨑真里江(取材写真) Photo by Yoshie Kumahara, Marie Miyazaki

外遊びの入り口は、メカニカルな道具への好奇心

装備を極限まで軽くし、身軽になることで、より深く自然を享受する「ULハイキング」。いまや登山初心者にとっても身近な選択肢になったこのスタイルを、日本に浸透させた立役者の一人が千代田高史さんだ。無駄を省いた「合理性」の先に、自然と向き合う遊びの本質を見いだす彼のスタイル。その原点を探ると、意外にも「歩くこと」そのものではなく、純粋な道具への好奇心にたどり着く。

▲2025年夏、千代田さんはアメリカ東海岸のアパラチアン・トレイルの一部(約1,000km)をセクションハイク。2カ月半に及ぶ壮大な旅のひとコマ。写真:本人提供。

「うちの両親は、とくにアウトドア好きというわけでもなくて。いま思えば、山に入った最初のきっかけは、マウンテンバイク(以下、MTB)。大学生のときに、単純に見た目のかっこよさに惹かれて購入したんです。もともと道具いじりが好きで、当時はパーツを特集した雑誌などを参考に、自分なりにセッティングを工夫していくのがなにより楽しかったですね」

価値観を変えた、屋久島バックパッキングの旅

大学を卒業し、就職して社会人に。生活環境は変わっても、休日になれば自分仕様のMTBを担いで里山へ向かい、仲間とダウンヒルに明け暮れた。当時はあくまで、山は「MTBで走る場所」。外遊びに夢中ではあったが、自らの足で「歩き、泊まる」という行為には、まだ関心が向いていなかった。そんな千代田さんを現在のスタイルへと導いたのは、一冊の雑誌だった。

▲「MOUNTAIN HIGH LIFE」をテーマにバックパッキングに焦点を当てた、雑誌『Spectator』Vol.16(2006年発行)。

「『Spectator』のバックパッキング特集を読んで、猛烈に旅へ出たくなった。すぐにテントを買い、小峯(※1)ともうひとりの仲間と3人で屋久島へ。3泊4日、深い森のなかを淡々と歩く。数日間、アスファルトを踏まずにすごす時間はとにかく新鮮でした。道具選びの奥深さ、そして衣食住のすべてを背負って乗り切ることも。日常では味わえない感覚に触れて、バックパッキングという遊びのおもしろさに、一気に引き込まれてしまいました」

※小峯秀行さん。ノマディクス(ムーンライトギアの運営会社)代表。千代田さんとは大学時代からの友人であり外遊び仲間。

【千代田さんの愛用品①】アメリカ生まれのハイテールデザインズのファニーパック。「防水性が高いので、デジカメの持ち運びに重宝しています。普通のウエストポーチより小ぶりで、トップスの下に隠れてしまうほどさりげない。ウエストポーチのいかにもな存在感が出すぎないので、街着にもなじむんです」

屋久島の旅以来、千代田さんは奥多摩などの山々へ通い詰めるようになる。道具好きの性分ゆえ、バックパッキングの深淵にのめり込むのは必然だった。2010年、その探究心は「共有」へと向かう。会社員として勤める傍ら、小峯さんと共にムーンライトギアをオンラインショップとしてスタート。日本ではまだめずらしかった海外のガレージブランドや、超軽量なULギアを次々と紹介していった。

「小峯が写真を撮り、僕がレビューを書く。ページの構築や海外との交渉も、すべてをふたりで行なっていました。当時から一貫していたのは、道具を自分たちの言葉で語ること。実際に使い倒して、納得したものだけを提案する。そこには一切の嘘をつきたくない。その『リアル』へのこだわりが、立ち上げからいまにいたるまで、僕らの根底にあるものです」

【千代田さんの愛用品②】ムーンライトギアが手がけるブランド、アンハーフドローイングの世界最軽量アルミクッカー(1L)。「調理だけでなく、小物を入れて車に置いておいたりして使っています。本体とフタを合わせたときに、プリントの文字がピタッと合わさるようにこだわった。ミニマリズムを追求しつつ、道具としての佇まいが美しい。自信作です」

駆け抜けた先に見つけた、好きを追求する「ご褒美」の時間

トレイルランニングやバイクパッキングなど、さまざまな外遊びを経てきた千代田さんが、40代を迎えたいま再び熱中しているのが、ハイキングだ。

「ここ2・3年で、やっぱりハイキングだよな、と。心拍数が上がるくらいペースアップする楽しみ方も、ゆっくり座ってコーヒーを淹れる時間も、両方いい。ハイキングは、山をどう楽しむかの選択肢が広い『全部入り』の遊び。その懐の深さが、いまの自分にしっくりきています」

【千代田さんの愛用品③】ムーンライトギアイクイップメントのアルパカ混ニット。「一番は、しっとりとした肌触り。素肌に着ても最高に気持ちいいんです。アルパカの毛は調温・調湿機能に優れているので、アクティブに動くときも、停滞中も快適。山から街まで、手放せない一着です」

小峯さんと二人三脚で始めた会社は、いまやスタッフ数80名を超える規模に成長した。事業が拡大し、経験を重ねたことで、千代田さんの仕事に対する捉え方もしなやかさを増している。

「30代はがむしゃらだった。でも、いまは会社のなかで自分が一番貢献できることはなにかを考えられるようになりました。僕の役割の一番大事なことのひとつが、やっぱり山へ行き、その楽しさを伝えること。スタッフが増え、僕よりもすごいことができる人たちが入ってきてくれたことで、自分が得意な『伝える』ことに集中できています。仲間への感謝は年々強くなるばかりで、いまの環境は、懸命に走ってきたご褒美をもらっているような感覚です」

【千代田さんの愛用品④】発売予定の新作、オリジナルのシリコン茶こしとオリジナルプリントのナルゲンボトル。「山中で出合う美味しい名水を、お茶として味わうための茶こしです。設計には2年を費やし、何度もフィールドテストを繰り返しました。やっと『これだ』と納得できるものに仕上がりました」
【千代田さんの愛用品⑤】アンハーフドローイングとメガネロックによるアイウエア。「昨夏のアパラチアン・トレイルの旅を共にした相棒です。アニメっぽい形が特徴ですが、思いのほかだれにでも似合うんですよ」

信じる「食」を分かち合う。新たな挑戦は“食堂”

そして現在、千代田さんが外遊びと同じようにみんなと熱量を注いでいるのが、埼玉県川越市での農業だ。ノマディクスの事業所の近くに畑を借り、数年前から本格的に取り組んでいる。

▲ノマディクスが運営する自然農法の畑。千代田さんも耕作や収穫を手伝う。

「きっかけは、小峯が過労で倒れ、ワークライフバランスを考えて始めたことでしたが、やってみると思いどおりにいかないことが多くて、それも含めて本当におもしろい。僕らは土に過剰な栄養を与えることをしない農法で野菜を育てています。その土地に本来はない力で無理やり成長させても、結局は長続きしない。これはブランドの作り方や人の育て方、ひいては人生の立ち回り方にも通じる、自然の理(ことわり)なんです」

秋以降には、畑で育てた野菜を使った社員食堂のオープンを控え、ゆくゆくは一般向けのカフェとしても開放する計画だ。

「自分たちが本当に良いと信じる食材で、美味しくて健康に良い食事を提供する。社員やその家族が、野菜を買わずに生活できるような循環を作りたい。飲食業は初めてですが、この新しい挑戦を、いまは純粋にワクワクしながら準備しています」

▲ムーンライトギアが取り組む、日本の里と山を新しい解釈で存分に楽しむプロジェクト「日本開拓ハイキング」中の千代田さん。

実体験をとおして「これ最高だよ」と思えるものだけを、ていねいに手渡していく。千代田さんの価値観は、道具の提案にとどまらず、食や暮らしの在り方へと広がり続けている。自然と日常、遊びと仕事。それらの境界線を軽やかに飛び越え、次はどんな「楽しい」を見せてくれるのか。千代田さんの歩みの先には、これからも新たなフィールドへの扉が開かれていくのだろう。

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VINAVIS 編集部

VINAVIS 編集部

アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。

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