シマノGRXに新シリーズ「RX717」登場　完全ワイヤレスDi2を身近にする1×12コンポーネント｜SHIMANO

Bicycle Club編集部

2025年12月17日

INDEX

シマノがグラベルコンポーネント「GRX」のラインアップを拡充。新たに登場した「RX717」シリーズは、リアディレイラーにバッテリーを搭載する「フルワイヤレスDi2」プラットフォームを採用。10-51Tのワイドギアに対応しつつ、高いコストパフォーマンスを実現した、グラベルライドの敷居を下げる意欲作だ。

MTB譲りのタフネスと10-51Tワイドギア　グラベルの自由度を広げる第3のGRX

シマノのグラベル専用コンポーネント「GRX」に、新たな選択肢が加わった。今回発表された「RX717」シリーズは、従来のRX800系などの弟分にあたるグレードでありながら、上位モデルとは一線を画す「フルワイヤレスシステム」を採用していることが最大の特徴だ。

「United in Gravel」の理念のもと、レースからアドベンチャー、そして日常の移動までをカバーするGRX。RX717は、より多くのライダーに電動変速（Di2）の恩恵とオフロードでの信頼性を提供するために開発された。

ケーブルレスで完結する「フルワイヤレスDi2」

RX717シリーズの核心は、その電源システムにある。従来のDi2システムがシートポスト内蔵バッテリーと各パーツを有線で繋いでいたのに対し、RX717はリアディレイラー（RD-RX717）自体に充電式の着脱可能バッテリーを搭載。シフターとの通信もワイヤレスで行うため、フレーム内へのケーブル配線が一切不要となる完全なワイヤレスシステムを実現した。

これにより、バイクの組み付けやメンテナンスが劇的に簡素化されるほか、バッテリー収納場所を持たないフレームや、ドロッパーシートポストを多用するMTBライクなグラベルバイクへの導入も容易になる。

RD-RX717：タフネスとワイドレンジを両立

システムの中心となるリアディレイラー「RD-RX717」は、MTBコンポーネントで培った技術が惜しみなく投入されている。

10-51TというMTB規格の超ワイドレシオな12速カセットに対応し、急峻な峠道から平坦路まであらゆるフィールドをカバー。障害物へのヒット時に瞬時にモーター接続を解除して破損を防ぐ「オートマチック・インパクトリカバリー」機能や、チェーン暴れを抑える「SHADOW ES」テクノロジー、さらに岩などからの衝撃を守るスキッドプレートも装備し、過酷なグラベルアドベンチャーに耐えうる堅牢性を確保した。

バッテリーはRD後部に保護・収納されるハウジング構造で、充電時のアクセスも容易。走行条件によるが、一回の充電で約700km〜1,000kmの航続が可能とされている。価格は59,502円（税込）と、Di2リアディレイラーとしては破格の設定となっている。

独自のコックピット周り

コントロールレバーは右側の「ST-RX715-R」と、左側のブレーキレバー「BL-RS717」という構成だ。

右レバーは油圧ディスクブレーキ対応のデュアルコントロールレバーで、CR1632コイン電池2個で約3.5〜4年の長寿命を誇る。E-TUBE PROJECTアプリを介してボタン機能のカスタマイズも可能だ。
一方、フロントシングル（1x）専用設計のため、左レバーは変速スイッチを持たない純粋なブレーキレバー「BL-RS717」を用意。シンプルかつ軽量なコックピット周りを実現している。両レバーともに改良されたフード形状を採用し、エルゴノミクス（人間工学）に基づいた握りやすさを向上させている。

スマホアプリで自分好みに

RX717シリーズは「E-TUBE PROJECT Cyclist」アプリに対応。スマートフォンとペアリングすることで、変速スピードの調整やシフトボタンの割り当て変更、ファームウェアのアップデートが手軽に行える。

Di2の正確無比な変速性能と、10-51Tのワイドギア、そしてケーブルレスの利便性。これらを税込約12万円（レバー左右＋RD）という現実的な価格でパッケージングしたRX717シリーズは、これからグラベルライドを本格的に始めたいライダーや、機械式からのアップグレードを検討しているユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となるはずだ。