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富士の絶景を見ながらグラベルを走り切る歓び|富士グラベルエクストラ supported by Panaracer

2025年12月7日、静岡県富士市「富士山こどもの国」を拠点に、チャレンジャー向けグラベルイベント「富士グラベルエクストラ supported by Panaracer」が開催された。春のメインイベント「富士グラベル」では物足りないサイクリストに向け、ロングコースを切り分けて秋の終盤に実施されるこの“エクストラ”。富士山麓の大淵エリアに加え、愛鷹山エリアをコースの中心に据え、紅葉の名所・須津渓谷と大棚の滝を見どころとして組み込んだ。ここでは「富士グラベル」に引き続き「富士グラベルエクストラ」へ参加したバイシクルクラブ編集長・山口がレポートをお届けする。

11人単位の“小さなチーム”が生んだ一体感

当日は0度近くまで冷え込んだが、富士山がくっきりと見えるこどもの国には200人弱の参加者が集まった。スタート前に参加者全員で記念撮影があり、それぞれのグループに分かれていった。

富士グラベルエクストラは、ガイドの先導とアシストのもとで行われるグループライド形式だった。今回の基本編成は、参加者9名+ガイドライダー2名の計11名。これが全15グループ組まれ、スタートからフィニッシュまで原則として決まったメンバーでのグループライドとなる。

今回、山口が参加するのは第8グループ。スタート前には各グループに分かれ、コースの説明と自己紹介をしたのち、パナレーサーゲートの下から笑顔とともにスタートしていった。

ロング68km、獲得1,870mという数字以上の“体験”

最初のスタートは富士山を背景に、主催者・田渕君幸さんの声援で温かく見送られる。こどもの国を出発してグラベルロードへ入ると同時に、いきなり富士山が正面に見えるフォトスポットが待っている。主催者もきちんとサインボードを用意してくれており、ここで止まらない手はない。グループで記念撮影をした。

ゲートを超えれば、そこは普段走れない林道。激坂はなく、気持ちの良いフローな道が始まるのであった。

今回のロングコースは68km、獲得標高1,870m、未舗装率は約6割。数字だけ見ればハードだが、走ってみると“きつさ”は単純な苦行ではなく、風景と達成感を引き上げるスパイスになっていた。上りは舗装路で、下りはグラベル。そんな傾向のあるコースレイアウトになっていた。

時には大きな沢を越える場面もあるが、ここはグラベルバイクなら無理をせず。一方でマウンテンバイク参加者は、多少無茶をしてダイナミックに越えていく様子も見られた。

編集部・山口が乗車したのは、路面が比較的きれいなコースに最適なキャノンデール・スーパーX 2。タイヤはパナレーサー グラベルキングX1(700×45C)。

キャノンデール・スーパーX 2の詳細はこちら
https://www.cannondale.com/ja-jp/bikes/road/gravel/superx/superx-2

5つのエイドが、脚と心をつないだ

さて、この日のライドを支えたのが、岩倉エイド、勢子辻エイド、須津エイド、駿河湾展望エイド、愛鷹エイドの計5カ所のエイドステーションだった。富士市の特産品とサイクリスト向け補給食がバランスよく配置され、補給のたびに表情が戻る参加者の姿が印象的だった。厳しい区間を越えるたび、「次のエイドまで行こう」が「次の景色を見に行こう」へ変わっていく。エイドは単なる補給地点ではなく、熱量を再点火する“チェックポイント”として機能していた。

20km地点・第一エイドでウィンクレルが迎え撃つ

ライスピュレには「りんごとはちみつ味」「青梅味」「みたらし団子味」があり、和の味が参加者にも人気

序盤の20km地点にある第一エイドでは、Santa Cruz、Reserveなどを展開するウィンクレル株式会社が参加者を迎えた。グラベルバイクの展示のほか、パラチノースを配合したライスピュレの配布もあり、参加者は補給を片手にスタッフへ質問を投げかけ、製品の話で盛り上がる場面も多かった。走るだけでは終わらない“イベントの厚み”が、ここで一段増した。

コーヒーのほか、スコーンが提供された

パナレーサーの「空気圧チェックブース」が第2エイドに

メインスポンサーのパナレーサーは、第2エイドに「空気圧チェックブース」を用意していた。グラベルでタイヤと空気圧は走行感を左右するポイントで、実際にコースの中間地点にこうした空気圧チェックができるのはありがたい。路面状況や登りに備えて微調整したい参加者が次々と立ち寄り、メカニックに相談しながら自分の走りやコースに最適化した空気圧を試すことができる。まさに実戦的なサポートだった。

第2エイドでは静岡名産のほうじ茶と、ほうじ茶餡を使った団子が提供された。まさに静岡を象徴する味覚を味わった。こうした地元ならではのグルメは、参加者の満足度を上げてくれるうれしい演出だ。

さらに奥地へ下っていくと須津渓谷の紅葉が広がる

コースはさらに下り、標高の低下、そして時間の経過とともに暖かくなっていく。グラベルと気持ちのいい林道を進むと須津渓谷へ到着した。

須津渓谷では紅葉した木々が茂っており、この時期に紅葉を楽しめると思っていなかっただけに、やや疲れていたメンバーの顔にも余裕が戻ってきた。そして大棚の滝の音が聞こえてくると、そこがエイドステーションだ。

須津エイドではお弁当に加え、暖かい豚汁が待っていた。各グループに分かれてそれぞれキャンプ場で昼食を楽しみながら、打ち解けた仲間と談笑を楽しんだ。こうしたひとときに新しい仲間ができるのが、グループライドのいいところだ。

後半は上り返し、ゴールまで1000mアップ

さて、須津渓谷からフィニッシュ地点のこどもの国までは約25km。獲得標高は約990mとなっており、ひたすら上りが待っている。かつてはクライマーだった私、山口(50歳)ともなると上るのはキツい。

そんな中、楽しみを提供してくれるのは仲間であり、そしてエイドの存在だ。駿河湾展望エイドでは絶景の駿河湾に加えて、洋菓子店「もうデルコーヒー」が提供するパリブレスト、そしてオリジナルドリンク「頂(いただき)エナジー」が用意されている。この効果は格別だった。糖分はすべての悩みを解決すると偉人たちが言ったかどうかはさておき、上りで疲れていた頭が一気に回復した。

頂エナジーは、梅とショウガ、国産レモンにハチミツ、さらに数種類のスパイスを加えたクラフトエナジードリンクだ。さらにエイドに円形リング状のパリブレストが展示されているのには、「エイドにこんな大きなお菓子があるなんて!」と正直驚いた。

パリブレストは、フランスの自転車レース「パリ〜ブレスト〜パリ」を記念して生まれた伝統菓子。車輪を模したリング状のシュー生地に、ナッツ風味の濃厚なクリームを詰めた、香ばしさとコクが魅力のスイーツだ。

キャノンデールはソファーを用意。「走る楽しさ」と「撮る楽しさ」を両立

キャノンデールといえば、グラベルイベントで見せる名物演出のソファーを用意。後半、富士山を望む絶景ポイントに不自然にもソファが置かれ、参加者はそこで足を止めて撮影を楽しんだ。苦しい区間を越えた先で、富士山とソファが待っている。その“バカバカしいほど最高”なギャップが、グラベルの楽しさを象徴していた。

改めて、上りで疲れた脳に新しい刺激が入り、グループと一体となって困難な坂を乗り越える活力になったのは間違いない。

そしてフィニッシュ地点のある方角、富士山を目指してひた走る。走行しているうちにグラベル区間の最後の下りが終わり、ゲートをくぐるとクルマ通りの多い国道469号にぶつかる。そしてグラベル大冒険は終わりを迎えるのであった。

上りの勝負どころを支えたACTIVIKE

上りのひと踏ん張りどころにある、最後の愛鷹エイドでもACTIVIKEが提供され、頼もしい補給となった。脚が重くなるタイミングで口に入れる補給は、気持ちのギアを一段上げてくれる。

さらにゴール後にはプロテインも用意され、走り切った身体に“超回復”のご褒美が待っていた。挑戦の終わりまで設計されたサポートが、参加者の満足度を押し上げた。

MERIDAブランドライドが提供した「体験としてのグラベル」

同日には、MERIDAによる特別プログラム「MERIDAブランドライド」も実施された。これは富士グラベルのミドルコース(距離約40km、獲得標高1,000m)を、MERIDA新型グラベルロードバイク「MISSION」の試乗車に跨り、スタッフとガイドのアテンド付きで楽しめる特別ライドとなった。

通常はロングコースのみのイベントだが、ブランドライド参加者に限り、気軽に楽しめるミドルコースをガイド付きで走行できたのが大きな特徴。ミドルコースのエイドは岩倉エイド、勢子辻エイド、愛鷹エイドの計3カ所となり、走りの流れもコンパクトで、初めての参加でも“富士のグラベルの旨み”をしっかり掴める設計だった。メリダスタッフとグラベルガイドによる引率で安心して走れたことに加え、メリダオリジナルグッズとECサイトで使えるクーポン券のプレゼントもあり、“体験の満足度”を最後まで押し上げるプログラムとなっていた。

11人単位の“小さなチーム”が生んだ一体感と達成感

さて、富士グラベルエクストラは挑戦的なコースを用意しながら、ガイド付きグループライドとペース選択、そして5つのエイドとスポンサー各社の支えによって、参加者が安心して熱くなれる環境を作り上げていた。

特に須津渓谷と大棚の滝、富士山を望む絶景、そしてソファで笑って撮った一枚。きつさを越えた瞬間が、次の瞬間の楽しさに直結していく。富士のグラベルは、“走り切る”ことで完成する体験だった。

さらに富士グラベルエクストラが楽しかったのは、ガイドの先導とアシストのもとで行われるグループライド形式だった点だろう。今回の基本編成は、参加者9名+ガイドライダー2名の計11名。これが全15グループ組まれ、スタートからフィニッシュまで原則として決まったメンバーで行動した。走り始めて間もなく隊列の中には自然と会話が生まれ、気づけば互いのペースや得意不得意を把握しながら、声を掛け合って進む空気ができ上がっていった。

さらにペース設定が秀逸だった。参加者は走行ペースを「いい」「標準」「ゆっくり」「とてもゆっくり」の4段階から選べ、脚力やコンディションに合う仲間と走れた。無理に背伸びをして序盤で削られるのではなく、“最後まで楽しみ切る”ための選択肢が用意されていたのが大きい。

登りで苦しくなる場面でも、同じペースの誰かが横で踏んでいるだけで気持ちが前に出る。荒れた路面でラインを探すときも、ガイドの一声で不安がほどける。挑戦を孤独にしない仕組みが、このイベントの魅力として強く残った。かく言う私も後半へばりかけていると、先を行くメンバーが温かい言葉をかけてくれた。ほんとうにありがたい。

「シクロクロスバイクでタイヤも細ければ、ギヤも大きくて上りで脚が攣ったときにはもうあきらめようかと思いました。でもガイドリーダーがサポートしてくれて走り切りました」という白岩さん(左)と、ガイドライダーの山本和弘、通称「和さん」。和さんといえば、MTBやロードで活躍した元選手。キャノンデールといえばこの人と言われる存在で、現在は輸入元インターテックでキャノンデールブランドを担当する。

次回の開催は2026年5月予定

なお、次回の富士グラベルは2026年5月16〜17日に開催予定だ。「富士サイクルフェスティバル」に合わせ、ミドルとショートコースの富士グラベルとして展開される。次の舞台でもまた、富士のグラベルが参加者の挑戦心に火をつけるはずだ。お楽しみに。

問い合わせ:富士グラベル
https://fujigravel.com/

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PROFILE

山口

Bicycle Club / 編集長

山口

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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