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オーガニックアクセサリーを再生!|練馬の自転車店で40年ぶら下がっていたランドナー|【西山自転車商会EX】ガチランドナーで行く旅〈後編〉

自転車はスポーツではなくホビーと言い張るいじってなんぼのレストア編集者の手記

◉編集部・西山 貴之
どんな自転車に乗っているか聞かれて「ランドナー」と答えるとだいたい引かれる。気軽なランドナーを提唱しているが、偏屈なイメージを助長しているかも。最近は偏見なくランドナーを選ぶ若者も増えうれしい

ランドナーという自転車との戯れ

帆布バッグにコットンバーテープ、革サドルとかランドナーはやたらオーガニックなアクセサリーが多い。

天然素材しかない時代から、古き良きスタイルというものを継承してきた結果、ランドナーなど向けって感じでアイテムが生き残っている。こういったものがまだ手に入るのが素晴らしい。

手間暇かけてランドナー作り、というと聞こえはいいが、タイパが悪い遊びかもしれない。
それも、カビに浸食されたフロントバックを柿渋染めにするとか、リユースともいえるけど、誰得?って感じではある。

そんなのやめなよって心の声が制止しつつも、気づくと柿渋液の入ったバケツの中に、バッグを沈めている自分がいる。

やめられない、この古臭いランドナーという自転車との戯れ。タイパ無視のムダな時間浪費こそ、甘美な贅沢といえよう。

だいぶ手間かけたバッグ装着

【1】帆布バッグを柿渋染め

柿渋染めはカンタンだ。溶液を水で薄めて浸すだけ、浸して乾かすを4~5回繰り返すと、レトロな風合いに仕上がる。日本で古来から使われる染料で、防虫、防腐、除菌、防水効果もある。また布を補強するのでバッグに最適だ。紫外線でもっと茶色く変色していくようだ。使い古したようなエイジング感だ。

古い時代の犬印の自転車バッグ。無地のコットンだが、カビの影響か目立つ残念なシミが右下に広がっている。洗剤でも落ちない。これを柿渋染めで隠そうという作戦だ
アマゾンで買った柿渋染めの液、500mlで1000円くらい。よくある柿渋液は、酸っぱい匂いが鼻につくがこれは無臭タイプなのでオススメだ。バケツに柿渋液を入れ水で薄めて浸ける。そして乾かすを繰り返す
バッグはこんな感じになった。むらがあるが、これが柿渋染めの風合いなのだ。古びた感じにしてシミを隠す手法が成功

【2】ワンタッチ着脱機構に挑戦

かなり小ぶりなフロントバッグだ。ハンドルよりかなり下に来てしまうので、固定ベルトが使えない。なので、簡易なバッグサポーターを考えた。ミノウラのワンタッチ汎用台座クランプを使えば着脱もワンタッチ。高さのクリアランスには、懐かしのライトホルダー「ヤジロベー」を使った。

バッグに対してハンドルが高いため、ハンドルにベルトで固定できない。こういう時のためのバッグサポーターがあるのだが、オーダーだったりしてハードルが高い
今でもフリマで手に入るトモダサイクルのヤジロベー。これにミノウラ・SM-2229-2を組み合わせる。我ながらナイスなことを思いついた
こちらは、セリアで売っている工作用の棒。直径は1cmぐらい。フロントバッグの幅よりすこし短めに切った2本を用意する
棒とヤジロベーは木ネジで固定する。クランプはハンドルの左に来るので、バッグがセンターに来るようにちょっとオフセットさせて固定する。2本目の棒は、バッグの内側に入っていて、裏側からベルトを通して固定されている。クランプを使ってワンタッチでバッグを着脱できるように。これはマジで便利だ

ハンドル仕上げ&その他のアクセサリー

オールドフレンチスタイルにのみ残るコットンバーテープのセラックニス仕上げ。コットンバーテープを長持ちさせるための樹脂コーティングみないなものだ。合成樹脂のない時代の、天然ニス仕上げみたいなもの。

セラックは、ラックカイガラムシという虫の体液を集めたものだ。写真で見るとピンク色のフナ虫みたいなやつで、木にびっしり付いている姿は、虫が嫌いな人はぜったい見ないほうがいいやつ。

今でもセラックは、高級家具の仕上げほか、天然成分なので食品としても使われており、たとえばマーブルチョコやキシリトールガムのパリッとした外側の食感はセラックでしか出せないとか。など、たかがバーテープの仕上げでここまでネタを語れるアイテムは少ない。

革サドルは、最近の製品が薄いのはサドル用の分厚い革を捕れる成熟した牛は、狂牛病の影響で育てられなくなったからとか。天然ネタは尽きず。聞いた話なので、どこまでホントかは不明。

【3】コットンテープをセラックニス仕上げ

コットンバーテープは、風雨にさらされると濡れるし傷みやすい。そこでコーティングする技術がセラックニス仕上げ。昔のフランス車でよく行われていた。最近セラックニスはホームセンターにないので通販で購入。乾燥したフレーバーをアルコールで溶かすタイプの製品もある

白いコットンバーテープを巻く。下から巻いてバーの上部でヘンプを紐巻いて固定する流派もあるが、私は上から巻きでバーエンド金具で止める派。まあどっちでもいい
溶剤に溶けているので使いやすいサンデーペイントのセラックニスは1700円くらいで入手。薄めたり筆を洗ったりするには、ペイント薄め液ではなく、ラッカー薄め液を使う必要がある
純白のコットンテープをまとった姿。これもいいのだけど、すぐ汚れるのが難点。ギドネットレバーのバンドは先に入れておかないと、後でぐあぁぁと頭を抱えることになるので要注意
2度塗りでセラックの茶色仕上げに。もっと塗ってテカテカに仕上げるのもいいけど、綿のざらざらした質感のグリップを残した浅めの仕上げとすることに。天然ブラウンはやっぱりいい色
コットンテープに沁みこませるようにセラックニスを塗っていく。一度塗りだとまだこんな薄い感じ
一度塗ったら、1日乾かしてを繰り返す。ステムをクランプするように卓上万力で掴んで、サイクルポートに固定して乾かした。どのくらい塗り重ねるかは好みで大丈夫。これで、雨に濡れても大丈夫、10年くらいいけるかも

【4】TPUチューブ導入で軽い走りに

天然素材じゃないけど、最近流行りのTPUチューブを導入。このランドナーのママチャリ26インチ(26×1-3/8 650A)にも使えそうなサイズをテムで発見。27.5(650B)×1.35-1.95だから、650Aとの違いくらいいけるはずと踏んだ。これでママチャリのタイヤまわりを片側100gも軽くできる恩恵はでかい。

45gしかなく、元のブチルチューブより100g以上軽い。送料込みで680円くらい。フレンチバルブだが英式バルブ穴との間にかませるアダプター。パンク修理用のパッチ付き。価格がバグっている

【5】やっぱりナチュラル革サドル

ランドナーには、やはり革サドルが一番似合う。イデアルの#88を選んだ。イデアルはフランス製の現行モデルも入手できる。こちらはひと頃出回ったマレーシア製と噂される怪しいイデアル(でもその昔、長谷川自転車商会で買った)。表皮が乾いてきたのでオイルでケアしてメンテナンス

革サドルは、イギリスのブルックスがフランスのイデアルのほぼ2択。ランドナーはどちらかというとイデアルかなーという感じ。#88は薄くてピラーが出せると人気があった
サドルオイルは、ブルックスの純正を使うのが無難。LESADORのサドル用オイルは、CARATとあるからドイツ製のソファーなどに使うレザーケアバームと同じものだろう
きめ細かいスポンジで表面に薄くオイルを塗る。革が柔らかくなりすぎるので裏側には塗らない
13番のスパナで革の貼りを調整。ギリギリなのでブルックスのスパナが欲しい

 

※この記事はBicycle Club[2025年11月号 No.463]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PROFILE

ニシヤマ

Bicycle Club / 副編集長

ニシヤマ

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

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自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

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