
安心してサイクリングが楽しめる鳥取で「Setouchi Vélo協議会鳥取・岩美町ミーティング」開催
Bicycle Club編集部
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10月3日、鳥取県鳥取市・岩美町エリアで「Setouchi Vélo協議会 鳥取・岩美町ミーティング」が開催された。Setouchi Vélo協議会の参加団体のメンバーを中心にEバイクを体験するトライアルライドでは、鳥取砂丘から浦富海岸までの約16kmを走り、砂丘と海岸線が織りなす唯一無二の景観を満喫した。その後、鳥取市のとりぎん文化会館でミーティングが行われ、「鳥取うみなみロード」を“走って・学んで・語る”一日となった。
鳥取砂丘から浦富海岸まで風景を体験するトライアルライド

トライアルライドはSANDBOX TOTTORI近くの市営浜坂駐車場を拠点にスタート。株式会社オージーケーカブトの柿山昌範氏による「ヘルメットの正しい被り方」、株式会社コイデル代表・門田基志氏による「Eバイクの乗り方・ンドサイン」講習が行われ、加盟団体メンバーにとってEバイクを学ぶ貴重な機会となった。

市営浜坂駐車場を出発したメンバーはトライアルライドを体験し、鳥取砂丘前の砂丘を望む駐車場から雄大なその眺めを楽しんだ。さらに進んだ先の「IWADO BASE」ではエイド休憩が設けられ、地元特産の梨ケーキと梨サイダーでリフレッシュした。


このエリアは砂丘で知られる一方、鳥取市福部町は砂地を活かしたらっきょうの産地としても有名。道路脇にはらっきょう畑が広がる。「IWADO BASE」からはアップダウンのある丘陵地帯を越えていくが、ここでEバイクの快適さを体感することができた。

豊富な海の幸を堪能できる岩美町・浦富海岸

浦富海岸遊覧船乗り場では、珍しいイカスミソフトクリームを試食。その後、「岩美ブルー」として知られる浦富海岸へと向かった。

このエリアは青い海と白い断崖が織りなすリアス式海岸の景勝地で、世界ジオパークに認定されている。メンバーは浦富海岸沿いの約5.8kmを走行し、日本海に浮かぶ島々を望みながら絶景の中をサイクリングした。


砂浜で記念撮影を行い、ゴール地点の浦富海岸第二駐車場へ到着。駐車場では地元漁師が焼いた新鮮なイカ焼きを味わい、海の幸を堪能した。この一帯はイカ釣りが盛んで、夜には漁り火が水平線を美しく照らす。

今回走行した約16kmは「鳥取うみなみロード」の一部であり、ロードバイクでは軽快なアップダウンを楽しめるコースだ。一方、Eバイクの利便性と自然との一体感を体験するには、まさに最適なルートとなった。
地元副町長の挨拶でミーティングがスタート

トライアルライドの後、メンバーは鳥取市のとりぎん文化会館へ移動し、Setouchi Vélo協議会ミーティングが開かれた。冒頭では開催地を代表して岩美町副町長の田中祥一氏が挨拶をし、岩美町が自然や温泉、サイクリングなど多彩な地域資源を活かし観光振興を進めていることを紹介した。
続いて、Setouchi Vélo協議会事務局である本州四国連絡高速道路株式会社の森田真弘取締役常務執行役員が登壇、2022年10月の協議会発足から加盟団体が87団体にまで増加した経緯を報告。さらに、「シェア・ザ・ロード」の啓発活動を通じ、歩行者・自転車・自動車が互いに思いやりを持って安全快適に走れる環境づくりを目指す取組を紹介した。

鳥取県のサイクルツーリズム推進についての事例紹介

鳥取県サイクルツーリズム振興監の田口邦彦氏は「鳥取県のサイクルツーリズム推進について」と題し、県が推進する「鳥取うみなみロード」を核とした広域サイクリングネットワークの形成と、ナショナルサイクルルート指定を目指す環境整備の進捗を紹介した。
路面の矢羽根標示や注意喚起サイン、サイクルステーションの整備、宿泊施設やカフェのサイクリスト対応化などのハード整備に加え、多言語化マップや公式サイト整備、イベント開催などソフト面での施策も展開している。

さらに、JR西日本との「鳥取うみなみサイクルトレイン」、大山エリアでの「鳥取だいせんサイクルバス」実証運行など、公共交通との連携による周遊観光促進を報告。韓国・台湾との交流や地域主導のファットバイクツアーなど、地域発の取組も紹介された。
田口氏は「自転車が地域の活力を生む新しい交通文化として根づくことを目指す」と締めくくり、鳥取県全域を“サイクリストの聖地”とする構想を示した。

自転車活用推進本部による次期計画の紹介

国土交通省 道路局参事官で、自転車活用推進本部 事務局次長を兼任する土田宏道氏からは、全国的な自転車活用の潮流と次期「自転車活用推進計画(第3次)」の方向性が紹介された。
自転車を「地域経済」「地域交通」「環境(脱炭素)」の三本柱で捉え、官民協働による走行環境・受け入れ環境・情報発信の一体整備の重要性を強調。特に地方部では自転車を“自助の移動手段”と位置づけ、公共交通との連携による地域移動の底上げを提案した。
次期計画では現行の4目標を以下の5つの柱に再編する方向が示された。
- 走行空間の本格整備
- 安全・安心(青切符対応や教育・周知)
- 地域交通との連携と役割拡大(MaaS・輪行容易化)
- 健康と脱炭素の同時実現
- 観光地域づくりによる地域活性
これらを通じて「誰もが安全・快適に自転車を活用できる持続可能な地域社会」を目指す方針が共有された。

鳥取市・岩美町におけるサイクルツーリズム推進をテーマにパネルディスカッション

ディスカッションは和やかな雰囲気の中にも具体的で実践的な意見が交わされ、熱量の高いセッションとなった。プロMTB選手、株式会社コイデル代表の門田基志氏がコーディネーターを務め「今日のテーマは“地域とサイクリングの未来”です」と語り、登壇者の自己紹介から始まった。

地元を代表して株式会社トリベイ代表取締役社長の縫谷吉彦氏は、鳥取市での「観光シェアサイクル実証事業」について報告し、「移動データ分析により観光回遊性と経済効果を見える化できる」と述べ、岩美町観光協会の田中司事務局長はアニメロケ参考地巡りに合わせたサイクリングの人気を紹介し、ライト層の拡大を実感しているとつづけた。また、鳥取県サイクルツーリズム振興室の木原久美室長は「行政は主導ではなく、地域や民間の挑戦を支援する立場」と語り、矢羽根整備や交通安全教育による理解促進の取組を紹介した。

議論の後半では、観光・地域経済の視点から費用対効果についても数値が示された。上村氏は「かみじまサイクルフリー」(自転車の船賃無料)を導入し、利用者データ(来訪地、国籍等)を収集。1人あたり平均消費額は約4,000円。例えば1.5万人なら4,000万円規模の消費喚起がったことを紹介。 かつては「自転車はお金を落とさない」との誤解もあったが、レンタサイクルだけでも大きな経済効果があり、宿泊等を含めると何十億規模。住民理解も進んでいるという事例を紹介。

さらに今後の「鳥取モデル」をどう作っていくか? という門田氏からの議題についてそれぞれ意見が出た。
「鳥取砂丘という強い目的地があるが、自動車での来訪が多いので、自転車は”移動自体を楽しむ”乗り物。海の美しさや地形を生かし、縦横に回遊性を広げられることを知ってもらいたい」と迫田氏。
土田氏は「サイクルツーリズムには「走ること自体を楽しむ」と「観光地を自転車で巡る」の2軸がある。前者はしまなみのようにインフラと情報発信の両輪で家族旅行先として成立。後者はシェアサイクルで広域回遊と公共交通の弱点補完が可能。鳥取は空港の更衣室・組立スペース、サイクルトレイン、バス、タクシーのキャリア等、受け入れ体制が充実しており、2軸ともに可能性があり、鳥取の交通連携モデルは全国でも参考になるのではないか」と評価した。

これを受け、山口は「”走る楽しさ”を一般観光客にも伝える空気づくりが重要。鳥取は自転車で楽しむ受け入れ環境が全国でもトップクラス。ぜひ鳥取から”走る楽しさ”の発信をし、次の段階へ進むきっかけとなってほしい」と鳥取の可能性を示した。
最後に、門田氏は「2027年にはVeloCityが愛媛で開催され。家族連れで訪れる話も出ています。鳥取には家族で訪問しサイクリングを楽しむモデルとしての素地がある」とまとめ、会場は大きな拍手に包まれた。
サイクリングを通じて地域と人がつながる姿は、まさに“鳥取モデル”の象徴。行政、企業、住民、メディアが交差するSetouchi Vélo協議会は、鳥取が日本のサイクルツーリズムを牽引する新たなステージへ進むことを感じさせる会となった。
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