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燕山荘の”静かなるドン”が語る、コマクサへの深すぎる愛♥️│植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #48

登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!

 

さあ今年も絶賛到来中の、夏山シーズン。たぶん、多くの読者がすでに山々へと足を運んでいることでしょう。そこで本連載を担うワタクシとして思い出してほしいのは、高山植物の女王・コマクサ!そして、新たに今年フォーカスするのは「コマクサを愛する人」です。国内有数のコマクサ天国を守り続ける山小屋オーナーに、会いに行ってきました!!

2番目に覚えた花、コマクサ

「今年は本当にコマクサのアタリ年。こんなにすごいのは初めてだね。ダメだよ、もっと早く来なきゃ!」。叱咤激励とともに、温かく出迎えてくれたのは、燕山荘三代目オーナー・赤沼健至さん。父が経営する燕山荘にアルバイトとして入り、そこから半世紀。オーナーとなった彼が愛してやまないコマクサは、母に教わった花だそうです。「『ツボミが馬の顔に似ているからコマクサだよ』と。ピンク色がきれいだし、印象的だったね。でもね、当時は小学1・2年生くらいだったから。最初に覚えたのはやっぱり、チングルマだよね。だってさ、チンがつくから。ははは(笑)」。もうっ、エエ話だと思ったのにぃ~赤沼さん!

燕山荘三代目オーナー、赤沼健至さん。「いつでも暇だよ」と冗談を飛ばしつつ、燕山荘にいるときには講演会&アルプホルン演奏、コマクサ撮影にと奔走。的確な経営判断で、代々引き継ぐ山小屋を盛り上げます。

巨匠たちと名を連ねる!?名カメラマン

鮮やかなカウンターパンチを披露し、あっさりと取材班を虜にした赤沼さん。そんな彼は、多忙な経営の傍ら、時間が許せばコマクサの撮影に勤しみます。「光の加減は、今なら朝7~8時くらいが最適かな。白い砂地にコマクサの影が映って、動きが出るんだよ。やや逆光で、コマクサの周囲に円形の“玉ボケ”を出せたら、自分で撮影した写真でも感動するよ!」。山岳カメラマン・白籏史朗氏などとも交流があるだけに、こだわりは随所に光ります。ところで、今でこそコマクサ畑に包まれるように建つ、燕山荘。しかし、「以前はこんなにコマクサはなかった」と驚きの事実を明かしてくれました。

本気モードで撮影中の赤沼さん。コマクサまで目線を下げて撮るため、寝そべって撮影することも少なくありません。穂高駅ギャラリーでは、赤沼さん撮影の秀作を展示中!

地道!コマクサ保護の秘訣

ははぁ、さては地図上に記載のある「コマクサ栽培試験地」が関わっているんですね?と聞くと、赤沼さんは首を振りました。「松本営林署(当時)が旗振り役となって、コマクサを増やそうと二年がかりで種子散布をしたけども、残念ながらほとんど意味はなかった。我々も狩り出されて、大変だったんだけどね(笑)。効果が出たのは、燕特有の流れやすい砂地に登山者が踏み込まないよう、ロープや木杭を設置したこと。こうして、30年ほどかけて山荘周辺にコマクサが増えたんだ。そうこうするうち、かつて公式の生息地から外されていたライチョウも増えて、頻繁に出会えるようになった。やっぱり、『自然のものは、自然のままに』。これに尽きるよ!」。

あまりに秀逸なコマクサ群落が点在しますが、人が踏み込む場所には、ひと株もコマクサが生えないのだそう。流れやすい砂地&風雪にさらされる厳しい環境を、守りたいものです。

自然にも、人間にも優しさを

自然を守れるかどうかは、利用者しだい。ゆえに、管理者はどうしても厳しいスタンスが必要になりそうです。でも赤沼さんは、「この山は、何か変わったところがあるでしょう?」と問いかけます。回答に窮していると、「登山道には看板が少ない。マナーは守ってほしいけど、強制したくないんだ」というひと言。せっかくの山を楽しんでほしいからこそ、なるべく声掛けはせず、景観を乱す人工物を置かない。山小屋でも同様、ご飯の時間ですら放送を控え、登山者のプライベートに配慮する……。そんな工夫が、燕山荘のファンをつくってきたのです。思いがけず垣間見えた、山男の優しさに思わずホロリとさせられちゃいました!!

自然保護を雄弁に語る看板は、最小限。豊かな自然に癒やされたいという登山者のキモチを追求するため、人工物を良しとしません。小屋内も、居心地を優先した山小屋らしいつくりです。

多くの人に響け!オーナーの情熱

赤沼さんは、夕飯時にスライドトークとアルプホルンの演奏を行なっています。これもやはり、コマクサをはじめとする自然を守るための努力でした。「もう40年近く続けてるかなあ。『静かにメシ食べたいのに』っていう人もいるし、『すごく良い』っていう人もいる。どうすればいいんだろうね!?」。軽快に笑い飛ばす赤沼さんですが、お話が始まれば、四季折々の美しい写真とユニークな語り口に、どよめきと笑顔がこぼれっぱなし。“山上のダム”である雪の激減なども定点写真で示し、シリアスな話題も織り込みます。長年にわたる努力は人々の心を打ち、「自然を大切にしたい」という情熱が、ひしひしと伝わっていました。むろん、ワタシにも、です!!

燕山荘名物、トークショーと演奏会。長年にわたり山荘にいるからこそ撮影できた赤沼さんの写真に、思わず箸が止まります。宿泊者が多いときには、複数回の講演もいとわず開催しています。

オーナーのオススメは、7月上旬まで!

あまりに地道な取り組みを経て、コマクサに抱かれる燕山荘。ところで、美しいコマクサを見るなら、いつ頃が良いのでしょうか?赤沼さんは、穏やかな笑顔で教えてくれました。「コマクサの開花期が10日~2週間ほど早まっていて、近年は6月下旬から7月上旬が、もっともみずみずしい季節。海の日前後には大きな株で迫力が出てきて、8月まで咲いているよ。ここは、アルプスの女王・燕岳と高山植物の女王・コマクサ、ふたつの女王がマッチングする、最高の山。日本でもトップレベルの場所だよ!!」。言葉の端々から感じられる赤沼さんの愛情に触れて、うっかりこう誓ってしまいました。「来年は絶対、咲きたてホヤホヤのコマクサを見に来ます!」。

燕山荘周辺のコマクサの株数は、数十万、数百万?芽吹いたばかりなのか、一年目の子葉(下)もありました。これ、コマクサとは思えませんよね。ぜひランドネファンの皆さんで、最高のコマクサ三昧ツアーズ、組みません?

 

さてさて、今回ご紹介してきた、「コマクサを愛し守る人」。初めて赤沼オーナーにお会いしましたが、いやホント、絶対来年は超みずみずしいコマクサのお花畑に包まれたい!そして、残雪期や紅葉など、さまざまな季節の燕に必ずやお邪魔したいと思いました。さて、この取材のようすは来年春or夏号の本誌誌面でも、しっかりとお伝えする予定。まだまだ深い赤沼さんの想いを中核にする山岳ルポ、ぜひ誌面でご覧いただけたらと思います!

 

それでは、また。

皆様のココロに、素敵な花が咲き誇りますように。

今回の山旅

〈1日目〉

14:00 JR松本駅

14:39 JR穂高駅

14:50 休暇村リトリート安曇野ホテル・送迎バス

宿泊

〈2日目〉

05:25 温泉公園北口(ホテル裏)

05:46 中房温泉

※路肩崩落に伴い、中房温泉行き定期バスの運行状況が変わっています。詳細はコチラから。

06:30 中房温泉~第一ベンチ~第二ベンチ~合戦小屋~燕山荘

14:30 燕山荘到着

18:00 夕食

〈3日目〉

05:40 朝食

06:30 燕山荘~北燕岳~燕山荘

燕山荘周辺散策

10:30 燕山荘~合戦小屋~第二ベンチ~第一ベンチ中房~温泉

17:00 穂高駅

休暇村リトリート安曇野ホテル

信州プレミアム牛や信州サーモン、地場産きのこといったグルメや温泉はもとより、アウトドアに精通するスタッフたちとの触れ合いも楽しいお宿。穂高駅からホテル、ホテルから中房温泉へのアクセスもよく、アルプス山行の前後泊に、ぜひ!!

夏山のおもてなしは、甘酸っぱいはちみつレモンから。赤じそのかき氷や風鈴など、涼を感じるサービスもうれしい。ゆっくりと過ごすことで、登山前夜はぐっすりと眠れました(大事!!)。
北アルプスの稜線をかたどったふわりと優しいおから。 そのふもとには、清流を泳ぐ稚児鮎と、山の恵み・信州ジビエのロースト。安曇野で育まれた季節の食材たちが、まるでひとつの風景画のような一皿。五感で味わう、山旅の余韻を閉じ込めたようなプレートでした。
アルカリ性単純温泉のやさしい湯が、日常でたまった体の疲れをふんわりほぐしてくれました。やわらかな肌ざわりに、思わずホッ。下山後にも入りたくなる湯けむり時間でした。

休暇村リトリート安曇野ホテル

長野県安曇野市穂高有明7682-4

TEL0263-31-0874

公式HP

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PROFILE

成清 陽

ランドネ / 植物ライター

成清 陽

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

成清 陽の記事一覧

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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