
ジロ覇者サイモン・イェーツが逃げ切り勝利、マイヨ・ジョーヌはヒーリーへ移る|ツール・ド・フランス

福光俊介
- 2025年07月15日
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ツール・ド・フランス2025の第1週最終日、第10ステージが現地7月14日に行われ、今大会最初の山岳ルートにカテゴライズされたコースでサイモン・イェーツ(チーム ヴィスマ・リースアバイク、イギリス)が逃げ切り勝利。今季はジロ・デ・イタリアで劇的な逆転個人総合優勝を果たしたが、それに続く快勝。ツール通算3勝目とした。総合首位のマイヨ・ジョーヌは、サイモンらと逃げたベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)へと移っている。
例外的に第1週目に10ステージを行う
リールでの開幕から北フランスを走行し、中央山塊へと移って長かった第1週を終える。とりわけ今回は、フランス革命記念日の7月14日が月曜日にあたるため、本来の休息日を1日後ろ倒しにし、第1週を10ステージで構成する対応をとっている。

その第10ステージは、今大会最初の本格山岳ステージ。中央山塊の奥深くを目指す165.3kmのコースには、しめて8つのカテゴリー山岳が詰め込まれた。その多くが2級山岳だが、連続する上りで消耗戦となるのは必至。最終登坂にして中央山塊最高峰のピュイ=ド=サンシーは、登坂距離3.3kmで平均勾配8%。これまでツールや前哨戦クリテリウム・デュ・ドーフィネのコースには採用されてきたが、今回初めてツールのフィニッシュ地を務める。
ヴィクトル・カンペナールツ(チーム ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)のファーストアタックとともに始まったレースは、しばしアタックとキャッチの繰り返し。出入りが激しいまま1つ目の2級山岳に突入すると、最前線は19人にまで絞られてしまう。スプリンターの多くが後方へと下がっていき、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)やパヴェル・シヴァコフ(UAEチームエミレーツ・XRG、フランス)といった選手たちも集団に残ることができなかった。
この間、山頂で繰り返しトップ通過を狙ったのがレニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)。45年前に祖父マリアーノが勝った自国の革命記念日に奮起する。
マルティネスらを含んだ先頭グループが形成されたのは20km地点を過ぎたタイミング。最大で28人まで膨らんで、やがてステージ優勝を争うサイモンやマイヨ・ジョーヌの可能性に賭けることとなったヒーリーが乗り込んだ。

マイヨ・ジョーヌの可能性が高まったヒーリーがペースを上げる
フィニッシュまで100kmを切ろうかというところで、先頭ではベン・オコーナー(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)がスピードアップ。これをきっかけに先頭ライダーが活性化し、一時10人まで絞られる。のちに8選手が追いつくが、以降は上りのたびに絞り込みが本格化する。
この間も山岳ポイントではマルティネスが繰り返し1位通過。得点を量産し、山岳賞争いで首位に立つのは濃厚に。また、フィニッシュまで70kmを切ったあたりからは先頭グループとメイン集団とのタイム差が4分を超えるように。総合タイム差3分55秒でスタートしていたヒーリーにマイヨ・ジョーヌの可能性が出てきたことで、みずから先頭グループを引っ張ってその可能性に賭ける。

残り30kmに前後して、オコーナーやクイン・シモンズ(リドル・トレック、アメリカ)が断続的にアタック。ここもやはりヒーリーがチェックに動き、数人が追随する流れ。
6分近くまでタイム差が広がったメイン集団では、セップ・クスやマッテオ・ジョーゲンソン(ともにアメリカ)のチーム ヴィスマ・リースアバイク勢がペースを上げ、それ以上のギャップ拡大を避けたい構え。ヴィスマ勢の繰り返しのアタックにはタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)がチェックに動いて、集団からの抜け出しは許さない。

最後の上りでサイモンが勝負を決める
先行した選手たちとメイン集団との差は劇的には縮まらず、逃げ切りは決定的に。そして、最終登坂のピュイ・ド・サンシーの入口でサイモンが仕掛けた。
一度はオコーナーに追いつかれたサイモンだったが、残り2.5kmで再アタック。これで単独先頭とすると、急坂を懸命に踏み込んで頂上を目指した。

最後はテイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)の猛追をかわしたサイモン。2勝を挙げた2019年大会以来となるツールでの勝利を逃げ切りで決めてみせた。
今シーズンはジロで個人総合優勝。最終日前日、第20ステージでの大逆転劇は世界中を驚かせた。その後休養を経て、ツールに参戦。ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)をアシストする立場で臨んでいる。その最中での快勝は、チームに勢いをもたらすものとなりそうだ。

ヒーリーがマイヨ・ジョーヌを初着用
サイモンに続き、9秒差でアレンスマン、31秒差でヒーリーがフィニッシュ。4秒のボーナスタイムも手にしたヒーリーのマイヨ・ジョーヌなるかが次の焦点となった。
ポイントは個人総合首位に立つポガチャルのフィニッシュでのタイム差。メイン集団ではレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)がアタックするも決まらず、その後は牽制状態に。しかし、フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)のペースアップをきっかけに、ポガチャルが猛然とアタック。これに追えたのはヴィンゲゴーただひとり。
ポガチャルはヴィンゲゴーがついてきたのを見て、それ以上の攻撃はせずにフィニッシュを目指す態勢に。逃げ残ったマルティネスの番手につけて、ヴィンゲゴーの様子をうかがいながらレースを完了。
ヴィンゲゴーとポガチャルは、サイモンから4分51秒差でのフィニッシュ。総合タイムでヒーリーが勝り、マイヨ・ジョーヌの移動が決まった。

ヒーリーも今大会は好調で、第6ステージでは逃げ切り勝利を挙げている。総合でもここまで上位戦線を走っており、再びやってきたビッグチャンスをモノにしてのマイヨ・ジョーヌとなった。
大会第1週を終えた段階での総合成績は、ヒーリーからポガチャルが29秒差。レムコが3位につけて1分29秒差。4位ヴィンゲゴーが1分46秒差となっている。

翌15日が今大会最初の休息日。16日からレースが再開され、第11ステージではトゥールーズ発着の平坦コースが用意される。
ツール・ド・フランス2025 第10ステージ 結果
1 サイモン・イェーツ(チーム ヴィスマ・リースアバイク、イギリス)4:20:05
2 テイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)+0’09”
3 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)+0’31”
4 ベン・オコーナー(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)+0’49”
5 マイケル・ストーラー(チューダー・プロサイクリングチーム、オーストラリア)+1’23”
6 ジョセフ・ブラックモア(イスラエル・プレミアテック、イギリス)+3’57”
7 アンドレアス・レックネスン(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)+4’38”
8 レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)+4’51”
9 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)ST
10 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)
個人総合成績
1 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)37:41:49
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)+0’29”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+1’29”
4 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’46”
5 マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+2’06”
6 ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)+2’26”
7 オスカー・オンリー(チーム ピクニック・ポストNL、イギリス)+3’34”
8 フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+3’34”
9 プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)+3’41”
10 トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)+5’03”
ポイント賞
ジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)
山岳賞
レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)
ヤングライダー賞
ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)
チーム総合成績
チーム ヴィスマ・リースアバイク
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